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2013.10.30

【キュレーション】今週の注目記事(2013年10月第5週)

今週,小生が気になった記事をピックアップ。

だいぶ前の記事が一件あるので,全てが最新記事ということではない。

■「永遠には続かぬ中国の奇跡―独裁主義下の近代化には限界」(Josef Joffe, WSJ,2013年10月29日)

――中国の奇跡にも終わりは来るだろう。かつて急成長した国々もやがては成長の速度を落とした。歴史に抗い続けることはできない。


■「中国政府系シンクタンクが経済改革案提示へ―3中総会を控え」(Richard Silk, WSJ, 2013年10月29日)

――金融制度の大改革や農民の土地使用権制度の改革…,経済改革派シンクタンクによるこれらの提案を,果たして共産党指導部は受け入れるのだろうか?


■「約30ドルの超小型コンピュータ"Raspberry Pi"でスパコンを自作しよう」(by Steven J. Vaughan-Nichols, 訳:石橋啓一郎, ZDNet Japan, 2013年06月05日)

――2000ドル以下でミニスーパーコンピュータを作り出した博士課程の学生がいた!

伊藤智義『スーパーコンピューターを20万円で創る』を思い出した。だが,伊藤ら(杉本大一郎のチーム)の手作りスパコンGRAPEよりは簡易に作成できた様子。設計思想が根本的に違いますしね。

ちなみに伊藤智義氏はあの『栄光なき天才たち』の原作者。

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興味ありましたらそれぞれご一読を。

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2013.10.29

『カンニング・スタンツ』第二十三話閉幕,『ブルトンの金獅子』「寵姫」アニエス・ソレルによるモノローグ

さて,Web漫画『カンニング・スタンツ』と『ブルトンの金獅子』が更新された。


『カンニング・スタンツ』

10月29日に第二十三話「会盟」の後編が掲載された。

項梁が新たなる楚王を擁立することを宣言。どえらい迫力で策士范増が登場。

あと,韓王国復活に燃える萌えキャラ(おじさん)張良子房劉邦との間に距離が生じ,これから波乱の予感。


『ブルトンの金獅子』

もう13話まで進んでいる。猛スピード。しかも1話と2話のリメイクもしているし。リメイク後の絵はメリハリが効いてグッと良くなった。

12話と13話は,アニエス・ソレル(Agnes Sorel):偽ジャンヌにして,後にシャルル7世の寵姫となる女性の視点(モノローグ)によって展開される。アニエスはリッシュモン伯を畏怖しつつも,それまでにいなかったタイプの貴族であることを感じ取る。

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2013.10.24

素晴らしきPerfumeクローン:セラミクロニ (Ceramicroni)

ダンス,音楽,映像・・・,人体の動きと先端テクノロジーの融合した一大プロジェクトであるPerfumeについては,何も言うことがないというか,もはや感嘆するばかりである。

――2013年10月12日(土) 午前0:10からNHKでやっとった"MJpresents Perfume×Technology"なんか,驚嘆のあまり,口開けて見ちょったもんね――

ほんとに,あの2012年7月23日の渋谷ヒカリエのあれときたら・・・(見にいっとらんけぇ,えらそうな口はきけんのですが)。


で,今回紹介するのはその素晴らしきクローンともいうべきダンサーたち,セラミクロニである。

ま~ちゃん,しまゆき ,かっちの三人組だそうで。"Perfume"業界では著名人かもね。

下の動画は「第2回Perfumeダンスコンテスト極部門」2次審査の課題曲である"Spending all my time"を踊る姿。

"Spending all my time"の振り付けは極めて難しい。それをこなす彼女たち。Perfumeへの愛ですね。

セラミクロニの公式ブログは:セラプロ

あと,Youtube上のチャンネルは:こちら


そうそう,本家Perfumeについては10月27日(日)午後11:20からBSプレミアムで"Perfume LIVE at NHK"があるけぇ見てみんさい(広電の車内CMの言い方のマネ)。

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2013.10.23

巨大梨届く:栃木の梨「にっこり」

ツマの実家からの贈り物で,巨大な梨が届いた。

にっこり」というらしい。志賀梨園産。

ちょうど,ラ・フランスが家にあったので,大きさを比較してみた(言うまでもなく,左が「にっこり」,右が「ラ・フランス」):

Nashipear

定規で測ったら直径12㎝ぐらい。

水気たっぷりで甘くておいしい。


添付されていた説明書によると「とりたてはもちろん,お正月すぎまで美味しくいただけます」とのこと。長持ちするらしい。

ちなみに「にっこり」とは「日光梨」の意味らしい。


アマゾンでも取り扱っていたので驚いた:

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2013.10.22

『カンニング・スタンツ』新章開幕,『ブルトンの金獅子』後の「寵姫」アニエス・ソレル登場

お気に入りのWeb漫画が続々と更新されて一読者としてはうれしい限りである。


カンニング・スタンツ

10月19日に第二十三話「会盟」が始まった。

項梁の前座として兵士たちの前で見事なアジ演説を行う項籍(項羽)

項籍の「あっためておきました」のセリフは,「あまちゃん」第64回においてフレディ・マーキュリーに扮した花巻さん(伊勢志摩)の「いいあんばいに温めておいたぞ」を髣髴とさせるが,十段先生は「あまちゃん」見てたのか?


ブルトンの金獅子

ラニ攻防戦終了後,フランス軍大元帥リッシュモン伯は偽ジャンヌと出会う。偽ジャンヌの本名はアニエス・ソレル(Agnes Sorel)。後のシャルル7世の「公認の寵姫」となる女性である。

女性として初めてダイヤモンドを身につけた人物である,というのはまめちしき。

ジャンヌ亡き後のジャンヌとしてアニエス・ソレルを持ってくるあたり,いい演出である。元ネタあるんですかね?

