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2015.10.27

幻日

昨日,東京からの出張の帰り,モノレールに乗って羽田空港に向かった。

モノレールの車窓から見えたのがこの「幻日(げんじつ)」である。

Genjitsu

左右に太陽らしきものが見えるだろうか?

右の太陽(雲越しに縦方向に分裂しているように見える)が本物で,左にあるのが偽物の太陽である。

虹と同じで,雲の中の氷の結晶がプリズムとして機能するために起こる現象である。

誰ですか,「ニビル」が現れたと言っているのは。

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2015.10.23

アヨ,ワリ,マンカラ

心行くまで痛飲してしばらくたってから,父は近くにあった<アヨ>の盤を自分たちのまえに引きよせた。かれらは大きな声で冗談をいったりして,アヨのゲームに興じ始めた。(エイモス・チュツオーラ『薬草まじない』,16~17ページ)
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アヨというのはヨルバ族の中での呼び名で,アフリカ・中近東・東南アジア・カリブ海に広く存在し,"mancala"と総称されているボードゲームの一種である。ワリという呼び名もある。

起源はとても古く,紀元15世紀,古代エジプトでプレーされていた痕跡があるという。

同じ盤を使うものの,ルールのバリエーションは広く,100以上あるとか。

フリーのソフトも配布されているが,小生はDavid Grogonoというプログラマーが作ったWaurie(ワリ)で遊んでいる:

"Waurie"

このワリはケイマン諸島でのルールらしい。自分側のピット(穴)をすべて空にすると勝ち。コンピュータが頭が良く,なかなか勝てない。

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2015.10.22

椋鳥通信に見るノーベル賞の話題

年末が迫るにつれ,ノーベル賞が話題になるというのは百年前も同じだったようである。

鴎外は1911年12月1日発の椋鳥通信でノーベル賞受賞者の噂と結果について書いている。

まず,予想(噂)はこうだった:

○今年のノベル賞金を医学ではAllvar Gullstrand (Upsara)が貰う筈。目の屈折機を研究した人である。……○今年のノーベル賞金を受ける人々の候補は理学でEdison, Tesla(並にアメリカ)Bjerknes(ノルウェエゲン)化学でNernst(ベルリン)Svedberg(スウェエデン)文学でMaeterlinck(ベルジック)Heidenstam, Strindberg(並にスウェエデン)Troels, Pontoppiddan(並にデネマルク)平和事業でEllen Keyである。(22~23ページ)

で,結果はこうなった:

○ノベル賞金は化学がMadame Curieになるらしい。夫人は二度目に賞金を受けるのである。文学は矢張Maeterlinckになりそうだが,Schoenherrにしようかという意見もある。併しHauptmannが受けていないのに,ショオンヘルが受けるのもいかがのものか。 ○ノベル賞金を理学で受けるものはMax Planck (Berlin), W. Wien (Wuerzburg)の二人らしい。 ○Madame CurieがLangevinと失踪したと云う話が取り消された。二人共Bruxellesの学会に出ていると云うのである。(31ページ)

キュリー夫人は「ラジウムとポロニウムの発見,ラジウムの性質およびその化合物の研究」の業績で二度目のノーベルを受賞した。ちなみに一度目の受賞は1903年の物理学賞である。

椋鳥通信の記事が事実と異なるのは物理学賞。ヴィーンは「熱放射の諸法則に関する発見」によりノーベル物理学賞を受賞したが,マックス・プランクは受賞していない。プランクが受賞するのは1918年である。

最後の部分は余計な話題であるが,夫亡き後のキュリー夫人が夫の教え子ランジュバンと不倫関係にあるというゴシップ記事である。ランジュバンには妻がいた。ノーベル賞予想に絡めて候補者のスキャンダルを取り上げるのが鴎外流。

ちなみに,ノーベル生理学・医学賞は予想通りAllvar Gullstrandが受賞した。

で,文学の方はというと予想通りメーテルリンクが受賞した:

○ノベル賞金を受ける文学者はMaeterlinckと決定したそうだ。(34ページ)

このあと,鴎外は面白いお遊びを披露している。1901~1910年のノーベル文学賞受賞者の名前を並べてみるとメーテルリンクの名前が浮かび上がるというのである:

