森薫『乙嫁語り』 マンガ大賞2014受賞の件
小生は6巻を買いそびれて,5巻までしか本棚に入っていないのだが,森薫センセの『乙嫁語り』が「マンガ大賞2014」を受賞したとのこと(参考)。
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『エマ』でご存じだと思うが,この人の絵の描きこみ具合と言ったら,もう大変なものです。
舞台は19世紀の中央ユーラシア某所。遊牧民の娘アミルが8歳年下のカルルクと結婚して,あれこれ騒動が起きたり,という内容。
第3巻では舞台が移ってイギリス人探検家と遊牧民女性との悲恋が描かれたり,第4~5巻ではまた舞台が移って双子の姉妹の婚姻までのプロセスが描かれたりしている。
それにしても遊牧民を中心に描いた作品なんて非常に珍しい。
小生は最近,この漫画の舞台となっている19世紀の中央ユーラシアに興味を持っている。
そのころは南下するロシア帝国と,インド経由で北上する大英帝国との間で「グレートゲーム」が繰り広げられていた。 『乙嫁語り』でもロシアの気配がちらほら見える。
小生が前に第1章だけ訳してみたサー・ウィンストン・チャーチルの『マラカンド野戦軍』もグレートゲームの一環である。
グレートゲームは日本も無関係ではなく,日露戦争もグレートゲームの一環として日本が大英帝国の駒となって参戦した戦いなのである。
最近,問題になっているウクライナ問題も,グレートゲームの続きとして見ることができる。復辟(ふくへき)した白いハーン:プーチンと,大英帝国の跡を継いだ米国とのユーラシアの覇権をめぐる争いというわけである。
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コメント
森薫さんの絵ってすごく書き込まれてるけれど不思議と圧迫感がなくて、気持ちの良いさわやかな印象ありますね。「乙嫁語り」の舞台となる草原の風を感じさせてくれますし、「エマ」も風光明媚なハワースの雰囲気よく出ていたように思います。
不思議な浮遊感があると言いましょうか、先輩漫画家の竹本泉をとても尊敬しているそうで、なるほどと思った記憶があります。
投稿: 拾伍谷 | 2014.03.29 02:14
出ましたね,竹本泉。
Wikipediaの竹本泉の項を読みますと,森薫との対談についての記載がありました。
竹本泉は執筆スピードは驚異的だとか。
投稿: fukunan | 2014.03.29 16:38