なお,『ブルトンの金獅子』はもう12話まで進んでいる。猛スピード。

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江戸芸術再評価の件

昨日の記事では,山口県立美術館で公開中の狩野一信「五百羅漢図」全100幅を紹介したが,江戸芸術の再評価はまだ緒についたばかりであると言えよう。

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狩野一信が命がけで取り組んだ「五百羅漢図」を再発見し,世に広めているのが明治学院大学の山下裕二先生である。山口県立美術館で購入した「五百羅漢図」図録所収の山下裕二先生の文章を読んでいたら,山下裕二先生は辻惟雄先生の門下であることが判明した。むべなるかな。

辻惟雄先生は1970年に『奇想の系譜-又兵衛,国芳』を世に送り出し,江戸芸術の再評価を開始した。

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この頃はまだ火が付いていなかったのだが,徐々に岩佐又兵衛,伊藤若冲,曽我蕭白,歌川国芳らが世人の評価を受けるようになる。

小生は若冲の手の込んだ作品群も好きだが,岩佐又兵衛の濃すぎる作品群も好きだ。「豊頬長頤(ほうぎょうちょうい)」と言われる極端な人物造形が特徴。

岩佐又兵衛は古田織部が主人公の茶道漫画『へうげもの』にも準レギュラー的に登場している。岩佐又兵衛の父は,織田信長を裏切って一族郎党を処刑された荒木村重である。

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岩佐又兵衛の業績をコンパクトにまとめた本としては,やはり辻惟雄先生による『岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎』 (文春新書)がある。これは岩佐又兵衛の全貌について知ることができる良い本である。

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狩野一信はこれまでほとんど知られていなかった画家だが,山下裕二先生によって,江戸の偉大な芸術家の系譜に加わることとなった。

狩野一信畢生の大作「五百羅漢図」の凄さは直接見ないとわからない。今回の展示を逃すと「五百羅漢図」全百幅を見る機会は当分ないのではないかと思われる。山口県民はすぐにでも県立美術館に行くべきである。西日本の人々も。

遠方に居て山口県立美術館に行く機会のない人には,豪華本『狩野一信 五百羅漢図』があるが,これはちょっと高すぎて手が出ないかもしれない。デルタやモンブランの万年筆が買えるぐらい高い。

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ちょっとだけ見てみたいという人は公式ホームページ:http://www.500rakan.comを覗いてみるとよい。

もっと手短に知りたい人は「ぶらぶら美術・博物館」の第33回のページを見てみるとよい。そこでは2011年の江戸東京博物館における展示の内容が取り上げられている。

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2013.10.21

【幕末の鬼才・狩野一信】五百羅漢図を山口県立美術館で見てきた件【極彩色・細密描写・スペクタクル】

江戸芸術の評価は低い。

広重や北斎は高評価だが,それはモネやゴッホなどへの影響,いわゆるジャポニスムという文脈の中で語られることが多い。西洋に影響を与えたから偉いという西洋芸術を中心に据えた価値観の中での評価である。

近年,江戸中期の若冲や江戸初期の岩佐又兵衛が再評価を受けつつあるが,これは辻惟雄らによる努力のたまものである。

そして今,新たに評価が始まりつつあるのが,幕末の鬼才・狩野一信(かのう・かずのぶ)である。

その畢生の大作:五百羅漢図が,今,山口県立美術館で公開されているので,日曜日(10月20日)にツマとともに見てきた。

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↑山口県立美術館入り口・鏡に映った仏様から強力なビームが…

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↑実は私,観世音菩薩なんです,と顔を剥ぐ羅漢様


江戸芸術,舐めてました・・・。

極彩色! 大迫力!

頭髪・体毛の一本一本,簾の葦の一本一本まで書き込まれた細密描写も凄い。

そしてその圧倒的な分量。全100幅揃って展示されているのには圧倒される。

これらの画面からは気迫を感じた。後で触れるが「五百羅漢図」制作への執念が狩野一信の命を縮めたことは間違いない。

仏に帰依しかねないほどの衝撃を受けた。

一通り見たあとは,迷わず図録を購入した。

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↑山口県立美術館の気迫を感じる図録。そしてトークイベントと展覧会のチケット


上の写真に「トークイベント」のチケットがあるが,実は,10月20日の午後2時から評論家・山田五郎先生と本展監修者の山下裕二先生によるトークショーがあった。これはツマが予約していたので見に行くことができた。

山下裕二先生はこの「五百羅漢図」の再発見者であり,狩野一信の再評価の推進者である。山田五郎先生との掛け合いの中で狩野一信の生涯や五百羅漢図が描かれた経緯などが明らかにされていった。また,会話の中で,山田五郎先生の口からは「羅漢ウィンド」,「羅漢ビーム」,「羅漢動物園」など,「五百羅漢図」の見どころをうまく捉えたオリジナル・キーワードが飛び出した。


トークイベントが終わってからは,再び「五百羅漢図」の下に戻った。一日に二度も同じ展覧会を見るのは小生史上初のことである。トークイベントで得た知識があるので,より深く鑑賞することができた。

「五百羅漢図」全100幅の中でも「羅漢たちの六道めぐり」を描いた第21~40幅は最もノリにノって書いたであろうと思われる作品で,細部に至るまで見所がたくさんある。

第41~50幅には羅漢たちによる修行,十二頭陀が描かれている。狩野一信は西洋画の陰影表現をやってみたかったらしく,第45,49,50幅でそれを試みている……が,成功しているかどうかは見てください,としか言いようがない。