Nobellaureate_3

左が受賞者の名前,右が受賞年である。

ちょっと無理やりの感があるが,メーテルリンクの綴りが11文字であるのに対して,過去10年間に11人の受賞者がいたため,こういうお遊びができたわけである。

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鴎外はトルストイ『生ける屍』にご執心

森鴎外『椋鳥通信(下)』冒頭の1911年12月1日発「椋鳥通信」は,トルストイの戯曲『生ける屍 (Живой труп)』の興行情報だらけである。

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以下,関連する部分を引用してみる。ページ数は『椋鳥通信(下)』のそれである。

○10月16日にモスクワの芸術家劇場でLeo Tolstoiの「生きたる死骸」の初興行があった。素行の修まらない官吏Fedor<フェドル> Protassowが失踪した。その妻Lisa<リザ>には若い時からの友人がある。Victor<ウィクトル> Kareninと云うのである。フェドルは遺書を作って自殺しようとすると,乞丐の娘Maschaが止める。リザは夫が死んだと思って,ウィクトルと結婚する。後フェドルが居酒屋で発見せられる。リザは重婚のために告訴せられる。フェドルが法廷で自殺する。ざっとこんな筋である。(15ページ)

小泉信三が『読書論』で語っていたが,鴎外は要約の名手で,海外の小説や戯曲のあらすじを数行でまとめることができた。ここでもその手際の良さを見ることができる。

ただし,鴎外がこの作品を直接読んでいたかどうかはわからない。

トルストイは1910年に没し,その直後,『生ける屍』は未完ながらも遺作として発表された。ロシア語の原本から鴎外の得意とするフランス語かドイツ語に訳されるまでには時間が必要だろうし,あらすじだけ知っていたのかもしれない。

なお,「乞丐の娘Mascha」と書いているが,正確にはロマ(ジプシー)の歌手である。

○ドイツでのTolstoi遺稿「生きたる死骸」の第一興行は,十月二十八日ハンノオウェルのDeutsches Theater[ドイツ劇場]に於てせられる。(25ページ)
○ハンノオウェルのドイッチェス・テアアテルのTolstoi作「生きたる死骸」の興行は全く失敗に帰した。ロシアの原本をFrappa, Siberと云う二人のフランス人が訳し,それをAlfred Lickteigと云うものが重訳した本を使ったので,物になっていなかった。August Scholtzの訳(Berlin, J. Ladyschnikow [J.ラディシュニコフ書店])は完全である。(28ページ)

現在では『生ける屍』と訳される<<Живой труп>>だが,鴎外は,まず「生きたる死骸」と訳した。しかしページが進むと「生ける死骸」というように若干違う訳をしている。

○ロシア人Alexander Solowjewの云うには,Tolstoiの「生ける死骸」は,自分が1908年に作った「生ける亡者」を剽窃したものだと云っている。(36ページ)
○十一月十四日にはホオフブルヒ(ウィイン)での「生ける死骸」が善い訳本で初興行になった。(38~39ページ)
○Neues Volkstheater [新民衆劇場](Berlin, Koepennicker Strasse [ケペニック通り])で,Tolstoiの「生ける死骸」を興行した。訳者はAdolf Hessである。大舞台の上に一段小さい舞台を据えて,白い木の枠で囲んだ。小道具は卓,椅子位に留めて,已むことを得ない時丈長椅子を使った。場所の変更は貼壁のような背景で見せた。(49ページ)

『生ける屍』は世界的な大ヒット作となった。鴎外はその盛り上がりぶりをリアルタイムで伝えたかったのだろう。

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森鴎外『椋鳥通信(下)』が出た

待ちに待った森鴎外『椋鳥通信(下)』(岩波文庫)が刊行されたので,また宮脇書店で購入した。

近所の宮脇書店では岩波文庫の新刊は何冊も入らない。だいたい一冊ずつだ。急いで買わないといけない。

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延々と続いた椋鳥通信もこれで終わりである。最後の話題は1914年のオーストリア皇太子夫妻暗殺事件である。正確には「椋鳥通信」ではなく,「水のあなたより」という「椋鳥通信」の続編の記事である。

公爵と妃とは議事堂で市長と挨拶を交換して,再び自動車に乗り,衛戍病院へ附武官を見舞いに往く途中,元商業学校生徒Gavrilo PrincipがBrowning拳銃を連発した。丸は先ず妃の腹に中って大静脈を破った。妃は公爵の膝の上に仆れた。公爵は「どうぞ子供のために死なずにいてくれ」と云った。その時公爵の頸に第二の丸が中って頸動脈と気管とを破った。公爵も仆れた。(水のあなたより1914年7月15日発,『椋鳥通信(下)』470ページ)

