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2017.02.27

山口県立美術館の『ポンペイの壁画展』に行って来た

山口県立美術館の『ポンペイの壁画展』に行って来たわけである。

ポンペイについてはよく知られているので,わざわざ書く必要もないかもしれないが,一応メモ的なことを述べておくと,次の通り:

  • 南イタリア,ナポリ近郊にあったローマ帝国の都市
  • 住民2万人程度(最近の研究では12000人の市民と8000人の奴隷という話)の都市として栄えていた
  • 西暦79年,ヴェスヴィオ火山の噴火により数度の火砕流に見舞われ滅亡
  • 1748年に発掘が始まった。
  • それ以降,先進的なインフラ設備,街区,装飾など,ローマの繁栄をうかがわせる遺物が次々と発掘され,近代人に衝撃を与えた。

今回の展覧会は,ナポリ国立考古学博物館とポンペイ監督局の保有するポンペイ壁画コレクションから50点を厳選し,ローマ帝国の人々の暮らしぶりを紹介するという試み。

ここで展示されている壁画は写真や複製ではなく,遺跡から剥がしたり切り出したりして持ってきた本物である。よくもまあ南イタリアから山口まで来たものである。

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まず,12時ごろに入館して一通り見て回った。およそ2000年前の壁画が色鮮やかなまま眼前にあるというのが驚異的。

火山灰はポンペイを滅ぼすと同時に,この都市の美術を長期保存するタイムカプセルの役割を果たしたのである。

ワインの産地だったことから,ディオニュソス神やこの神の女性信奉者であるマイナス(Maenad)をモチーフとする壁画がよく見られた。

ポンペイ近くの別荘地,トッレ・デル・グレコはポンペイとともにヴェスヴィオ火山の噴火によって滅んだ地である。この地で発掘された別荘の居室の壁画が展示されているのだが,素晴らしい青色を基調とした装飾画だった。エジプト青という高価な絵の具が使用されている。

というように,一通り見て回ったのち,14時から記念イベント

「ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス』スペシャル・トーク」

が開催されたので,そちらに移動して聴講。

ヴェスヴィオ火山の噴火の際に死んだ,海軍提督にして博物学者の大プリニウス。そして作品の取材のために訪れたポンペイ周辺の遺跡について,とり・みき,ヤマザキマリ両氏が画像や動画を交えて,1時間半に渡って熱く語っていた。

人物および猫をヤマザキマリが,緻密な背景をとり・みきが担当していたとは知らなんだ。両氏は日本とイタリアとで画像データのやり取りをしながら執筆作業を進めているとのこと。

ラスト15分は質疑応答タイム。会場からは超マニアック(ローマ通じゃないとわからない話)な質問が頻出したものの,とり・みき,ヤマザキマリ両氏はバシバシ答えていた。大したものである。

トーク・イベントが終わったのち,再び入館。今度は『赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス』などの大作をじっくりと見た。

『赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス』はその完成度の高さもさりながら,高さ218cm×幅182cm×厚さ35cm,重量500kgというサイズ・重量の面でも大作だった。エルコラーノというポンペイとともに滅びた(というか先に火砕流に見舞われて滅びた)別荘地から出土したものである。日本初上陸とのこと。

こうした2000年近くも前の偉大な文明の遺物に拝謁した後,帰路に就いたわけである。

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2017.02.24

「X-MEN」スピンオフ・ドラマ「レギオン (LEGION)」がすさまじく面白い件

FOXで「X-MEN」のスピンオフ・ドラマ「レギオン (LEGION)」をやっているのだが,すさまじく面白い。

主人公デイヴィッドは統合失調症と診断されて,精神病院通いが続いていたのだが,実はそれは病気ではなく,超能力だった…という話。この超能力を巡って二つの組織が衝突し合っている模様。

デイヴィッドが自分の能力をコントロールできるようにするため,「記憶療法 (Memory work)」が実施されているのだが,その最中,記憶と現実,脳の内外の出来事が入り乱れて,まるで映画「インセプション (Inception)」を見ているかのような奇妙で魅力的で混乱した映像世界が展開されている。

記憶の中の幼いディヴィッドは,恐怖絵本"The World's Angriest Boy in the World"の主人公"Angriest Boy"に追いかけられるのだが,その映像が滑稽でありながらとても怖い。

ちなみに主人公デイヴィッドを演ずるのは「ダウントン・アビー」でマシューを演じたイケメン俳優:ダン・スティーヴンスである。「ダウントン・アビー」では気品を感じさせたダン・スティーヴンスが,ここでは痩せこけて目のギラギラした危ない感じの男になっている。

「レギオン (LEGION)」第3話の冒頭ではなぜか「鶴の恩返し」のあらすじが紹介されるのだが,いったいこれはどういう位置づけなのだろうか?