第51~60幅には羅漢たちの神通力が描かれているのだが,狩野一信が真剣にやりすぎてかえって笑いを誘うような奇想天外な場面が多くみられ楽しい。

第61~70幅には羅漢たちが霊獣その他の動物たちを手なずけている姿が描かれている。山田五郎先生の言うように「羅漢動物園」とでもいうべき作品群である。

ここまではいい作品が続くのだが,以後の30幅では徐々に狩野一信の筆の衰えが見られ始める。

狩野一信は30歳代の終わりから五百羅漢図の制作にとりかかったのだが,終わりに近づくに従って,病に侵され始めたらしい。山下裕二先生によると鬱病になっていたという話もある。

70幅あたりまでは羅漢たちが前面に出ていて迫力のある描写が続いていたのが,第81幅以降は,人物像が小さくなり,着物の描写も粗くなる。

狩野一信は最後の四幅を残して無念の死を遂げたらしい。最後の四幅は弟子たちと妻の妙安(逸見<へんみ>やす)が完成させたという。山下裕二先生が指摘していたのだが,城壁の描写なんか,妻の妙安が手を入れたらしく,稚拙な出来である。「五百羅漢図」の終幕が狩野一信の人生の終焉とシンクロしているところが,なんだかもの悲しさを感じさせる。


とにもかくにも,「五百羅漢図」の凄さは見て初めてわかるものなので,山口県内および近隣の方々は是非見ていただきたいと思う。

公式ホームページはこちら:http://www.500rakan.com

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2013.10.20

10月20日は「もう一つの太平洋戦争」終了の日

太平洋戦争というのは2つあって,通常はいわゆるPacific War,すなわち,大日本帝国を中心とする枢軸国側とアメリカ合衆国を中心とする連合国側の間の戦争(1941年~1945年)のことを指す。

もう一つの太平洋戦争はあまり知られていないが,1879年から1884年にかけてボリビア共和国+ペルー共和国とチリ共和国の間で展開された,Guerra del Pacifico,英語で言うならWar of the Pacificのことを言う。

本記事で言う太平洋戦争とはこの南米で行われた戦争のことである。

この戦争は南米太平洋岸の資源,主として硝石をめぐる争いだった。ペルーとボリビアは敗北し,太平洋岸の領土をチリに割譲することとなった。チリの領土は北へ長く伸びた。

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↑戦争前のペルー,ボリビア,チリの領土 (source: wikipedia)

今でこそボリビアは内陸国として知られているが,この戦争で負けるまでは太平洋岸にアントファガスタ州という領土を持ち,400kmの海岸線,そして海軍を有していた。

ボリビア海軍はボリビアが海岸線を失った今でも残っている。陸軍の下にあるという変則的な形だが,4800人(2007年現在)もいる。中核になっているのは海兵隊で1700人いるという。大西洋やチチカカ湖で演習を行ったり,ブラジルなどとの国境の河川を警備したりしている。


で,表題についての話に戻るが,1883年10月20日にペルーとチリの間で講和条約(アンコン条約)が結ばれた。これによりペルーとチリとが終戦。というわけで,10月20日はペルー・チリ間の太平洋戦争終戦の日ということになる。

ボリビアとチリの間の戦いは翌年まで続き,1884年4月4日に休戦した。

ちなみに,ボリビアは今でも太平洋への出口としての領土回復を目指しており,チリとは今もなお正式な国交を回復していない。これを「海への出口問題」という。

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2013.10.17

「ごちそうさん」が「あまちゃん」を越えたというのは本当か?→0.3%の視聴率の差に意味はあるか?

ごちそうさん」の視聴率が「あまちゃん」のそれを越えたかという疑問に対しては「多分ね」とか「そうかもね」という留保の言葉が必要だと思う。

また,どちらの視聴率が勝っているかという議論では「0.3%」にはほとんど意味がないと思う。


NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」第15回(2013年10月16日放送)の平均視聴率が27.3%(関東地区・ビデオリサーチによる)を記録し,「あまちゃん」の最高視聴率27.0%(第145回2013年9月16日)を越えた,という報道があった。

ビデオリサーチの数値はそれはそれで厳然たる数値である。だが,それを使って勝ち負け・人気不人気についてあれこれ述べるマスコミやテレビ業界の側には「標本誤差」の考え方が抜けている。わざとかもしれないが。


読者の皆さんもご存じのように,ビデオリサーチによる視聴率調査は全数調査ではなく標本調査である。関東地区では600世帯を対象として調査を行っている。

だから,関東地区(島部を除く東京都,神奈川県,茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,静岡県の熱海市・伊東市)の全世帯の真の視聴率とビデオリサーチが調べた視聴率との間には統計学で言う「標本誤差」が生じる。

このことについてはビデオリサーチも丁寧に説明している:

視聴率調査について(視聴率ハンドブック) 7 標本誤差」(ビデオリサーチ)

ここに出てくる標本誤差の式に従えば,「ごちそうさん」第15回の視聴率27.3%の標本誤差は±3.6%ということになる。

念のため「あまちゃん」の最高視聴率27.0%の標本誤差についても計算してみると同じく±3.6%となる。

ここから考えると,0.3%の違いなどというのは標本誤差の範囲内にあり,番組の勝ち負けについて議論する場合には,ほとんど意味のない数値ということになる。

ビデオリサーチの調査結果をもとに何か言うとすれば,

「ごちそうさん」のこれまでで最高の視聴率が「あまちゃん」の最高視聴率と同レベルに達した

ということは言える。


こういうことを書くと,ビデオリサーチの数値に全く意味が無いかのように思えるが,そういうことではない。正確に数値を出すことには意義がある。その数値を用いて議論する場合,議論の内容によって細かい数値に意味があったりなかったりするということである。


