10月20日は「もう一つの太平洋戦争」終了の日
太平洋戦争というのは2つあって,通常はいわゆるPacific War,すなわち,大日本帝国を中心とする枢軸国側とアメリカ合衆国を中心とする連合国側の間の戦争(1941年~1945年)のことを指す。
もう一つの太平洋戦争はあまり知られていないが,1879年から1884年にかけてボリビア共和国+ペルー共和国とチリ共和国の間で展開された,Guerra del Pacifico,英語で言うならWar of the Pacificのことを言う。
本記事で言う太平洋戦争とはこの南米で行われた戦争のことである。
この戦争は南米太平洋岸の資源,主として硝石をめぐる争いだった。ペルーとボリビアは敗北し,太平洋岸の領土をチリに割譲することとなった。チリの領土は北へ長く伸びた。
↑戦争前のペルー,ボリビア,チリの領土 (source: wikipedia)
今でこそボリビアは内陸国として知られているが,この戦争で負けるまでは太平洋岸にアントファガスタ州という領土を持ち,400kmの海岸線,そして海軍を有していた。
ボリビア海軍はボリビアが海岸線を失った今でも残っている。陸軍の下にあるという変則的な形だが,4800人(2007年現在)もいる。中核になっているのは海兵隊で1700人いるという。大西洋やチチカカ湖で演習を行ったり,ブラジルなどとの国境の河川を警備したりしている。
で,表題についての話に戻るが,1883年10月20日にペルーとチリの間で講和条約(アンコン条約)が結ばれた。これによりペルーとチリとが終戦。というわけで,10月20日はペルー・チリ間の太平洋戦争終戦の日ということになる。
ボリビアとチリの間の戦いは翌年まで続き,1884年4月4日に休戦した。
ちなみに,ボリビアは今でも太平洋への出口としての領土回復を目指しており,チリとは今もなお正式な国交を回復していない。これを「海への出口問題」という。
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コメント
初めて知りました。
そこで二つのリンク(wikiと在ボリビア日本大使館)の記事を読んでみましたが、戦争の発端について微妙な記述上の差異が感じられ興味深かったですね。
投稿: 拾伍谷 | 2013.10.20 11:29
チリが勝者となったわけですが,戦争の原因となる硝石の開発にせよ,海軍の整備にせよ,チリの後ろ盾として大英帝国がちらちら見えるのが,なんかやな感じです。
投稿: fukunan | 2013.10.21 01:29