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2017.02.20

『ゴーメンガースト』道半ば

うんざりするほど長く詳細な情景描写が続いた後,ポツリと主要登場人物の言動が記述される。

前作『タイタス・グローン』と同様,本作『ゴーメンガースト』でもまた,読者は視覚描写の饕餮文に埋め込まれた事跡を掘り起こしつつ膨大な頁を繰って前進していかなくてはならない。

タイタスの父である先代伯爵セパルクレイヴ,タイタスの乳母ケダ,書庫長サワダスト,料理長スウェルターといった前作の個性的過ぎる人物たちは姿を消し,本作では新たにベルグローヴを中心とする,これまた個性的な教授陣が登場する。

教授陣?

そう。ゴーメンガースト城には学校があり,7歳のタイタスは学友たちとともに教授たちによる退屈な授業を受けているのだ。

前作に比べて本作では,この学校の描写があることで,重苦しい雰囲気に包まれたゴーメンガースト城に少しばかりの賑やかさが加わっている。

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レンガ磨き

昨年の夏から秋にかけてうちの外壁の工事をやったのだが,そのときに作り直したレンガの壁になにやら白い結晶のようなものがついていた。

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多分,レンガを積んだ時のモルタルが雨水に溶けてレンガに浸透し,析出してきたものだろう。

見栄えが悪いので,この日曜日,古歯ブラシを使って磨いてみた。

すると,ある程度は除去出来て,もとのレンガの色合いを取り戻すことができた。

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トライアクシス社のウェブページによると,この現象は「エフロレッセンス(白華)」というらしい。

薬剤の塗布で防ぐことができるそうだが,我が家の場合は,手作業で取り除いてみたわけである。

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2017.02.19

「宇部ぱん穀博覧会」に行って来た

今年も宇部井筒屋の4階イベントスペースで「宇部ぱん穀博覧会」をやっていたので行ってみた。

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去年も行った(参考)が今回は第2回。県内外のパン屋45店舗が集結。

井筒屋にこんなに客が来るとは!というぐらいの大盛況。

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周南の"Cafe Minna",周防大島の「瀬戸内ジャムズガーデン」,宇部の「ばくや」,同じく宇部の"Chasitsu",佐賀の"D&C",そして「銀座木村家」のブースを回ってパンだのジャムだのお茶だのを購入した。「瀬戸内ジャムズガーデン」と"Chasitsu"では去年も買い物をした。

宇部の「ばくや」は天然物や有機栽培などの素材にこだわったパン屋で,値段は張るがとてもおいしいパンやお菓子が揃っている。下の写真は「ばくや」の「酵母すこーん(カラメルナッツ)」である:

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2017.02.12

た、谷口ジローが!

谷口ジローが死んでしまった!

<訃報>谷口ジローさん69歳=漫画家「孤独のグルメ」

『孤独のグルメ』も良いが、小生にとっては『坊っちゃんの時代』とか『K』とかの作画家。とても残念。


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2017.02.11

大塩平八郎=洪秀全説

これも『書物の王国20 義経』(国書刊行会)から。

同書に収められた海音寺潮五郎の随筆「義経と弁慶」によれば,義経=ジンギス汗伝説以外にも生き延びた英雄に関する伝説がいくつもある。

小生が初めて知ったのは大塩平八郎の伝説である。大塩平八郎は大陸に渡って太平天国の指導者・洪秀全となったという。その後,河口雪蓬と名を変え,沖永良部島に潜伏し,西郷隆盛と出会い,後に西郷家で西郷の子供たちの面倒を見た。そして,明治になってから鹿児島で没したとか。一説には米大陸に渡り,天寿を全うしたとも言う。スケール大きすぎやろ。本宮ひろ志『夢幻の如く』かと。

大塩平八郎は1793年3月4日(寛政5年1月22日)生まれで,有名な「大塩平八郎の乱」からおよそ一か月後の1837年5月1日(天保8年3月27日)に自害している。

これに対し,洪秀全は1814年1月1日(嘉慶18年12月10日)生まれで,1864年6月1日(同治3年4月27日)に没している。

大塩と洪とは20歳以上離れているため,同一人物とするのは無理だろうと思うが,面白くもある。

ちなみに西郷さんに関しても,西南戦争で死なず,ロシアに渡ったという伝説がある。その伝説をベースに書かれたのが光瀬龍『所は何処,水師営』である。旅順攻囲戦で西郷がロシア軍を指揮して乃木を負かしてしまうというSF。

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義経の頓智

書物の王国20 義経』(国書刊行会)という本がある。源義経に関する古今の説話や随筆を集めた本だ。

その中に「義経異聞」(須永朝彦訳)という近世の随筆・逸話を収めた一章がある。

その冒頭を飾るのが『塵塚物語』(作者不詳)の逸話「義経の頓智」である。義経の頭脳明晰なところを伝えようとする逸話だが,義経の業績とは関係無い話題で,一種不気味な感じがするのでここに概略を記しておこうと思う:

