増税前,最後のあがき
いわゆる駆け込み需要の状況を見ていて,「そんなにあわてて買わんでも」と思っていたのだが,いよいよ4月1日から増税だと思うと焦ってきた。
結局,3月31日,行きつけの宮脇書店に行って,気になっていた本を買いあさることとなった。
まず,これ。そのボリュームで他の文庫本を威圧する,『文語訳 新約聖書』(岩波文庫)である:
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戦前の作家はよく文語訳の聖書の章句を引用した。文語訳は作家たちをひきつけてやまない魅力があるようだ。
本書の解説にも出ているが,堀辰雄『風立ちぬ』の終章は「死のかげの谷」というが,これは本書の「詩編」からの引用である。太宰も「詩編」からの言葉「われ山に向かいて目をあぐ」を愛用した。
小生も「ヤコブ書」の言葉に目を止めたのでここに引用する:
「聴け,富める者よ,なんぢらの上に来(きた)らんとする艱難(なやみ)のために泣きさけべ」(ヤコブ書 5.1)
さて,これも買った。山本紀夫『梅棹忠夫―「知の探検家」の思想と生涯』(中公新書):
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梅棹忠夫自身が書いた本はいくつか読んだ(参考)が,第三者が梅棹忠夫を描いた本を読むのは初めてだ。著者は梅棹忠夫の弟子の一人とでも言うべき民族学者。
あとはこれも買った。原田勉『イノベーション戦略の論理 確率の経営とは何か』(中公新書):
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神戸大の先生だが,小生は仕事の都合上,この人の『汎用・専用技術の経済分析』(白桃書房)を読んだことがある。「アーティキュレーション・ジレンマ」という言葉が記憶に残った。
今回の本では,米国流コーポレート・ガバナンスではイノベーションを生みやすいビジネス環境を構築できないことを指摘している。
…というわけで,消費税増税騒動が収まるまでは新しい本を買わずに,今回買い貯めした本と,読んでなくて放置してきた本を読みふけってみようと思う。
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