20年毎の韓国旅客船事故,繰り返される過積載
今なお捜索活動が続くSewol号転覆事故。事故原因はまだ特定されていないが,過積載が一因であることはほぼ確実視されている。
韓国では過去にも同様の大規模な旅客船沈没事故が発生している。
- 南営(ナムヨン)号沈没事故(1970年12月15日),発生場所:対馬の西100km付近の海上,6人救助(日本の漁船による),死者326人
- 西海(ソヘ)フェリー沈没事故(1993年10月10日),発生場所:韓国全羅北道扶安郡蝟島沖の黄海,死者行方不明者292人
西海(ソヘ)フェリーの場合は天候不良が原因として加わっているが,どちらの場合も過積載が事故原因の重要な部分をなしている。
南営(ナムヨン)号の場合は定員302人を越える338人の乗客,最大積載量の4倍を超える過積載があった。西海(ソヘ)フェリーの場合は定員221人に対し362人の乗客ということでやはり過積載。
今回のSewol(歳月)号転覆事故も,魔改造によってフェリーがトップヘビーになり安定性を損なった上に4倍の過積載があったと言われている。
過積載が一因の旅客船沈没事故が,ほぼ20年おきに発生している。だが,周期性があるように見えるのは単なる偶然だと思う。
しかし,別の見方をすれば,20年の間に必ず大事故が起きるような状況が韓国の旅客船業界で醸成されている,というように言えるのではないだろうか。
どういうことかというと,「ハインリッヒの法則」を思い浮かべると良い。
1つの重大事故の背景には29の軽微な事故があり,さらにその背景には300のヒヤリ・ハット事例(工場用語で,事故には至らなかったが,ヒヤッとした事例のこと)がある,という経験則である。
南営号にしても西海フェリーにしてもSewol号にしても,これらの船だけで過積載があったわけではなく,韓国の旅客船業界では過積載があたりまえ,ケンチャナヨ状態なのではなかろうか。そして,そこに天候や未熟な操船技術やあれやこれやが重なると,ハインリッヒの法則が発動して大事故に至る,ということではなかろうか。
もしそうだとすれば,韓国の旅客船業界の安全に対する意識を変えなくてはならない。だが,国民全体にケンチャナヨ精神が蔓延していたら,一業界の努力もすぐ風化することだろう。
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