【男たち,美しく】久々に『戦場のメリークリスマス』を観た【男騒ぎの】
数日前の深夜,日本映画専門チャンネルを流しながら,書類をまとめていたところ,懐かしの『戦場のメリークリスマス』が始まった。仕事を放り出してじっくり観た。ちゃんと観たのは四半世紀ぶりか。
「男たち,美しく」そして「男騒ぎの」
この映画は1983年の作品。当時,ビートたけしとデヴィッド・ボウイは36歳,坂本龍一は31歳,トム・コンティは41歳だった。当時,小学生~中学生だった小生から見れば皆,おじさんたちだった。しかし,現在の小生から見れば皆,遥かに若い。フレッシュでキラキラしている。「男たち,美しく」というキャッチコピーの意味は今でこそわかる。
ちなみにデヴィッド・ボウイは1月8日,坂本龍一は1月17日,ビートたけしは1月18日の生まれである。メインの4名のうち3名が1月生まれで何やら奇縁を感じる。
「男騒ぎの」というキャッチコピーは天才的だ。大島渚監督が考えたのだろうか? とあるブログ(参照)で「大島渚監督は,遺作となった『御法度』に至るまでずっと,この“男騒ぎ”ってな言い回しがテーマに思えて仕方が無いよね」と記している人がいるが,全く同意。
ここは死後の世界
「何て美しい映画なのだろうか。ジャワの青い空に深い緑の中の捕虜収容所,映像に映し出される全てのものが美しい,そしてあの印象的な音楽も美しい」(by こねこねこ堂)
この映画は映像と音楽が競い合う素晴らしい作品である。セリアズがヨノイにキスをするシーン。画面がガクガクと揺れ動くのだが,これは機械の故障により生まれた奇跡であるという。このシーンのバックに流れる,坂本龍一作曲の「種を蒔く」も素晴らしい。「音楽の学校」だっただろうか,キョージュは雅楽の笙をモデルとしたと言っていたと記憶する。笙の音は天上の音楽。つまり,映画の舞台となった熱帯の収容所は一種,天国,死後の世界だったのである。
「映画音楽」か「音楽映画」か
映像表現に緻密な計算(機械の故障による奇跡もあった)があったように,音楽についても緻密な計算があった。その辺りは「音楽の学校」でキョージュ自身が浅田彰らを横に置いて解説している。
和音の豊かさを追求したドビュッシー,サティ,ラヴェルの系譜の上に,東洋的な旋律と西洋的な伴奏を対峙させるというとてつもない高度な技術を駆使して作り上げられた曲。それが「メリークリスマス,ミスターローレンス」だという。
作り方の順番としては映像があって,それに合わせて音楽がつけられたのだが,後から見ると音楽が主体で,それに合わせて映像が存在するというようにも見える。「映画音楽」か「音楽映画」か。
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