じつは今まで述べてきたような話は,先日読んだ林知己夫の『調査の科学』(ちくま学芸文庫)にも出てくる話である。

林知己夫が「視聴率20~30%くらいのところで4~5%ぐらいの誤差は避けられない」というようなことを述べたら,業界関係者に「こちらは1%の視聴率の数字に骨身をけずっている。現実を知らぬ学者のたわ言だ」と怒られたという(参考:『調査の科学』186~187ページ)。

視聴率の細かい数値を巡って業界内で鎬を削るのは自由だし(それで大入り袋が出たり,ボーナスがあがったりするらしいが),それを用いて番組の勝ち負け・人気不人気についてマスコミが議論するのも勝手である。

だが,視聴者や新聞読者は騙されないように「標本誤差」というものを意識するべきだろう。

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2013.10.15

不幸なヴァンダル族

vandalismという言葉がある。乱暴狼藉のことだが,とくに文化芸術への破壊行為を指すことが多い。

5世紀半ば,ローマ市を襲い,略奪行為を働いたゲルマン系(※実は違うという説が有力であり,別記事で述べる)のヴァンダル族 (Vandal)に由来する言葉である。

もっとも,ローマ市を襲ったのはヴァンダル族に限らないし,他のローマ帝国の都市もいろいろな外敵に襲われている。なのになぜ,ヴァンダル族だけが悪者のようになっているかというと,ヴァンダル族がローマ市やカルタゴ市を襲った時に,それを詳細に記録した文化人がいたためである。

さて,そのヴァンダル族の歴史を簡潔にまとめた本がある:

松谷健二『ヴァンダル興亡史 地中海制覇の夢』(中公文庫 BIBLIO)

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松谷健二

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松谷健二は本来,翻訳家であって,小生にとってはパウル・カレル『バルバロッサ作戦』(学研M文庫),同じくパウル・カレル『焦土作戦』(学研M文庫),あと「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズの訳者というイメージが強い。

だが,翻訳以外の著作もあり,今回紹介する『ヴァンダル興亡史』とともに『カルタゴ興亡史』『東ゴート興亡史』など,「興亡史」三部作を執筆している。


  ◆   ◆   ◆


さて,『ヴァンダル興亡史』の話に移ろう。

小生にとっては一気には読めない本である。ローマ人やゴート人やヴァンダル人の名前が次々に登場するし,とくにローマ皇帝に関しては西と東に皇帝が併存しているし,あっという間に入れ替わるし・・・。ということで,この時代のヨーロッパ史に詳しくないと頭の中が大混乱に陥る。

だが,ヴァンダル族の指導者であるゲイゼリック(ガイセリック)とその子孫の言動さえ押さえておけば,なんとか読み切れる。

ヴァンダル史はゲイゼリック以前,ゲイゼリック時代,ゲイゼリック以後の3つに分かれると思ってしまえばよい。


  ◆   ◆   ◆


<ゲイゼリック以前>

ゲイゼリック以前は定住と移動の繰り返しの歴史である。

ストラボン(古代ローマのギリシア系地理学者,BC63頃-BC23頃)によれば,ヴァンダル族はオーデル川中流域,シュレージエン地方に住んでいた。シュレージエン(シレジア)という名称自体,ヴァンダル族の一支族,シリング(シリンジイ,Silingii)に由来するという。

ヴァンダル族にはもう一つ別の支族があって,アスディング(ハスディンジイ, Hasdingii)と言った。この人たちは2世紀ごろからローマ帝国の承認を得てハンガリーとかルーマニア(ダキア)に住んでいた。

375年,東方からフン族が襲来し,いわゆるゲルマン民族の大移動が始まる。今のウクライナのあたり(カルパチア山脈からドン川に至る範囲)に住んでいたゴート族が,フン族から逃れるため西へ南へと移動を始めたのである。

実際にはゲルマン民族に分類される諸勢力は,「ゲルマン民族の大移動」以前から押し合いへし合い,あちこちを移動していて,時としてローマ帝国と衝突したり,服従したりしていた。いわば「玉突き衝突」(32頁)。

しかし,フン族の襲来は決定打だったようで,これによってゴート族だけでなく,ゴート族に押し出される形で,ゲルマン民族諸勢力が移動を始めた。

5世紀ごろの民族大移動の様子をまとめた図がWikipediaに掲載されているので,ここに引用する:

Invasions_of_the_roman_empire_1

青い線がヴァンダル族の移動経路を示している。

ハンガリー・ルーマニアのあたりにいたアスディング系ヴァンダル族は東方から移動してきたゴート族と衝突した。またフン族の襲来もあった。当時のアスディング系ヴァンダル族の王ゴディギゼルは,アスディング系ヴァンダル族,および同盟関係にあったアラン(アラニ)族(遊牧騎馬民族)を率いて長い旅に出ることとなった。これが400年頃の話。

その後,アスディング系ヴァンダル族はシリング系ヴァンダル族と合流し,アラン族と一緒に西に行ったり南に行ったりと彷徨いながら西ヨーロッパを横切り,スペインに到着する。これが410年頃の話である。

ヴァンダル族は今のスペインのアンダルシア地方を領有した。そもそもアンダルシアという名称は古くはヴァンダルシア(Vandalusia)であり,ヴァンダル族に由来するものだという。

