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2016.06.27

英国のEU離脱:ロンドン独立再論

月曜日を迎えたが英国のEU離脱決定の衝撃がまだ続いている。

もともと投票前の調査結果では残留・離脱両派が拮抗していたのだから,どちらに転んでもおかしくない状況だった。にもかかわらず,離脱が決まってみると大騒ぎである。

決まったことにケチをつける動きもある:

英離脱で国内外の混乱続く、投票やり直しの請願350万人超に」(ロイター,2016年6月26日)

天気が悪くて投票に行かなかった人がいるだの,投票時によく考えずに投票した人がいるだの,いろんな理由でやり直しをするべきだ,という意見があるようだ。

しかし,この国民投票は突然行われたものではなく,よく考える時間は十分に与えられていたはずであるし,天候云々は離脱派にとっても残留派にとっても等しい条件である。相当な不正行為があったのではない限り,「今のは,無し」というのは許されない。

今大事なことは,結果をひっくり返すことではなく,次の2つだ:

  1. 離脱派の勝因分析
  2. 離脱後の英国の未来像を描くこと

1.の勝因分析についてはBBCがコンパクトにまとめているので参考になる:

【英国民投票】 離脱派が勝った8つの理由」(BBC, 2016年06月25日)

また,国民投票前にガーディアンに乗っていたこのオピニオン記事は残留派敗北の原因を考えるうえで,非常に参考になった:

"Why do some of us with migrant parents want to vote for Brexit?" (Iman Amrani, the guardian, 22 June, 2016)

英国では移民2世,3世のうち,3分の1は離脱派だったのである。残留派は,EU出身の移民と英連邦出身の移民との間の不公平感を解消することができなかったと考えられる。

2.の離脱後の英国の未来像に関しては,ロジャー・ブートルがその著書『欧州解体』で述べていたことの抜粋が参考になる:

英国のEU離脱は、極めて合理的な判断だった――英トップエコノミストが予言していた「崩壊」」(東洋経済,2016年06月24日)

あと,英国未来像に関連した話題だが,前の記事で取り上げたスコットランド独立の動きとともに,ロンドン独立という冗談のような話も起こっている。

これについては小生は冗談だとは思っていない。少し前にガーディアン紙でロンドン独立のアイディアが出ていたからだ。

"UK growth? Make London independent to mend the north-south divide" (by Larry Elliott, Sep. 22, 2013, The Guardian)

本ブログでは2013年当時,この記事に対する解説を行った。今回の国民投票にせよ,スコットランド独立にせよ,ロンドン独立にせよ,背景にあるのは英国内の深刻な地域間格差である。

英国は回復不能なほど地域間格差が広がっているということを前提に未来像を描きなおすべきだろう。

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コメント

間接民主制というのは集団内部の対立熾烈化を回避する安全弁としても機能するのだなと思いました。
ところでフランスの反応がすごくいじわるですね。
「えw?出てくの?そりゃ残念だなあw」みたいな。やっぱりイギリスのこと嫌いだったんですね。

投稿: 拾伍谷 | 2016.06.28 10:42

Brexit決定から一週間経ちましたが,欧州議会ではUKIPのナイジェル・ファラージとユンケル委員長が舌戦(というか罵倒合戦)を繰り広げたりいろいろ面白いことになっています。
もともと独自通貨ポンドを維持していたり,英国はEU内では浮いた存在だったわけで,フランスの本当の気持ちがここで出てきたという感じがします。

投稿: fukunan | 2016.06.30 11:41

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