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2016.12.10

【宮武一貴のイラストがいいなぁ】『SF未来戦記 全艦発進せよ(オール・ファイヤー)!』を買った件

この頃,とんでもない忙しさに見舞われていて,そこで生じたストレスを解消するべく趣味の本を買い漁っている。

趣味の本と言っても幅広いわけだが,いま集中しているのが昔のSF作品。それも光瀬龍のヤツ。皆さん,知ってますか光瀬龍!

小学校5年生のときに,萩尾望都によって漫画化された秋田文庫版『百億の昼と千億の夜』で衝撃を受けて以来,中学,高校と,『喪われた都市の記録 』,『たそがれに還る』,『派遣軍還る SFマガジン版』,そして宇宙年代記シリーズと,読み漁ってきたわけである。そうそう,『征東都督府』とか『所は何処,水師営』とかタイムパトロールものも読んだなぁ。

それから幾星霜。突然,思い出したように,喪われた過去を取り戻すかのように,かつて入手していなかった,あるいは手放してしまった光瀬龍作品をネットで注文している今日この頃である。

今回紹介するのは福島正実や今日泊亜蘭や眉村卓らとのアンソロジー『SF未来戦記 全艦発進せよ(オール・ファイヤー)!』である。

「全艦発進せよ」に<オール・ファイヤー>というルビを振ってしまうあたりが光瀬節。

Allfire

全艦発進せよ!―(オール・ファイヤー) SF未来戦記 (1978年)

じつはこの本,中学生だった時に所持していたのだが,引っ越しか何かの際に廃棄してしまった。今回,20~30年ぶりに再入手したわけである。

久々に読み直してみると,結構覚えている。とくに光瀬龍の短編はそう。

人間の脳を内蔵した艦艇,つまりサイバー艦同士の戦いを描いた「戦士たち」,特殊部隊同士が地下空間を利用して不意打ちを食らわせ合う「機動部隊を撃破せよ」などの短編。これらは,光瀬流ファンにはおなじみのアジア連邦と全アフリカ連合との間の覇権争い,つまり第一次統合戦争を舞台とした作品である。宇宙年代記シリーズと世界観を共有し,短編ながら壮大な歴史の流れを感じさせる。

「白兵戦」や「トロイ作戦」は,徴兵され,平凡な日常生活を奪われた民兵たちが奮闘する姿を描いた短編。絶望的な状況で主人公たちがなおも生き続けなくてはいけない,という光瀬龍作品の典型的なエンディングで締めくくられ,『百億の昼と千億の夜』あるいは『たそがれに還る』といった長編を彷彿とさせる。偉大なるマンネリズム。

この本,ところどころに宮武一貴<スタジオぬえ>のイラストが挿まれているのだが,武骨で実にいい。

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コメント

並録されている今日泊亜蘭とはまた懐かしい…
ホーンブロワー・シリーズの高橋泰邦がSF書いてたのは知りませんでした。「全艦発進せよ」だからありなのかな。

投稿: 拾伍谷 | 2016.12.11 00:13

ぬえ関連で言えばわたくしは佐藤道明の表紙絵なんかが好きでした。武部本一郎系の愁いを帯びた女性のイメージ…

投稿: 拾伍谷 | 2016.12.11 00:21

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