森鴎外『椋鳥通信(下)』が出た
待ちに待った森鴎外『椋鳥通信(下)』(岩波文庫)が刊行されたので,また宮脇書店で購入した。
近所の宮脇書店では岩波文庫の新刊は何冊も入らない。だいたい一冊ずつだ。急いで買わないといけない。
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延々と続いた椋鳥通信もこれで終わりである。最後の話題は1914年のオーストリア皇太子夫妻暗殺事件である。正確には「椋鳥通信」ではなく,「水のあなたより」という「椋鳥通信」の続編の記事である。
公爵と妃とは議事堂で市長と挨拶を交換して,再び自動車に乗り,衛戍病院へ附武官を見舞いに往く途中,元商業学校生徒Gavrilo PrincipがBrowning拳銃を連発した。丸は先ず妃の腹に中って大静脈を破った。妃は公爵の膝の上に仆れた。公爵は「どうぞ子供のために死なずにいてくれ」と云った。その時公爵の頸に第二の丸が中って頸動脈と気管とを破った。公爵も仆れた。(水のあなたより1914年7月15日発,『椋鳥通信(下)』470ページ)
オーストリア皇太子夫妻暗殺事件を機に第一次世界大戦が始まり,森鴎外の手元にはシベリア鉄道経由のヨーロッパ情報が入らなくなった。情報減の消滅が1909年から続いた「椋鳥通信」の終わりであった。
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