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2014.04.04

「シェールガス革命」の恩恵には預かれない

某所で世界のエネルギーの概況についてお話しさせていただくので,スライドを作っている。

日本が「シェールガス革命」の恩恵に預かれるかどうかという話題もしようと思っているが,アメリカエネルギー省エネルギー情報局(DOE, EIA)のデータを見る限り,「『シェールガス革命』の恩恵には預かれない」ということになりそうだ。

アメリカの天然ガスの価格の推移を見てみよう。まず,源泉価格および輸入価格を見てみる。源泉価格というのは天然ガス田での値段である。輸入価格は主としてカナダからの輸入価格である。単位は1000立方メートルあたりの価格(米ドル)である。

Gasslide01_2

源泉価格は2012年12月までしか公表されていないが,輸入価格とおよそ対応しているので,輸入価格をみれば大体あっていると思う。

シェールガス開発が進展したのは2011年暮れから2012年初めだが,2012年4月には1000立方メートルあたり源泉価格で1.89ドル,輸入価格で2.04ドルまで下がっている。このときはたしかに「シェールガス革命」によるガス価格低下はあったといえる。

しかし,最近はどうかというと,2014年1月には輸入価格が6.94ドルまで上昇している。源泉価格も大体そんなものだろう。

今度は輸出時の価格と米国国内産業向けの価格を見てみる。

Gasslide02_2

パイプラインで輸出される価格は先ほどの源泉価格や輸入価格と同じような動きを示している。

米国内産業用の価格はいろいろと税金や手数料がかかるのかもしれないが,輸出価格より若干高めになっている。とはいえ,これから説明する液化したガス輸出価格(LNG)に比べればはるかに安い。まあ,安いといってもシェールガス革命以前の水準に戻っているのだが。

日本がアメリカから天然ガスを輸入しようとすれば,液化,すなわちLNGとして輸入しなくてはならない。

このグラフを見ればわかるように液化の手間がかかっているため,LNGとしての輸出価格は何倍にも跳ね上がっている。「シェールガス革命」の熱気があった2012年4月には8.54ドルにまで下がっていて,日本のエネルギー産業各社も大喜びだったかもしれないが,その後は乱高下。

そして2014年1月には13.7ドルにまで上昇しており,まえと変わらない状況である。

シェールガス開発が進もうが進むまいが天然ガス価格が上昇するのは,DOE(米エネルギー省)も予測していたことである。なにしろ,新興国の経済成長に伴って,石油やガスの取り合いになっているのだから。

結局,「シェールガス革命」で日本も安くガスを仕入れられるという思いは,はかない夢だったわけである。

むしろ,恐ろしいのは,日本のエネルギー多消費型産業のコンビナートが高騰するエネルギー価格に耐えられず,米国など,エネルギーの産地に出て行ってしまうのではないかということである。

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