山本紀夫『トウガラシの世界史』を読む
現在,タイやマレーシアに出張中である。その移動の合間に読んだのが,先日刊行された山本 紀夫『トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」』(中公新書)である。とても面白い。
トウガラシは中南米原産。ピーマンやパプリカもトウガラシの一種である。
ジャガイモもそうだが,コロンブスに見いだされてから数百年で世界中の食卓を席巻したのだから凄い。
世界各地で伝統食と言われているものの中にはトウガラシを使用しているものがあるが,それは高々数百年の伝統を持っているのに過ぎない。
朝鮮民族の伝統食キムチだってトウガラシを使うようになったのは18世紀以降のことである。
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本書ではトウガラシの起源や植物学的な情報が述べされたあと,世界各地におけるトウガラシ受容の歴史が語られている。
トウガラシは栽培が容易であったため,胡椒にとって代わり各地で調味料として利用されるようになる。
凄いのはブータンで,調味料としてだけではなく,辛いまま野菜として食されるようになっている。
「きっとブータンは世界一辛い食事をしている国に違いない」(本書131ページ)
と著者は語っている。
小生が現在滞在しているタイ等,インドシナ半島のトウガラシ事情が書かれていないのが残念だが,ページ数の制限によるものだろう。
トウガラシの辛さを図る「スコヴィル単位」についても書かれていて,トリヴィア好きにはたまらない本である。それにしても,日本産の「熊鷹」という品種がハバネロに次ぐ辛さだとは知らなかった(ハバネロが30万スコヴィル,熊鷹が125000~15万スコヴィル)。
本書の著者はトウガラシの起源と栽培化に関する論文で学位(農学博士)を取っており,まさしくトウガラシ博士。
梅棹忠夫の弟子であり,梅棹忠夫の影響で生物学から民族学に転向してしまった経緯を持つ。以前本ブログで紹介した『梅棹忠夫―「知の探検家」の思想と生涯』(中公新書)の著者でもある(参考)。
『梅棹忠夫―』もそうだったが,本書『トウガラシの世界史』も文章がとても読みやすく,旅のお供にうってつけ。
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