ヴァンダル族にとってスペインは安住の地ではなかった。他の勢力,スエビ族,西ゴート族との間でスペイン領有を巡って争いが続いていた。

ここで登場するのが,ゴディギゼルの子,ゲイゼリックである。


  ◆   ◆   ◆


<ゲイゼリック時代>

ゲイゼリックはゴディギゼルの庶子で,母は非ゲルマン系の奴隷女だったという。また,若い頃の落馬事故のせいで足が不自由だったという。足が不自由という話,場所も時代も違うが,ティムールを思い起こさせる。

さて,ゲイゼリックは一か八かの賭けに出た。他のゲルマン系諸勢力との争いを続けていてはヴァンダル族は衰亡する一方である。海を渡り,豊かな北アフリカを目指すことにした。

429年の5月か6月,ヴァンダル族とアラニ族,総勢8万人がスペインのタリファからモロッコのタンジールへと渡った。そして,渡海の疲れから回復するや否や,ヴァンダル族とアラニ族はローマ帝国の守備隊を蹴散らしながら,ひたすら東進し,430年の夏にはヒッポ・レギウス(アンナーバ)に至った。

当時,ヒッポ・レギウスにはカトリックの指導者の一人,聖アウグスティヌスがいた。ヴァンダル族はカトリックと対立するアリウス派を支持していた。異端のアリウス派の信徒であるヴァンダル族に包囲されたまま,聖アウグスティヌスは死去する。

ヴァンダル族の蛮行がことさらクローズアップされ,"vandalism"という言葉が誕生した原因は,このヒッポ・レギウス包囲戦にある。

「ヴァンダル族にとって運の悪いことには,このアウグスティヌスにポシディウスという伝記作家がいて,ヴァンダル族の蛮行をこと細かに後世につたえた。<中略> ヴァンダル族だけが特別に史上まれに見るほど暴虐無頼だったのではない。多くの似たような例のひとつにすぎなかったのだ。<中略>たまたま知識人の多い地方々々であばれたものだから,のちのちまで目立つようになってしまったのである」(61~62頁)

ヒッポ・レギウスは約1年後にヴァンダル族のものとなる。ゲイゼリックはローマの名将アスパル(じつはゲルマン系かアラニ系)と闘いつつ,秘密交渉を重ね,ヴァンダルによる北アフリカ各地の領有を認めさせることに成功する。そして,439年10月には地中海における最大都市のひとつカルタゴを陥落させ,北アフリカの覇権を確立した。これを以てヴァンダル王国の成立と見ることができる。

ゲイゼリックは強力な海軍を作り上げ,西地中海を荒らしまわった。シチリア島,サルディニア島,コルシカ島等々はヴァンダル王国によって征服された。

455年にはローマ帝国内の政争に乗じてローマを占領,略奪を働いた。これが本記事冒頭の話である。

このとき教皇レオ1世は建物の破壊と住民の殺戮をしないよう,ゲイゼリックに懇願した。ゲイゼリックは教皇の願いを聞き入れ,殺戮と破壊を禁じた。ただし,それは殺戮と破壊を無意味と思うからであって,略奪をしなかったわけではない。

「掠奪をしないとは約束していない。ゲイゼリックは十四日間とくぎって部下たちに組織的掠奪をさせた。ローマ市を簒奪者たる皇帝から救った報酬というのが名目となる。合法的戦利品といってもかまわない。 <中略> 金目になりそうなものは残らず冷静に没収され <中略> 船に積み込まれた。むろん,掠奪の対象は物品だけではない。富裕階級の家族も連れさられた。人質である。その身代金は結局はローマの国庫から出るはずだった。」(84頁)

ローマ帝国にとってヴァンダル王国によるローマ占領は相当なショックだったようである。一方で,ヴァンダル王国にとっては自信をつけさせることとなった。

東西両ローマ皇帝はヴァンダル王国を撃つべく大艦隊を派遣したが,ボン岬の戦いで大敗。

当時,ゲイゼリックは70歳ぐらい。当時としては相当な高齢だったが,軍事・外交で彼に対抗できるものはいなかった。


  ◆   ◆   ◆


<ゲイゼリック以後>

477年,ゲイゼリックが死去した。80歳後半,90歳近くである。一代のカリスマを失った後,ヴァンダル王国は衰え始める。

そのころ,東ローマ帝国に強力な皇帝が現れた。ユスティニアヌス帝である。

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↑ユスティニアヌス帝(source: wikipedia)

ユスティニアヌス帝はヴァンダル王国の宮廷内の争いに乗じ,ヴァンダル王国を征服することにした。ヴァンダル戦争の開始である。ユスティニアヌス帝は名将ベリサリウスを送り込んだ。短期間の戦いの後,ヴァンダル王国は滅亡し,北アフリカはローマ帝国の下に戻った。

このヴァンダル王国の滅亡過程については本書『ヴァンダル興亡史』のページ数の三分の一が費やされているが,是非読んでくださいということで省略。


  ◆   ◆   ◆


この時代,ローマ帝国側の視点で歴史物語が描かれることが多く,周辺民族の視点で描かれる物語は少ない。そういう意味で『ヴァンダル興亡史』は貴重な書籍である。

松谷健二が繰り返し述べていることだが,ヴァンダル族による略奪を詳細に記録した知識人がいたことがヴァンダル族の不幸である。ローマ市略奪にしてもヴァンダル族によるものより45年前の西ゴート族アラリック王によるものの方がよっぽどひどかったようである。

ヴァンダル族は"vandalism"という言葉の語源となり,乱暴狼藉を働く人々のようなイメージを植え付けられてしまった。ゴート族なんかは本来無関係であるにもかかわらず"Gothic"という中世の建築様式・芸術様式に名前をとどめているのに対し。

