科学者と呼ぶか,研究者と呼ぶか
先日送られてきた科学史学会のジャーナル『科学史研究』(2016年7月号)を読んでいたところ,こういう研究ノートが掲載されていた:
松村洋『科学専門職はどう呼ばれているか――デジタル・アーカイブからのデータ抽出とその妥当性の検討――』(科学史研究,第III期第55巻, No.278, pp. 148 - 157)
科学専門職の呼称として用いられる「科学者」や「研究者」に相当する言葉の使用状況を各国語の新聞や書籍のデジタルアーカイブを用いて定量的に把握しようとした論文(ノート)である。
結果から言えば,R/S比,つまり(「研究者」という単語の頻度)/(「科学者」という単語の頻度)が日本語と外国語とでは著しく違うということだった。
たとえば2000年代のイギリスの新聞・雑誌ではR/S比が0.6~1.2であるのに対して,同時期の日本の新聞では約4となっている。つまり,日本語では科学専門職を「科学者」の4倍の頻度で「研究者」と呼んでいるということである。
非常に面白い結果で,日本では「科学者」という呼称を使うことが憚られている傾向があることを示しているようである。
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ところで,「科学者」というと理学の専門家をイメージするのだが,「研究者」というと医学,理学,農学,工学といった理系の広範な領域に属する人々にまでイメージが膨らむ。さらに人文社会科学系の研究者も含まれるのではないかと思われる。本研究ではこのあたりの区別はどうしているのだろうかという疑問は残っている。
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