オーストリア皇太子夫妻暗殺事件を機に第一次世界大戦が始まり,森鴎外の手元にはシベリア鉄道経由のヨーロッパ情報が入らなくなった。情報減の消滅が1909年から続いた「椋鳥通信」の終わりであった。

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2015.10.21

1966年のデザイン騒動

1970年に大阪万博が開催された。183日間の会期中に6421万8770人もの入場者を迎え、成功裏に終わったことはよく知られている。

この万博の公式シンボルマークの選考過程で一悶着があったことを諸兄は知っているだろうか?

日本万国博覧会協会は公式シンボルマーク選定のため、勝見勝河野鷹思桑原武夫丹下健三原弘真野善一、新井真一(通産省デザイン課初代課長)ら7名を審査委員とする指名コンペを実施した。

指名されたのは15名のデザイナーと2団体。締め切りは1966年1月31日だった。

同年2月9日に審査が行われ、応募作48点の中から西島伊三雄の案が選定された。対立する左右二つの円が結びつき、その上方に調和的発展を意味するもう一つの円が浮かんでいるという絵柄だった。

Nishijima
西島伊三雄案(東京国立現代美術館『大阪万博1970 デザインプロジェクト』2015年,21ページより)


しかし、大阪万博のテーマ「人類の調和と発展」を見事に表現したかのようなこの作品は、万国博覧会協会の石坂泰三会長(経団連会長、元東芝会長)の鶴の一声によって却下された。


「誰が見たって上のやつは日の丸だよ……日本はいばってやがるという批判を受けるかも知らぬよ」(前掲書21ページ)

これを受けて万博協会は、先に指名したデザイナーたちに再度応募を要請、4月4日に石坂泰三会長を含む審査会が開かれた。応募作57点の中から選ばれたのが、大高猛の案だった。今でもよく知られている、桜をモチーフとした作品である。

Jexpo70
大高猛案(前掲書18ページより)


選考過程に対しては大きな議論が巻き起こった。デザイン界からは、審査委員会は万博協会会長に屈するべきではなかったという意見が寄せられた。審査委員会の権限が不明瞭だったことから起きた騒動であったといえる。

それから49年を経た今年、オリンピックをめぐる騒動が二つ発生した。審査委員会の権限の不明瞭さという点では、1966年のデザイン騒動は、エンブレムパクリ疑惑よりも国立競技場建設騒動に似ている。


参考: 東京国立現代美術館『大阪万博1970 デザインプロジェクト』2015年

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2015.10.19

ゲーム本の行方

津野海太郎の『百歳までの読書術』をちら読みして気になったのは,老いて後,蔵書をどうするべきか,という問題である。

百歳までの読書術百歳までの読書術
津野 海太郎

本の雑誌社 2015-07-22
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未来のことはわからないが,小生も人生半ばを過ぎたところに至ったものと考えられる。蔵書家というほどではないが,壁一面が本でいっぱいになっている。あと何十年生きても,草森紳一(参考)ほどにはならないと思うが,今後も増え続けるだろう本どもをどこに収納したらよいかと思うと,少しぞっとする。

最近はささやかな対処方法として,引き取り手の無いだろう,賞味期限を過ぎた書籍をスキャンして電子化している。いわゆる自炊という奴である。

自炊の対象となっているのは100円均一コーナーで入手した古本の類やゲーム本の類である。

今回はゲーム本のことを書く。


◆   ◆   ◆


小生がサラリーマンになって,金と時間に多少の余裕が出てきた頃,セガサターンでシミュレーション系のゲームをプレーすることに嵌っていた。

大戦略』とか『提督の決断』もヤバかったが,もっとエラかったのが『信長の野望』,それも『天翔記』である。

有名武将はあまり選ばなかった。選んだのは上杉謙信ぐらいか。

信長の野望 天翔記 ハンドブック』や『信長の野望 天翔記 マスターブック』といったゲーム本を頼りに,弱小大名をチョイスしては天下統一に励んでいた。

Tenshokihandbook

サラリーマン時代には土浦近辺に住んでいたので,小田氏治なんぞ選んで,天下統一をしたこともある。

Odaujiharu

『ハンドブック』には全武将のデータが,『マスターブック』には全城郭のデータが掲載されていて,非常に役立った。ちなみに『マスターブック』には「戦国女英雄伝 姫大名の国取り絵巻」というコーナーがあって,「朝倉桜」という架空の姫大名を主人公としたギャグストーリーが掲載されていた。

