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2015.01.15

ピケティ『21世紀の資本』…じゃなくてその入門書を読む

今日もカンボジアにおります。今は冬だということであり,涼しい(といっても最高気温は33℃)のでエアコンいらず。

一緒に働いている人が,今話題のピケティ『21世紀の資本』とその入門書とその反駁書を持ってきているので,とりあえず入門書を読んでみた。ノビーこと池田信夫先生の著書である。

日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント
池田 信夫

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「60分でわかる」と書いてあるが,実際,トータル60分弱で読み終えた。

資本収益率(株・債券・不動産への投資によって得られる利益の成長率)rと国民所得の成長率(≒労働によって得られる労働者の賃金の上昇率)gとの関係を表す

r > g

という不等式が,ピケティ『21世紀の資本』の重要部分だが,この不等式は理論的に導かれたものではなく,膨大なデータから導かれた経験則だという話。

この式が導くところは「資本主義では所得分配の格差が拡大する傾向があり,今後もそれは続く」ということである。

しかし,反駁本の著者,苫米地先生によれば,「資本を使って投資した方が労働によって賃金を得るよりも大きい」などというのは,日本人にとっては当たり前のことで,今更驚いてどうする,と言うことだ。「労働によって賃金を得るほうが効率的ならば,投資なんか誰もしない」という苫米地先生の主張は非常に的を射ていると思う。

『21世紀の資本論』の問題点『21世紀の資本論』の問題点
苫米地 英人

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とはいえ,米国ではこの不等式で表される「資本主義の根本的矛盾」が衝撃をもって迎えられたという。フランスよりも米国での売り上げの方が伸びているというのが特徴的だ。

異論反論いろいろあるわけだが,小生がノビー先生の解説本からもっとも感銘を受けたことは,ピケティがパリ経済学院のスタッフを使って10年以上の時間をかけて,20か国200年間の税務統計資料を収集・推計・分析し続けたということ。競争的資金導入により短期決戦型になってきた日本のアカデミズムの世界ではこういう研究は無理だろうと思った。

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