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2013.10.14

世界初の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電 (skwid),水車紛失により落成式延期

三井海洋開発株式会社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) の支援の下,世界初の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電システム,通称skwidを開発していた。

ようするに上半分が風車で下半分が水車というダブル発電システム。

風車はダリウス型,水車はサボニウス型である。

この10月中旬から佐賀県海域で実証実験が始まる予定だった。10月17日に佐賀県唐津市で行われる落成式に向け,香川県多度津から佐賀県沖へと回航されていた。

しかし,10月12日20時頃,門司港沖北西約25Kmの地点で,運搬台船が揺れて,skwid下部の水車部分が脱落し,海中に没した。(参考:三井海洋開発によるニュースリリース

日本で再生可能エネルギーを普及させようとする場合に直面するのが,日本の気候が必ずしも穏やかではないということ。

例えば,風力発電に関しては台風や雷や雪などが特に問題である。デンマークで海上風力発電が盛んな理由としては,台風が来ないことが挙げられるだろう。日本の場合はそうはいかない。風車,水車はつねに過酷な気象条件にさらされる。今回の事件は設置前の回航中に発生したものだが,設置できたとしても同じようなリスクがあるだろう。

まあ,skwidは延期になっただけであって,なんとかやり直すことになるだろうが,玄界灘の厳しさを踏まえて設計変更でもしないと,回航中または設置後に同様のトラブルに見舞われるだろうと思う。

あるいは,設置後の対策は考えてあったものの,運搬中に重要なパーツを失うとは思っていなかったのかも。

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2013.10.11

『覇記』第160話仙台滅亡,『ブルトンの金獅子』第8話ラニ包囲戦

今週は大忙しで,ブログの更新が滞っております。

某市で大物国会議員をお迎えして会議を開いたり,某省でヒアリングに答えたり。

それはともかく本題に。

10月7日,『ブルトンの金獅子』第8話掲載。

ラニ包囲戦がついに終了。

リッシュモン大元帥,ジル・ド・レはイングランド軍の戦意を奪うことに成功。それにしても,玄界灘潮先生の執筆速度は速い。


10月9日,『覇記』第160話掲載。

前回と同様,ほぼひと月ごとの更新ペースである。

仙台が滅亡するのは見えていたものの,こういう終わり方をするとは。貞山青葉はあいかわらず武器が使えないようだ。


  ◆   ◆   ◆


関係ない話題だが,産経新聞が村上春樹ノーベル賞受賞と誤報を流したとの話。産経は愛嬌のある誤植で知られる(参考)が,今回は号外で7分にわたって誤報を配信していたそうである。他山の石としたい。

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2013.10.07

林知己夫『調査の科学』を読む

数学の中で難しいのは確率・統計ではないかと思っている。微分・積分,代数・幾何など,難しいようだが,計算結果などを巡って意見が対立することは無い。

ところが確率・統計では計算結果を巡ってもめることが多々ある。計算結果の何を巡ってもめているかというと,解釈を巡ってもめているのである。

例えば,小生は統計言語"R"を使っているわけだが,これを使えば,様々な統計的検定が簡単にできる。しかし,その検定結果に対しては,ネイマン・ピアソン流かフィッシャー流かで,解釈の仕方ががらりと変わるわけである。

結局,確率・統計分野では,数学の他の分野に比べて常々勉強しなくてはいけないことが山のようにあると思う。

というわけで,時折勉強のために確率や統計の本を読んでいるのだが,最近,質的データを量的に扱うという統計的手法「数量化理論」を生み出した偉大な統計学者である林知己夫の『調査の科学』を読んでいる。

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この本で凄いと思ったのは統計用語のユニバース母集団(population)を厳密に分けていることである。

この辺が詳しく書いてあるのが本書の第2章である。以下,主要部分を引用する。

「定義がはっきりし,しかもその構成要素が具体的にとらえられるような調査対象集団を,統計学ではユニバース universe と呼んでいる。」(42ページ)
「母集団とはユニバースに確率的な概念を加えたものである」(43ページ)
「ユニバースと母集団が同じではないか,と思われるかもしれない。<中略> しかし,厳密な考え方としては,ユニバースと母集団はまったく別のものであることを認識していただきたい。」(43ページ)
「ユニバースに,要素を取り出すという考え方を加えたのが,「母集団」である。」(44ページ)
「日本人という調査集団では,ユニバースであった住民登録簿から機会均等に,つまり公平なくじ引きで,むずかしくいうと同じ抽出確率でつぎつぎと人を抽出すると決めたのが母集団ということになる」(44ページ)


さて,こうした説明を聞いたのち,ウェブ上でユニバース母集団について解説している文章を読むと,なんか違う。

例えばこういう説明:

「統計学上の population と universe の違いは、前者が、検定や推定の対象であるところの個体から観測される値(小学校6年生のお小遣い) の集まりであるのに対して、後者は個体(小学校6年生)の集まりという点です。」(コラム『統計備忘録』バックナンバー第34話「sample, population, universe」,統計WEB,2008年1月15日)

『調査の科学』の解説を書いた吉野諒三によれば,ユニバースと母集団の区別について厳密に取り扱っているのは,本書を除くと林文ほか『統計学の基本』(朝倉書店,1991)や杉山明子編『社会調査の基本』(朝倉書店,2011)ぐらいしか存在しないようである。

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通常はユニバースと母集団の対応関係が固定しているために,両者を区別する意義があまりないようだが,アンケートの回収率の低下などの問題が生じている現在では,ユニバースと母集団について,厳密な定義にまでさかのぼって慎重に検討する必要がある,ということを吉野諒三は述べている。