Tenshokimasterbook

姫武将というのは天翔記のシステムで,家臣が少ないときに当主の娘が武将になれるという仕組みである。姫は父親(当主)の能力を受け継ぐので,目茶目茶有能な武将の娘が姫武将になると,これもまた目茶目茶有能な武将となる。

Urawaza

『電撃ウラワザ王』という本にはセガサターン版天翔記で「本能寺の変」という4つ目の隠しシナリオを登場させる裏技が紹介されていた。

Urawazatenshoki

小生はこの「本能寺の変」シナリオで雑賀衆鈴木氏を選択して,和歌山に攻め寄せる織田軍団を蹴散らし,形勢逆転して楽しんでいた。ちなみに,その際は雑賀孫市の娘たちを姫武将にして,日本一の鉄砲軍団を編成していたものである。


◆   ◆   ◆


というわけで20世紀の終わり,某サラリーマンは『信長の野望 天翔記』に莫大な時間と労力を投じていた。

そのときに支えになったゲーム本の数々はやがて不要となったものの捨てられもせず,今に至っていた。

そして今回,裁断→スキャン処分となった次第である。

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2015.10.18

YCAMで安藤サクラ主演『百円の恋』を見てきた

YCAMで『百円の恋』を見てきたんだけど,安藤サクラは日本を代表する名女優ですね。

Hyakuen001

【あらすじ】
弁当屋を営む実家で自堕落な生活を送っていた32歳の女性,斉藤一子(いちこ)が,出戻りの妹との大ゲンカをきっかけに家を出て一人暮らしを始める。百円ショップで深夜のバイトを続ける中,帰り道に通るボクシングジムで引退間近のボクサー,狩野と知り合い,恋に陥る。狩野は引退後間もなく,豆腐の行商のバイトを始め,そこで一緒に働いていた女のもとに行ったきり一子のもとには帰ってこない。捨てられた一子はボクシングを始め,やがて本格的にプロテストを受けるまでに打ち込むようになる。

Hyakuen002

自堕落で体型が崩れていたところから,ボクシングのトレーニングを通して引き締まった体になるところまで演じきった安藤サクラは凄い。関係ないけど『GIジェーン』のデミ・ムーア思い出したね。

ボクシングのトレーニングシーンと試合のシーンはとても良い。安藤サクラ,あんなに俊敏に動くとは。本格的にボクシングのトレーニングを積んだね。山口県の誇る映画評論家マニィ大橋が讃えるほど安藤サクラの変貌ぶりは凄い。

あと,安藤サクラは濡れ場も厭わないんだけど,身内のを見ているようなリアリティがあり過ぎて,見ている側が恐縮する。そのぐらい演技力が素晴らしい。

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それにしても,今日のYCAMでは,この映画を見に来た観客が他の映画の時よりも多かった。

「山口・周南映画祭発、祝!」
「第88回米国アカデミー外国語映画賞日本代表選出!」

というのが効いているのかも。

ロケ地も下松や周南だったし,地元所縁の映画ということで。

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2015.10.16

エイモス・チュツオーラ『薬草まじない』を読み始めております

先日購入したまま放置していたエイモス・チュツオーラ『薬草まじない』(岩波文庫)を読み始めております。

訳は『やし酒飲み』と同じく土屋哲。

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これもまた主人公が旅に出る話。

妻の不妊症を解決するため,<女薬草まじない師>を探しに<さい果ての町>を目指すのだそうだ。

原題は明確にそのことを述べている:

"The Witch-Herbalist of the Remote Town"

この話,『やし酒飲み』と同様,どこに話が進むのか予測不能で,要約もできない。

また祝詞のように長い言葉が繰り返し繰り返し出てきたり,登場人物たちのやることなすことが残虐なのにおおらか,というあたり,日本の「記紀神話」を思い起こさせる。

人によって好き嫌いがあると思うので,誰にでもおすすめできるものとは思わない。

しかし,訳者の文章の巧みさもあると思うが,エイモス・チュツオーラの小説は一度はまると抜け出せなくなるタイプのものだ。

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2015.10.15

ペンシルベニア通り1600番地

ホワイトハウスの別称だそうで。

CNNの特設サイト「2016年大統領選 候補者一覧」でヒラリー・クリントンの略歴を見ていたらこんな風に出てきた:

