山口県立美術館「大浮世絵展」がすごかった
2014年5月16日から山口県立美術館で「大浮世絵展」というのをやっているわけです。国際浮世絵学会創立50周年記念だそうで。
田舎で開催されているのにもかかわらず,連日大量の来場者があり,7月8日には8万人を突破するという破竹の勢い。
下に示すのが来場者数の推移だが,徐々に加速しているのがわかる。
これだけのコレクションを集めるのは「もうムリ」という宣伝まで流れていて,それがさらに来場者を呼び寄せているのかもしれない。土日は入館するための列が出来て,整理券が配布される程の混雑ぶりだとか,7月13日(日)が最終日だが,ものすごいことになるかもしれない。
こんなに人が集まるのは,「日本人と言いうのはやはり浮世絵が好きなんですね」ということかもしれない。自分たちのご先祖が自ら生み出した芸術だし。
かく言う小生も先日,休暇を取ってツマと一緒に平日に見に行ってきた。
展示は全体で6章に分かれていて,浮世絵数百年の歴史を時代順に眺めることができるようになっている。
- 1章 浮世絵前夜 Part I: The Eve of Ukiyo-e
- 国宝 婦女遊楽図屏風
- 岩佐又兵衛など
- 2章 浮世絵のあけぼの Part II: The Dawn of Ukiyo-e
- 菱川師宣など
- 3章 錦絵の誕生 Part III: Birth of the Brocade Print
- 鈴木春信
- 勝川春章など
- 4章 浮世絵の黄金期 Part IV: The Golden Age of Ukiyo-e
- 鳥居清長
- 喜多川歌麿
- 東洲斎写楽など
- 5章 さらなる展開 Part V: Further Development
- 渓斎英泉
- 葛飾北斎
- 歌川広重
- 歌川国芳など
- 6章 新たなるステージへ Part VI: Toward a New Stage
- 月岡芳年
- 小林清親
- 伊藤深水
- 川瀬巴水など
異論はあると思うが,歌麿は美人の進化の頂点のように思える。そのあとは遊び心が強くなる。遊び心が頂点に達するのは国芳あたりではないだろうか。「猫飼好五十三疋(みょうかいこうごじゅうさんびき)」とか。
こんなにまとめて浮世絵を見たのは初めてである。浮世絵から放出される莫大な情報量はとても吸収しきれない。あとで復習しようと思ってものすごく分厚い図録を買った。
ミュージアムショップも大盛況ですごかった。
一連の浮世絵を見て思ったのは,渡辺京二『逝きし世の面影』のセリフだが,江戸というのは世界でも希な,「人間の生存をできうる限り気持のよいものにしようとする」,一回限りの文明だったのだなぁということである。
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大浮世絵展,あと2日を残すのみです。
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コメント
「人間の生存をできうる限り気持のよいものにしようとする」ですか。いい言葉ですね。
私たちが10代を過ごした日本の1980年代もそんな時代だったのかもしれません。80年代も前期と後期で趣き異なりますが、その辺り江戸の元禄と化政の違いに重なるような気も…
ところで私は国芳の「宮本武蔵と巨鯨」が大好きです。あれを見ると本当に楽しくなってしまう。
投稿: 拾伍谷 | 2014.07.12 01:23