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2013.10.06

「10月6日市」という都市がある。エジプトに

「今日は何の日」シリーズ第三弾。

エジプトに「10月6日市(6th of October City)」という都市がある。

カイロの衛星都市である。2011年4月までは「10月6日県」という行政区があり,その県庁所在地だった。

10月6日というのは第4次中東戦争が始まった日である。

1973年のこの日,エジプトとシリアの連合軍はイスラエルに対して奇襲攻撃を開始した。最終的にはイスラエルが巻き返しに成功するものの,イスラエルを苦境に追い込んだエジプト側には,イスラエルに対して勝利したという認識がある。

さて,1979年,サダト大統領の命により,10月6日市は設立された。市の名前は,今述べた第4次中東戦争の開始日を記念してつけられたものである。

それから2年後の1981年10月6日,対イスラエル戦勝記念パレードの最中に,サダトは暗殺された。「10月6日市」の名は,第4次中東戦争とともにサダト暗殺を思い起こさせるものとなった。

現在,10月6日市には7つの大学があり,学園都市として栄えている,また,アフリカサッカー連盟(Confederation of African Football, CAF)の本部も置かれている。

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桜塚やっくんこと斎藤恭央(やすお)さん,中国自動車道(山口県美祢市)で事故死

昨日(10月5日)は山口も広島も時折強い雨に見舞われていて,夜になるとライトで路面が光って走りにくかった。

広島への出張を終え,新山口から宇部まで車で戻る途中,中央分離帯に乗り上げている事故車を目撃した。やはり,事故が起きやすいのだなと思い,できる限り気を付けて帰路に着いた。


で,家に帰ってネットのニュースを見ると,表題の事件である。小生が目撃した事故とは関係ないとはいえ,何かの符牒かと思ってしまう。

「桜塚やっくん」ことタレントの斎藤恭央(やすお)さんが中国自動車道(山口県美祢市)で事故死との報道:

中国道:衝突後、車外に出た桜塚やっくんらはねられ死亡」(2013年10月5日,毎日新聞)

事故現場は美祢市東厚保(ひがしあつ)町というから,伊佐パーキングエリアから美祢西インターチェンジまでの5,6キロの区間のどこか,ということか。

10月6日(日)午後から熊本あらおシティモールで開かれるコンサート(「美女♂menZ」の)に出る予定だったらしい(参考)。

そういえば,2010年の宇部祭りには桜塚やっくんが来ていた(本人ブログ,2010年11月6日)。小生も当日,市役所駐車場に設営されたステージ上の桜塚やっくん,見たなぁ。

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2013.10.05

10月5日は関釜連絡船「崑崙丸」沈没から70年の日

1943年10月5日午前1時頃,関釜連絡船「崑崙丸」が沖ノ島沖でアメリカの潜水艦によって沈められた。

乗員・乗客583名が死亡。

それから70年の今日,沈没地点で下関の市民らによって洋上慰霊祭が行われた。


大戦中に沈められた日本の商船は次のサイトにまとめられている:

戦時下に喪われた日本の商船

前に「グストロフ号の悲劇」という記事を書いたが,戦時下の商船撃沈の話は悲惨極まりない。


崑崙丸を沈めた,米潜水艦ワフー (SS-238 Wahoo) は他にも17隻の艦艇,商船を沈めたエース級の潜水艦である。

崑崙丸を沈めたのち,宗谷海峡から脱出をしようとしたところを発見され,日本海軍によって沈められたという。

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2013.10.04

10月4日はスプートニク1号打ち上げの日

1957年10月4日,ソビエト連邦が世界初の人工衛星,スプートニク1号をバイコヌール宇宙基地から打ち上げた。

これはアメリカにとって一大事件だった。これ以後,米ソの宇宙開発競争が始まる。

それから56年。ソ連ののち,人工衛星を打ち上げたのはアメリカ,フランス,日本,中国,イギリス,インド,イスラエル,イラン,北朝鮮。

つまり,わずか10か国しか宇宙に進出していない。

人工衛星打ち上げ技術のいかに難しいことか。そして,半世紀以上前のソ連の科学力の凄さ。


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2013.10.03

「里山資本主義」アンコール放送にちなんで,「離島経済新聞」を紹介

本ブログでも7月に

藻谷浩介+NHK広島取材班『里山資本主義』を読む」(2013年7月15日記事)

というタイトルで取り上げたが,藻谷浩介+NHK広島取材班の『里山資本主義』がかなり反響を呼んでいるようだ。

明日(2013年10月4日),午後7時半からNHK総合(中国地方)でアンコール放送がある(参考

里山資本主義  日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
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本書に対しては批判も多い。

例えば「人間関係が濃密な田舎に都市部の人々が入りこめるだろうか」という疑問があがっている。山口県周南市金峰(みたけ)の連続殺人放火事件なんかその極端な例として見ることができるかだろう。

本書で取り上げられた「真庭モデル」に関しては,他県の林業関係者からは「銘建工業が発電・ペレット製造に使っているのはスウェーデン産の外材だ」という指摘が挙がっている。

本書の記述に関する些細なレベルでは,吸収式冷凍機の記述が間違っているというのも小職のような元エンジニアから見ると見逃しがたい。


とはいえ,「田舎暮らし」や「ロハス」や「再生可能エネルギー」といった個別の取り組みを結び付け,様々な統計データによる裏付けをもとに「里山資本主義」というキーワードに集約したのは,藻谷浩介氏とNHK広島取材班の功績である。