「ビル・クリントン42代大統領の大統領夫人としてペンシルベニア通り1600番地で暮らしたことがある。」

アメリカ人だったらすぐ,ホワイトハウスのことだとわかるのだろう。

英国で首相官邸のことを「ダウニング街10番地」というのと同じ。

日本では国会議事堂や首相官邸をまとめて「永田町」と言いますね。あとは中国の「中南海(チョンナンハイ)」とか,韓国の「青瓦台(チョンワデ)」とか。

原作は全然タイトルが違う(↓)

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シリア騒乱:イラン軍数千人がシリア国内に展開中

ロシア系日本語ニュースサイトの「スプートニク」曰く:

イランのスレイマニ将軍率いる数千人のイラン兵、シリアに到着

とのこと。

以前からロシアとイランが連携してアサド政権をサポートしている動きがあり,先日からはロシアによるIS(およびその他の反アサド勢力)への空爆が繰り返されている。

ここにきて,イランが動き始めたようである。

ちなみにカセム・スイレマニ(ガーセム・ソレイマーニー)将軍はイラン国外で特殊作戦に従事するゴドス部隊(イラン革命防衛隊の一部門)の司令官である。

ということは,シリアに展開中の兵士たちはゴドス部隊だろうと推定される。

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2015.10.13

「酒場放浪記」を見てから「レモンハート」を見るという流れ

先週から毎週月曜日の晩がえらいことになった。

諸兄もご存じのとおり,月曜日午後9時といったらBS-TBSの『吉田類の酒場放浪記』を見なくてはならない。月曜にNHKの「ニュースウォッチ9」を見るとすれば,よほどの大ニュースがある場合に限られる。

月曜の午後9時から10時まで『酒場放浪記』を見れば,あとは自由時間という感じだったのだが,先週から状況が変わった。

BSフジ開局15周年ということで,古谷三敏原作のドラマ『BAR レモンハート』が月曜午後10時から放映されるようになってしまったのである。梅雀がマスター役なんてはまり過ぎだろ。あと,番組の終わりにヨレヨレの古谷先生がご登場して素敵なバーのご紹介までするので一瞬たりとも気を抜けない。

酒番組のコンボはいい加減にしていただきたいといううれしい悲鳴をお伝えいたしました。

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2015.10.07

【ノーベル賞】どうして記者会見中に大臣からの電話が来るのか?

大村智先生が医学生理学賞を,梶田隆章先生が物理学賞を,というように連日ノーベル賞の話題で盛り上がっているのだが,気になるのが午後9時前に開かれる記者会見。

記者会見自体が気になるのではない。

どうして記者会見を中断するような形で文部科学大臣からの電話が入るのだろうか? それがとても気になる。

大臣室でテレビを見ていたら記者会見が始まったので,それであわてて電話を入れたということだろうか? 大村智先生の時は安倍ちゃんのお電話も加わっていた。安倍ちゃんの場合は9時ごろからTPP大筋合意というこれまた重要な記者会見もあったわけで,そちらが落ち着いてからの祝電でも良かったのではないだろうか?

余談ですけど,下村氏のあとは馳氏が文部科学大臣就任だそうで。鈴木大地スポーツ庁長官と並んでマッスル系がそろい踏み。

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2015.10.05

『鯰絵』の現代的意義

岩波文庫版『鯰絵』の巻末には宮田登,小松和彦,中沢新一の3者による解説文が掲載されているのだが,東日本大震災後の日本人にとって最も意味のある解説文は中沢新一による「プレート上の神話的思考」である。

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一節を引用しよう:

「鯰絵を前にして,そこに表現されている知性のたくましさ,洒脱さ,高さに,驚かされる。そして同じ大震災を経験した現代日本人との知性における大きな落差に,気づかされることになる。大震災を体験したあと,現代日本人は『絆』だとか『復興』だとか,平板なボキャブラリーを動員しての紋切り型の思考しか生み出せなかったのではないか。そのため大震災があらわにした現実を前にして,大きな広がりと射程をもった根源的な思考で,それを受け止めることがほとんどできなかった。人間も自然の一部分にすぎないという真実が,そういう思考には深い実感として組み込まれていない。ようするに私たちには人間のことしか見えていないのである。」(『鯰絵』582ページ)

