『ゴーメンガースト』道半ば
うんざりするほど長く詳細な情景描写が続いた後,ポツリと主要登場人物の言動が記述される。
前作『タイタス・グローン』と同様,本作『ゴーメンガースト』でもまた,読者は視覚描写の饕餮文に埋め込まれた事跡を掘り起こしつつ膨大な頁を繰って前進していかなくてはならない。
タイタスの父である先代伯爵セパルクレイヴ,タイタスの乳母ケダ,書庫長サワダスト,料理長スウェルターといった前作の個性的過ぎる人物たちは姿を消し,本作では新たにベルグローヴを中心とする,これまた個性的な教授陣が登場する。
教授陣?
そう。ゴーメンガースト城には学校があり,7歳のタイタスは学友たちとともに教授たちによる退屈な授業を受けているのだ。
前作に比べて本作では,この学校の描写があることで,重苦しい雰囲気に包まれたゴーメンガースト城に少しばかりの賑やかさが加わっている。
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