『背信の科学者たち』は予言の書か?
STAP細胞騒動に関連し,『背信の科学者たち』を再読している。第3章「立身出世主義者の出現」の冒頭の文を引用する:
アメリカの研究機関の最先端で働いていたエリアス・A・K・アルサブティは,読者の少ない雑誌に,盗用した論文を罰せられることなく発表していた。彼の目的は,他の多くの科学者同様経歴を飾るための長々しい論文リストによって出世することだった。こうして彼は三年もの間盗用を続けた。しかし,論文の一言一句まで無造作に盗む彼の性急なやり方は,ついには彼を破滅へと追いやったのである。これがもっと穏やかな方法であれば発覚しなかったことだろう。(『背信の科学者たち』,59ページ)
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