そういった現代人とは違い,江戸の庶民たちは鯰絵を通して,猛威を振るう自然に向き合うすべを知っていた。江戸時代の庶民であっても,そこらにいる鯰が地震の張本人だと本気では思っていない。本気では鯰を地震の張本人だとは思っていないが,あえて鯰を地震の張本人として非難したり,からかったりして,「知性とユーモアをもって,乗り越えがたいほどの困難を乗り越えようとしているのだ」(583ページ)

科学技術が発達し,危険の予知や被害の軽減が可能になってくるに従って,災害はあってはならないことになり,人は絶対に死んではいけないことになった。ロングスパンで見れば,必ず災害に遭い,死ぬこともあるというのに,それを無視して幸せな生活が永遠に続くかのような錯覚に陥っているのが現代人である。

何世代もの間に培われてきた神話的思考を土台に,自然と折り合いをつける方法を身につけていた江戸の庶民に学ぶことは多い。『鯰絵』は単に昔の人々の考え方をまとめた本ではない。自然と向き合う,死と向き合う(メメント・モリ)。そういうことを思い出せさせてくれる現代的意義を持っている。

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2015.10.04

『鯰絵』における構造分析:オランダ構造主義の伝統と日本民俗学の研究成果の見事なマリアージュ

業務多忙につき,読書の時間が足らず,だいぶ日数がかかったがアウエハントの『鯰絵』を読み終わった。

前にも紹介したが,600ページを超える大部。1440円+税でこれほど長く楽しめるのだから読書というのは実に良い。

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1855年の大地震の直後,膨大な種類の多色刷りの「鯰絵」が出回った。これらの絵を読み解くために,アウエハントは膨大な量の日本民俗学のデータを渉猟し,日本人が抱いている神話世界の両義的な構造を明らかにした。

本書のもととなっているのはアウエハントの博士論文であり,人文系の博士論文はかくあるべしというお手本のようなものである。工学分野で博士号を取ったものとしては,「人文系スゲェ」と感嘆せざるを得ない。

なによりも凄いと思うのは第1部から第2部,400ページ余りをかけて検討を重ねてきた様々な小問題を,第2部第3章あたりから構造分析の手法を使ってまとめあげるところである。

莫大な量の民話から収集した大地と水界,河童,猿,カワワロ,ヤマワロ,その他もろもろの要素を,相互に干渉しあう二元論的な構造としてまとめあげたのが,次の図である。

Namazuefig7
(『鯰絵』467ページ,図表7に加筆)

また,本書の主題である鯰,つまり地震を起こす悪の存在でありながら,世直しを行い人々に富をもたらす善の存在でもある鯰をエビスや鹿島大明神や水神といった関連する神々に結び付けながら整理したのが次の図である。

Namazuefig8
(『鯰絵』488ページ,図表8に加筆)

この図には小生が「目」の絵を書き足しているが,これは2つの視点A, Bから次のように読み解くことができるということを表している。

まずAからは次のような読み解きができる:

  • 「鹿島大明神は,雷神の姿とそれに連なる英雄の観念を通じて,エビスという形象に置き換えられる」(488ページ)
  • この図でいう「英雄」とは巨人,怪童という言葉で置き換えても良く,<鹿島大明神―雷神―文化英雄>,<エビス―少名毘古那―文化英雄>という関係を表現するための名称である
  • 鹿島大明神もエビスも石を通して示現するという点で共通している。鹿島神宮には神体として要石が祭ってある。漁村の中には,海底で拾った石をエビスと称して祭る事例がある
  • 結果的に鹿島大明神とエビスは置換可能な存在となる。『鯰絵』の中には,鹿島大明神が鯰を要石で押さえつける画題もある一方,エビスが鯰を瓢箪で押さえつける課題もあり,両者が置き換え可能であることの傍証となっている


またBからは次のような読み解きができる:

