佐々大河『ふしぎの国のバード』を読む
この間,佐々大河(さっさ・たいが)の漫画『ふしぎの国のバード』を読んだ。
19世紀のイギリスの旅行家イザベラ・バードが書いた『日本奥地紀行』をもとにした作品である。1巻では1878年(明治11年)の横浜から日光までの旅が描かれている。
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原作『日本奥地紀行』の良い入門書とも言えるし,江戸の情緒を残した当時の日本人の生活をビジュアルに表現している点では,原作を越えているようにも思える。
NHKの『タイムスクープハンター』を見た時の楽しさに近い。
一つ難を言えば,バードは1831年10月生まれなので,当時,46歳である。佐々大河の描くバードは若すぎる。
駐日英国全権公使パークスの夫人がバードにパークスの言葉として伝えた
「今,この国でひとつの文明が滅びようとしている」
というセリフは,あれですね,渡辺京二の『逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)』の基本テーマですね。
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『日本奥地紀行』の原文(もちろん英語)はGutenberg Projectで読むことができる:
"Unbeaten Tracks in Japan by Isabella L. Bird"
ちなみにバードは日本についての紀行文をまとめただけでなく,隣国朝鮮についても紀行文を書いている。その話は以前に書いた(参考)のでここでは省略。
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