第一次世界大戦から100年,「エルガイム」TV放送から30年
今年は第一次世界大戦開戦から100年の年である。
と同時に,70年代生まれの一部の男性にとっては一種の歴史的事件とでも言うべきアニメーション「重戦機エルガイム」がTV放送されてから30年という年でもある。
この両方についての小ネタを紹介する。
<先にエルガイム30周年記念>
バンダイからは記念としてエルガイムMk-IIの1/100スケールモデルが発売されるという(参考)。これは凄い。約10,000円。
富野作品の中で「エルガイム」が一番残酷なエンディングではないか,という説がある(参考:「重戦機エルガイム考察」)。
「エルガイム」最終話「ドリーマーズ アゲン」は,全員死亡のようなエンディングにはならず,主要人物たちが勝利し生き残るという結果になっている。
しかしながら,主人公ダバ・マイロードは故郷に戻り,精神崩壊したクワサン・オリビーの介護をすることになる。
主人公ダバを愛するファンネリア・アムとガウ・ハ・レッシィはダバと一緒になることはできない。
ギャブレット・ギャブレーもまた愛するオリビーとは一緒になれない。
キャオとリリスは苦楽を共にしたダバと別離することとなる。
主人公たちが失意を抱えながらこれからも生きていきます,という終わり方はリアリティがあるが,同時に残酷である。
小生も「重戦機エルガイム考察」の意見には同意。この考察を書いた著者は小生よりも7つも下だが,よく書けている。
ところで皆さんは,アム派でしょうか,レッシィ派でしょうか?
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<第一次世界大戦>
第一次世界大戦は,鉄道による兵員の大量輸送,機関銃による塹壕戦といった兵站・戦術面に関しては,南北戦争や日露戦争の延長にすぎないという意見もあるが,ほぼ全世界が巻き込まれたという点では,それ以前の戦争とは一線を画した大戦争である。
第二次世界大戦は第一次世界大戦の延長であるという意見もあるし,帝国主義崩壊のきっかけとなったという意見もあるし,また,なによりもソ連という社会主義国家を生み出し,20世紀の流れを作ったという点では第一次世界大戦は第二次世界大戦よりも大きな意義を持っているとも言える。
第一次世界大戦については別宮暖朗先生が浩瀚な資料と考察をweb上で公開している(参考)のだが,サイト引っ越し後,アクセスできないページが多々あるのが残念である。
第一次世界大戦から100年ということで,英国政府は第一次世界大戦当時の外務省資料をもとに,リアルタイムで当時の世界情勢をtweetするという試みを行っている(WW1 Foreign Office)。
たとえば,こんな:
I spoke to the French Ambassador of my apprehension that Austria might be forced by her public opinion into some démarche against Serbia.
— Sir Edward Grey (@WW1Grey) 2014, 7月 8
我が国の政府はこういうことをできるだろうか?
できないとすれば,その理由はなんだろうか? イギリスは二度の大戦で勝利しているからできるのに対し,我が国は先の大戦で敗れたからできないのだ,という意見があるだろうが,おそらくそれは本質的な理由ではないだろう。
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コメント
エルガイムのラストは所謂「富野大虐殺」(滅亡のカタルシス)とは異なる、日常の再開が描かれていましたね。パーティが終わってさて明日から月曜日かと言うときに主役はみんなの元から一人去ってゆく。EDソングの「スターライト・シャワー」がとても切なかった記憶があります(井荻麟=富野いい詩を書くなぁ)。
ムードメーカーのキャオとリリスが被爆してどうやら死んでしまうらしい、と言うのも子供心にショックでしたね…ラストでは二人で旅に出る、という言葉でぼかしていますが…
強引に話をつなげれば、祭りが終わったさて明日から月曜日と思いきや、違っていたというのが第一次大戦の耐えがたさと思います。
あと、ダバ・マイロードとエルンスト・ユンガーって似てないかな?とか(強引すぎ)。
投稿: 拾伍谷 | 2014.07.09 23:46
「パーティの終わり」という表現は的確だと思いました。
ダバの今後については,アムと結婚してカモン王朝再興という情報もあったかと思います。様々な裏設定があって,実は長い物語の一部にすぎないというあたり,永野護色の強い作品ですね。
第一次世界大戦は,株式市場で言えばボックス相場(レンジ相場)かと思いきや,新たなフェーズに突入してしまい,しかもそれを誰も予想していなかったという有様ですね。
それまでの,交渉相手の存在を認め,戦闘を続けつつも相手との対話を持続させていた戦争とは様変わりし,相手の存在を認めない,総力戦・殲滅戦に変化してしまったあたり,第一次世界大戦というのは罪深いと思います。
投稿: fukunan | 2014.07.10 19:01