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2016.08.02

ラオスのビジネス環境

ラオスは投資先として魅力があるかというとなかなか答えづらいものがある。

単に人件費の安さだけを求めて進出すると失敗する。

それはよその国では見られないラオス人の国民性に由来する。

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ラオス人の国民性のつかみにくさは20年ほど前の書籍,『ラオス―インドシナ緩衝国家の肖像』(青山利勝,中公新書)にも書かれていたことである。

ラオス―インドシナ緩衝国家の肖像 (中公新書)ラオス―インドシナ緩衝国家の肖像 (中公新書)
青山 利勝

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まじめだが嫌なことはしたくない。安い賃金でも働くが,時間外労働には応じない。家の用事だの法事だのの方が重要。

そういう人々に対して日本式の「5S」とか「カイゼン」とかを押し付けると,多くは逃げ出してしまうわけである。

以前,「ぼくのかんがえたさいきょうのラオスじん」という記事の中で,だらだらと考察してみたが,「寛容」「プライド」「享楽的」というキーワードで整理してみると,なんとかラオス人の国民性を把握できそうである。

人に物事を強制しないのと同時に人から物事を強制されたくない。恥をかきたくないのと同時に人に恥をかかせたくない。

そういう精神からは,恥かきベソかき汗を流しながら刻苦勉励するという態度は出てこないわけである。

だが,考えてみると,こういう国民性は,大国のはざま(大マンダラのはざま)で翻弄されてきた歴史的経緯のもとで形成されてきた,無駄な衝突を避けるための智慧のようなものかもしれない。


◆   ◆   ◆


国民性以外のビジネス環境としての厳しさをもう一つ挙げよう。それは,人口の少なさである。ヴィエンチャンこそそれなりに人が集まっているが,ちょっと田舎に行くと過疎状態。ラオスに進出した日系企業の幹部の最大の仕事は人集めである。

ある村に工場を建てたとしても労働者がそろわない。その村のみならず近隣の村々を回り,村々の偉い人々に土産を持って行ったり,お酒をふるまったりする。そして若い人々を紹介してもらう。それが,日系企業の幹部の最重要任務である。

近所に他の日系企業があったりするとさらに大変である。人材の取り合いになる。人材募集のエリアを拡大せざるを得ない。

こうしてやっと人がそろったとしても油断はできない。先ほど述べたような国民性のため,割り増し給与があったとしても時間外労働が増えたら退職者が続出する。また,農業の繁忙期は危ない。それを機に実家に帰って職場に戻らないというケースは多々ある。


◆   ◆   ◆


このように書いていくと,ラオスは投資先として絶望的な感じがしてくるが,そうでもない産業もある。

日系の某漢方薬企業はラオスで薬草の農園を拓いている。これは結構うまくいっているらしい。

毎日毎日,水をやり,草むしりをし,収穫する。こういった時間のかかる単調な作業――だが,無理なことはせず,競争もなく,日の出に始まり日の入りに終わる周期的な作業――はラオス人の国民性にフィットしているようで,ラオス人労働者たちは,まじめに農園の運営をしているのだそうだ。

アグリビジネス。それはラオスにおける投資先として見込みがある分野かもしれない。


【追伸】
ラオスにおける例外的な勤勉さで知られた「ナンプーコーヒー」の親父さんおよび店員だったが,残念ながら,先ごろレストラン経営を終了してしまった。

「ナンプーコーヒー」は食品と雑貨の店になってしまった。

さらば「ナンプーコーヒー」のカオ・ピヤック。

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