世界初の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電 (skwid),水車紛失により落成式延期
三井海洋開発株式会社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) の支援の下,世界初の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電システム,通称skwidを開発していた。
ようするに上半分が風車で下半分が水車というダブル発電システム。
風車はダリウス型,水車はサボニウス型である。
この10月中旬から佐賀県海域で実証実験が始まる予定だった。10月17日に佐賀県唐津市で行われる落成式に向け,香川県多度津から佐賀県沖へと回航されていた。
しかし,10月12日20時頃,門司港沖北西約25Kmの地点で,運搬台船が揺れて,skwid下部の水車部分が脱落し,海中に没した。(参考:三井海洋開発によるニュースリリース)
日本で再生可能エネルギーを普及させようとする場合に直面するのが,日本の気候が必ずしも穏やかではないということ。
例えば,風力発電に関しては台風や雷や雪などが特に問題である。デンマークで海上風力発電が盛んな理由としては,台風が来ないことが挙げられるだろう。日本の場合はそうはいかない。風車,水車はつねに過酷な気象条件にさらされる。今回の事件は設置前の回航中に発生したものだが,設置できたとしても同じようなリスクがあるだろう。
まあ,skwidは延期になっただけであって,なんとかやり直すことになるだろうが,玄界灘の厳しさを踏まえて設計変更でもしないと,回航中または設置後に同様のトラブルに見舞われるだろうと思う。
あるいは,設置後の対策は考えてあったものの,運搬中に重要なパーツを失うとは思っていなかったのかも。
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