義経が人目を忍んで大和国吉野ノ県を通った時のこと。ある民家の前で10歳余りの男児が3,4歳の男児を背負っているのを見た。背負われた男児も背負った男児も,互いに「伯父,伯父」と呼び合っていた。義経はこれを見て「不義の奴らだなぁ」と笑いながら言った。

義経のお供の者たちはこの発言の意味を理解できなかったのだが,後に弁慶が謎を解いた。弁慶曰く:

――互いに伯父,伯父と呼び合うのはなぜだろうか? 例えば,ある夫婦に男女二人の子がいたとする。男子が母と通じ,女子が父と通じ,それぞれに男児が生まれたとする。こうなると生まれた男児たちは互いに伯父と呼び合うこととなる。会話からこれを見破った義経様はたいした知恵の持ち主である――。


◆   ◆   ◆


思い出したのは『古事談』の逸話。崇徳天皇は鳥羽天皇と待賢門院璋子の子とされているが,実は鳥羽天皇の祖父・白河法皇と璋子が密通して生まれた子であり,鳥羽天皇は崇徳天皇を「叔父子」と呼んで忌み嫌っていたという。白河院の荒淫ぶりについては前にも少し書いた(参考)。

「義経の頓智」も「叔父子」も単なる逸話に過ぎないが,平安末期の乱倫な世情を反映しているのだろうか?

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2017.02.06

『ゴーメンガースト』なんぞを読んでいる

六百数十ページもある『タイタス・グローン』を読み終えたところだが,その勢いで第2部『ゴーメンガースト』に手を出したところである。これも同じぐらいの分量。

『タイタス・グローン』は,タイタスが誕生した日に話が始まり,タイタスが2歳になるかならないかのある日,第77代グローン伯爵を襲名したところで話が終わる。六百数十ページも費やしてこの時間の経過の遅さ。

『タイタス・グローン』においてはタイタスが形式上の主人公であり,ダークヒーローであるスティアパイクがゴーメンガースト城において成り上がっていく様子が物語の主軸となっている。もちろん,ガートルード妃やフューシャやプルーンスクワラー医師やフレイやケダなど,城の内外の人々についても細かい描写があり,立体感のある群像劇となっている。

その続編である『ゴーメンガースト』ではタイタスは7歳に達しており,ようやく主人公らしきポジションに就く。さてこれからスティアパイクとどう対峙していくのか?

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2017.02.05

映画『沈黙 サイレンス』を見てきた

いつもと違い,今日は普通のシネコン,シネマスクエア7でマーティン・スコセッシ監督の『沈黙 サイレンス』を見てきた。

幕府によるキリシタン迫害によって棄教したとされるフェレイラ神父を追って,日本に密入国した宣教師たちの苦難を描いた作品である。

遠藤周作原作。ストーリーはシンプルだが,迫害の描写が真に迫っているのと,上映時間がとても長い(162分)のが特徴。

フェレイラ神父をリーアム・ニーソンが,フェレイラ神父を追って日本に潜入したセバスチャン・ロドリゴ神父とフランシス・ガルペ神父をアンドリュー・ガーフィールドとアダム・ドライバーがそれぞれ演じている。アダム・ドライバーといえば,「スターウォーズ フォースの覚醒」でダーク・ヒーロー,カイロ・レンを演じて一躍有名になった俳優。

こうしたハリウッド俳優たちに負けじと好演しているのが日本人俳優勢。悪とも呼べない哀れな存在として描かれるキチジローを窪塚洋介が演じているほか,迫害されるキリシタンの農民たちを,塚本晋也(モキチ),小松菜奈(モニカ),加瀬亮(ジュアン),笈田ヨシ(ジイサマ)といった芸達者な俳優たちが演じている。小松菜奈はここ数年,「ディストラクション・ベイビーズ」ほか,ありとあらゆる話題作に出演しているが,まだ20歳そこそこなので,末恐ろしいほどである。

キリシタンを迫害する役人たちを演じているのは,イッセー尾形(井上筑後守)や浅野忠信(通辞)たち。浅野忠信は国際派俳優としてハリウッドでも知られているが,イッセー尾形もソクーロフの『太陽』で主演を果たしており,すでに国際的に通用するポジションにいる。

イッセー尾形の演技はスコセッシも褒めたぐらいのハイレベルだが,それを脇においても特筆すべきは水磔で処刑されるモキチを演じた塚本晋也だろう。日本語版の予告編映像では冒頭を飾るほどである。映画のロケーションは台湾だったそうだが,あの波を食らったら生きてはおれまい。

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