中国歴代王朝の不安定度指数を考えてみた
このところ,宮崎市定の『中国史』を断続的に読んでいる。ようやく下巻の近世史(宋以降)に入った。
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この通史を読みながら思ったのが,中国歴代王朝の安定度ないし不安定度を表す方法は無いかということ。
とりあえず思いついたのが,ある皇帝の「在位年数の逆数」を「不安定指数」として,その皇帝の治世の各年に割り振る方法である。
不安定指数[代/年] × 在位年数[年] = 1[代]
という式が成立する。
このとき,在位年数は宮崎市定流に,即位の翌年を元年とし,最終年(没年)までを数えるものとする。あと,旧暦で考えることとする。
例えば清朝の乾隆帝の在位は西暦1735年10月8日から1796年2月9日(旧暦だと1995年末)なので,在位年数は1736年から1795年とする。
そうすると,在位年数は60年で,不安定指数は1/60=0.017[代/年]となる。乾隆年間の各年には不安定指数0.017を割り振ることとする。
このような作業を明朝と清朝でやってみた結果が次の図である。
明朝なんか,在位1年程度の洪熙帝や数か月程度の泰昌帝のところできついピークが現れるわけである。清朝の場合はラスト・エンペラー宣統帝のところでピークが出現するが,その他の皇帝たちの治世では明朝に比べてそんなにエッジが立っていない。
明朝と清朝が重なっているところ(1616年~1644年)はいわば動乱の時代である。このあたりはもっと不安定指数が上がるべきだろう。
そういう反省をもとに,新たなルールを加えてみる。
併存する王朝がある場合には,不安定指数に併存する王朝の数を掛ける
明朝と清朝が重なっている期間はそれぞれの王朝の不安定指数を2倍するわけである。そういう補正を行うと,次の通りとなる。
この指数にはまだまだ改善の余地があるとおもうが,王朝末期や帝位簒奪がある場合にはだいたい皇帝の在位期間が短くなるから,不安定度をある程度表しているのではないかと思っている。
以下は宿題:
○皇帝が単に長生きするだけで不安定度が低くなるのはいかがなものか?
○長い治世の間には農民反乱などがおきるのではないか?
○短い治世だからと言って不安定とは限らないのではないか?(たとえば,雍正帝の治世(1723~1735年))
これからおいおい改良していく予定。
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