「サイエンスZERO」のSTAP細胞特集は良くできとった件/中日新聞が理研のメディア戦略について報道している件
昨日のNHK総合・NHKとっておきサンデー「佐村河内氏関連番組・調査報告」(朝11:00~11:54)は調査報告書とはいっても,調査報告書(参照)のあらすじを述べたものに過ぎず,テレビの前で待っていて損した気分だった。
他方,「サイエンスZERO」のSTAP細胞特集は良くできていた。
理系出身のスタッフが少ないと考えられる民放では話題が論文の剽窃に終始してしまうのと異なり,さすが科学番組を作っているだけあって論文の中身に立ち入って議論していた。
多能性細胞のマーカーともいうべき「Oct-4 (octamer-binding transcription factor 4)」の発現だの「TCR (T cell receptor) 再構成」だの,小生のような門外漢にもわかるように説明するのは,民放では不可能だろう。
佐村河内案件の説明のしょぼさはひとまず置いておいて,「サイエンスZERO」のSTAP細胞特集は上出来。
さて同じくSTAP細胞案件だが,中日新聞が理研のメディア戦略について面白い記事を書いているので紹介したい:
「STAP疑惑底なし メディア戦略あだに」(「つなごう医療 中日メディカルサイト」,中日新聞,2014年3月15日)
ピンクや黄色で彩られた実験室や割烹着の演出は,理研の広報チームと笹井芳樹副センター長,小保方博士が1か月前から準備ししていたものだったことが報道されている。
やけにラボの中ががらんとしていると思ったが,演出だったとすれば納得。
理系というものは実験装置と文献の森の中に生息していなければいかん。
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コメント
会議室に並んだ理研のお歴々を前に代理店から出向されてきた広告戦略担当の方がパワポ使って説明する絵面が目に浮かび(内容は「割烹着→家族愛」とかなんとか)、何ともカックンと言う感じで困ってしまいました。
投稿: 拾伍谷 | 2014.03.17 23:50
良い絵面ですね。
研究室の内装のCGの上に「ピンク→女子力」「黄色→金運」とかいう説明が加わったスライドも使われていそうですね。
投稿: fukunan | 2014.03.18 18:20