で,本記事では「里山資本主義」アンコール放送に便乗して,「離島経済新聞:ritokei」という新聞と公式ホームページを紹介したい。

離島経済新聞:ritokei」というのは離島での生活に焦点を当てた季刊のタブロイド紙である。

小生が買ったことがあるのは『季刊ritokei』02号と05号である。02号には「全国有人離島地図」が,05号にはフォルダーがノベルティとして付いていた。

『季刊ritokei(リトケイ)vol.1・vol.2・vol.3・vol.4』2012年フルパッケージ/離島経済新聞社『季刊ritokei(リトケイ)vol.1・vol.2・vol.3・vol.4』2012年フルパッケージ/離島経済新聞社
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同新聞のサイトでは島記者と呼ばれる記者たちによる,離島暮らしの記事が掲載されている。

小生が気に入っているのは「周防大島、宮本常一の島をあるく」というシリーズである。周防大島は『里山資本主義』にも取り上げられていて,今,注目の島である。

この新聞の運営は大変だろうと思うが,買い支えるので長く続けてもらいたいと思う。

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今週飲んだワイン

これは自分用忘備録。

今週,夕食時に飲んだワインを並べておく。

トカイ・アスー

ハンガリーの,かの名高い貴腐ワイン,トカイワインである。

Tokajiaszu

今回飲んだ種類はトカイ・アスー・3プットニョシュ (Tokaji Aszú 3 puttonyos) なので,あまり高価ではない(プットニョシュの数字が大きくなるほど,貴腐ワインの量が増える)。

凄く甘いのでデザートワイン。梅酒をそのまま飲んでいるような濃密な味わい。アルコール度12.5度。

コルクやラベルには聖イシュトバーンの王冠が印されている。


オルヴィエート・クラッシコ・アマービレ

Orvietoclassicobigi

イタリア・ウンブリア州の白ワイン。アルコール度数12度。中甘。確かに甘い。ホワイトソースの鶏肉料理に合うとか。

ラベルとビンの形に魅かれて購入。まあレコード/CDにおけるジャケ買いのようなもの。


  ◆   ◆   ◆


以前紹介した坂口謹一郎(通称:サカキン)『日本の酒』では,日本酒に,食前酒,食中酒(肉料理用,魚料理用),食後酒(デザート)のような種別がないのはなぜだろう,という話が出ていた。

ワインはその風味によって,使い分けがあるので偉いと思う。日本酒もそうするべき。

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2013.10.02

【キュレーション】今週の注目記事(2013年10月第1週)

今週,小生が気になった記事をピックアップ。

だいぶ前の記事もあるので,最新記事ということではない。

■「日本製ランドセルは人気間違いなし」(ナタリア・ススリナ,ロシアNOW,2013年8月9日)

――ロシアでは「日本製」という言葉は伝説的な品質の良さを意味する


■「【独占インタビュー90分】小泉今日子わがアイドル時代、そして『あまちゃん』のことを語る」(一志治夫,現代ビジネス,2013年9月21日)

――「小泉今日子」という人物には生き方の知恵が詰まっている


■「多発する暴力事件に経済の凋落 深まる中国の混乱」(石平,WEDGE Infinity,2013年9月25日)

――李嘉誠一族が香港から撤退するとの衝撃的情報


興味ありましたらそれぞれご一読を。

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おまちかね。『カンニング・スタンツ』第二十二話完結

季布を狂言回しとして秦末・楚漢戦争を描いている『カンニング・スタンツ』。

10月1日に後編が掲載されて第二十二話「儒都にて」が完結した。

儒都とは魯のことであり,季布は項籍(項羽)の露払いとして儒都に進駐した。

この第二十二話は戦闘シーンが無く,他の話に比べると派手さに欠けるが,侠客・季布の人となりをじっくり描いており,今までの話の中で出色の出来であると思う。


そういえば,『ブルトンの金獅子』もどんどん続きが書かれ,現在,7話まで進んでいる。リッシュモン大元帥とベドフォード公が激突。そして,ついにジル・ド・レが登場。

秋の夜長はこれらの歴史モノで。

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2013.10.01

前代未聞のうるし漫画『青春うるはし!うるし部』

ずいぶん前に買って,何回も読んでいる漫画を紹介しよう。

先日,Eテレの日曜美術館を見ていたら「“手”は無限なり 第60回日本伝統工芸展」というのを放映していた。漆芸について再確認したくなったので,また読んだのがこの漫画である。

堀道広『青春うるはし! うるし部』(青林工藝舎,2007年)

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登場人物たちは尻毛高校うるし部に所属し,日々,漆芸の腕を磨いている。

と書くと,真面目な漫画のようだが,独特の雑なタッチで,首が太かったり長かったりする奇妙な造形の人物たちが描かれ,これらの人物たちによって,お下劣でばかばかしい笑いが展開されている漫画である。

作者自身,うるし職人だったそうで,漫画に出てくる漆芸に関する情報は非常に細かい。読んでいるうちに漆塗りの工程や筆や刷毛やヘラのような道具に関する知識が身に付く。

なんだこれは学習漫画か?

うるし部顧問の松田権作という人物がいるが,この名前はおそらく,名著『うるしの話』の著者にして蒔絵の人間国宝,松田権六からとったものだろう。

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あと,アフリカからの留学生にしてO国最年少大統領候補のバーナード・ピーチという人物も出てくるが,これはバーナード・リーチから来ているというのがうちのツマの指摘。

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さて,『青春うるはし! うるし部』の著者・堀道広は今も「うるし漫画家」としてご活躍のご様子である(本人ブログ「うるし部ブログ」)。

最近では"CAT'S FOREHEAD"というサイトにインタビュー記事が出ている。

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