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2016.11.07

YCAMで映画2本:『バベットの晩餐会』,『ラサへの歩き方』

例によってツマとYCAMに出かけ,映画2本を立て続けにみてきた。

1本目:『バベットの晩餐会』

これは1987年の作品で第60回アカデミー賞外国語映画賞受賞作。デジタルリマスター版が上映された。

Babette

監督・脚本:ガブリエル・アクセル,原作はカレン・ブリクセン。カレン・ブリクセンはイサク・ディーネセンという男性的ペンネームで知られている。かの映画『アフリカの日々 (Out of Africa)』の原作者として名高い。日本ではこの映画,『愛と哀しみの果て』というタイトルになってしまったが・・・。『バベットの晩餐会』もまたイサク・ディーネセン名義で出版されており,日本語訳はちくま文庫に入っている:

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)バベットの晩餐会 (ちくま文庫)
イサク ディーネセン Isak Dienesen

筑摩書房 1992-02
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さて,内容はというと……。

19世紀の終わり,デンマークの漁村で信仰を守りつつましく生きる老姉妹がいた。ある日,この姉妹のもとに,バベットというフランス人女性がやって来た。バベットはパリの動乱から逃れてきたのだ。バベットは老姉妹の家でメイドとして働くこととなった。バベットの唯一の楽しみは宝くじだったのだが,老姉妹のもとに来て14年となったある日,この宝くじが当たり,10000フランを手にすることとなった。バベットはこの賞金を使って豪華なディナーを用意することを決意した……。

まったく肩の凝らない,ユーモラスな雰囲気の映画である。バベットが用意した食材が凄くて,生きたウミガメまで取り揃えているのだが,老姉妹の姉がそれを見て何を食べさせられるのか不安になり,悪夢を見るシーンがあって大笑い。結局は素晴らしい食事によって老姉妹の他,晩餐会の参加者の心が解きほぐされていく。

晩餐会に出てくる料理は本当においしそうで,空腹時にはつらい映画になりそうである。かの高名なシャンパン,ヴーヴ・クリコも出てきた。


2本目:『ラサへの歩き方~祈りの2400㎞』

Tolhasa

2015年,中国の作品。監督・脚本はチャン・ヤン。

チベットの村人たち11人が五体投地をしながらラサを経由し,カイラス山まで向かう聖地巡礼の旅の記録。

出てくる人々は役者じゃなくて本物の村人である。

Tolhasa2

話の発端は,マルカム県プラ村の老人ヤンペル(70歳)が聖地ラサに巡礼に行きたいと言い出したこと。ヤンペルの甥,ニマ(50歳)はヤンペルを連れてラサに行くことにする。最初はラサに行くだけだったのだが,翌年がカイラスの巡礼年だということで,カイラスの巡礼も兼ねる旅となった。そうしたら近所の連中も同行を申し出て,都合11人で巡礼の旅に出ることとなった。

巡礼者の中には妊婦ツェリン(24歳)もおり,旅の途中で出産することとなった。生まれた子はテンジン・テンダルと名付けられ,一緒に旅をすることとなった。

旅の途中で落石事故や交通事故など大変な目に遭ったのだが,一行はなんとかラサに到着。旅費がなくなったので,アルバイトなどをしながら資金を貯め,2か月後にはカイラスへの旅に出た。カイラスの山麓ではこの旅のきっかけとなったヤンペルが死去。ヤンペルの葬儀を済ませたのち,一行はさらに旅を続けていった……というところでエンディング。

出発点のプラ村からラサまでが西に1200キロ,そしてラサからカイラスまでがさらに西に1200キロである。五体投地の一日当たりの移動距離は10キロ程度と言われており,ぶっ続けでも240日かかる計算。もちろん間には休養や寺への礼拝などあれこれがあるわけで,まあ間違いなく片道1年以上の旅となる。これをやり遂げてしまうチベット人の信仰の篤さというか,我慢強さというか,完全に脱帽である。

上述したように,旅の途中で子供が生まれたり,老人が死んだりするわけだが,巡礼中の出来事ということで,チベットの人々には吉事としてとらえられている。信仰心の無い小生から見ると羨ましくもある。


というわけで,まるで違うかのように見えて,篤い信仰という点でつながる東西の2編を鑑賞する贅沢な日曜日の午後だった。

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