NHKは新垣隆氏を"Schola 音楽の学校"に招け:「偽ベートーベン」こと佐村河内守のゴースト,新垣氏の人望が半端ない
偽ベートーベンとも称される佐村河内守のゴーストライターを務めた新垣隆氏についてあれこれ調べてみると,その人望が半端ないことに驚かされる。
教え子やその父母からは新垣氏への同情や信頼の気持ちを表明するツイートが寄せられている。
「キャンペーン | 新垣先生に寛大な対処をお願いします。 | Change.org」
というサイトまでできている。
いろいろ読んだ中でとても良い記事だと思ったのは指揮者/ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督の伊東乾氏による次の記事だ:
「偽ベートーベン事件の論評は間違いだらけ あまりに気の毒な当代一流の音楽家・新垣隆氏」 (2014年2月8日,JBPress)
この記事の大事なところは,今回の事件を「売れない現代音楽家がお金目当てで曲を代作した」というような陳腐なスキャンダルとしてマスコミが取り扱おうとしていることに対して,音楽家としての立場から批判を加えているところである。
伊東乾氏の見解では,新垣氏にとって代作は金目当てではなく,「作曲課題の<実施>」に過ぎないということである。だからこそ,新垣氏は著作権放棄を宣言しているわけである。
新垣氏は2月6日の記者会見で
「指示のままに曲を書き続けた。私は共犯者です」
と述べた。これはジェームス三木の「だからおれ,汚いです」発言(1993年)や有森裕子の夫だったガブリエル・ウィルソン氏の"I was gay"発言(1991年)以来の記憶に残る潔い発言だ。
だが,この「共犯者」発言があるからと言って,新垣氏を「偽ベートーベン」――この言い方は伊東乾氏の記事に倣ったものだが――と同レベルで取り扱うことには疑問を感じる。
上述したように,生徒,保護者,そして,新垣氏をよく知る音楽家は新垣氏の音楽家および教育者としての能力を高く評価している。
マスコミは「偽ベートーベン」の追及をするだけでなく,新垣氏の周りの人々の心情を忖度して新垣氏の名誉を回復するべきではないだろうか?
で,とりあえずは「偽ベートーベン」の提灯番組を制作したマスコミ筆頭のNHKが,「クローズアップ現代」あたりで「なぜ我々は偽ベートーベンに騙されたか」というような検証番組を作るとともに,「Schola 音楽の学校」に現代音楽家である新垣氏を招聘して,その才能の片鱗を開示していただいたらどうだろうか?
まあ,記者会見や新垣氏に近い人々の証言を踏まえると,新垣氏はそんな企画には乗らないような真面目な方であるとは思うが。
【関連話題】 昨年(2013年)10月に,すでに今回の事件を予見していた,音楽家の野口剛夫氏の慧眼には頭が下がる。
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