豊川斎赫『丹下健三――戦後日本の構想者 (岩波新書)』を読む
仮に明治維新以降を近代とすると,日本は近代に入って148年を迎えているわけである。そして,終戦(敗戦)の年,1945年を境とすると,明治元年から終戦までの「戦前」が77年,終戦から今年までの「戦後」が71年。多少長さが異なるが,だいたい真っ二つに分かれる。どちらの方が我々にとってリアリティのある時代かというと,後者,「戦後」である。
本書は近現代の日本建築の歴史のうち,「戦前」にあたる部分をバッサリ切り落とし,「戦後」に焦点を当てて記述している。そして,戦後建築の中心人物として丹下健三に焦点を当ててその軌跡,その思想をコンパクトに記述している。
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当然のことながら,日本の建築の流れは丹下健三とそのスクールの面々だけで形成されてきたわけではないのだが,この本は,戦後の建築の流れをわかった気にさせてくれる。これ読むと,ほんとに丹下健三って偉かったんだなーと単純に思う。
良い本だと思うのだが,一点だけ文句を言いたいところがある。
序章のタイトル,「残酷な建築のテーゼ」。
これはいかん。エヴァンゲリオンじゃないんだから。
著者・豊川斎赫氏の年齢を見たら,小生よりも3つ下。大学時代にエヴァの洗礼を受けたのかもしれん。サブカルにも理解がありますよ的な悪戯は本書には不要だと思う。
あ,本書の内容に触れるのを忘れた。別記事で書こうと思う。
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