  • 猿は水辺にすむ存在であり,山に住むヤマワロ,川に住むカワワロという存在に分裂する
  • 「カワワロは水神の観念が擬人化したものであり,その二次的な擬人化が水界の醜い少童(水童)である。これらを介して,<負>の,つまり水界のエビスとの直接的なつながりもまた可視的なものとなるのである」(490ページ)
  • 漁師や猟師にとって「エビス」は猿を表す言葉だった。また,広島では河童を「猿猴」と呼んでおり(「猿猴橋」という地名・広電の駅名がある),猿とエビスと河童の間には密接な関係性が見られる
  • また,大津絵に見られる猿が瓢箪によって鯰を抑えるという画題と,エビスが同じく瓢箪によって鯰を抑えるという画題との類似性によって,猿と河童とエビスとが相互に置換可能な存在であることがわかる

これらの図式によって,アウエハントは鯰絵の背後にある神話的世界を明瞭に示すことに成功した。

構造主義といえばレヴィ・ストロースであり,もちろん,アウエハントもその研究成果に触れている。しかし,本書は,フランスに先んじてオランダの人類学の領域でデ・ヨングらによって発展してきた構造分析の伝統に位置づけられるものである。

より短く(ソムリエ風に)言えば,本書はオランダ構造主義の伝統と日本民俗学の研究成果の見事なマリアージュである。

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サウジとカタール,ロシアのシリア内戦への介入に対抗措置

ロシアがアサド政権支援のための空爆をしていることをアメリカが非難しているが,この記事を読むと,アメリカはこの問題ではどちらかというと脇役であるという印象。

"Gulf states plan military response as Putin raises the stakes in Syria" (by Emma Graham-Harrison and Saeed Kamali Dehghan, the guardian, Oct. 4, 2015)

"Russia's bombing of rebel positions has angered countries in the region that have been trying to oust Syria's President Bashar al-Assad. Analysts say Saudi Arabia, Qatar and Turkey are now likely to increase military aid to the anti-Assad groups they support"

ロシアがISIS攻撃を名目として他の反政府勢力の拠点にも爆撃をしていることに対し,サウジアラビア,カタール,トルコが怒っており,反政府勢力の支援を強化するという話。

ご存じのとおり,シリア内戦は様々な要素が複雑に入り乱れている。

日本ではISISの脅威が強調されるが,中東諸国にとってはアサド政権を倒せるか否かという側面の方が重要である。

中東ではシーア派の大国イランとスンニ派(というかワッハーブ派)の大国サウジアラビアが勢力争いを続けているという構図があり,両勢力がぶつかっている最前線がシリアとイエメンの2か国である。

シリアのアサド政権はアラウィー派で,特殊な派閥だがシーア派の一派として数えられることが多い。シリアは内戦中ではあるがイランの影響下にあり,イエメンはサウジアラビアの影響下にあるとみてよい。

アサド政権が倒れれば,サウジアラビアはシリアを勢力圏に加えることができる。だからシリアの反政府支援をやめるわけにはいかない。

ところがここに来てロシアがアサド政権の積極的支援に回った。サウジアラビア(そしてカタールやトルコ)にとっては大きな躓きである。

だが,アサド政権のバックにイランの影が見え隠れする以上,このゲームを降りるわけにはいかない。サウジアラビアを初めとする国々によって反政府勢力支援が強化されるだろう。場合によっては最新鋭兵器が供与され,シリア内戦はエスカレートする可能性がある,というのがガーディアン紙の見方である。

可能性は低いが,ロシアとサウジアラビアの間で話し合いが成立すれば,解決の糸口が見つかるかもしれない。ロシアがイランを退けてアサド政権をコントロールするようになれば,サウジアラビアも少しは納得するかもしれないからである。

だが,そもそも,両者が同じテーブルにつく可能性があるだろうか?仲介する国が存在しない。

かつて,この地域のごたごたに対してはアメリカが積極的に介入し,半ば強引に仲介の労をとっていたことがある。しかし,現在のアメリカはモンロー主義へと回帰している。シェールガス・シェールオイルの開発によりエネルギーの自給体制を整え,中東への興味を失いつつある。アメリカがシリア内戦の解決に積極的に乗り出す可能性は低くなっていると思う。

この問題に真剣に取り組む可能性があるのは,シリア難民の問題が深刻化しつつあるヨーロッパ諸国ぐらいだろうか?


ついでに。

ガーディアンの記事には出てこないが,昨年7月から始まった「第二次逆オイルショック」は,サウジアラビアによるロシアとイランへの攻勢であるという話もある。それが本当であれば,シリア内戦に決着がつかない限り,原油価格の下落は継続することだろう。

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