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2013.09.24

ロンドンは連合王国から独立すべし,との意見

例によって英ガーディアン紙の記事である。ガーディアン紙で経済面を担当するラリー・エリオット (Larry Elliott)が英国の南北経済格差とその解消法について述べている:

"UK growth? Make London independent to mend the north-south divide" (by Larry Elliott, Sep. 22, 2013, The Guardian) The south may be recovering, but the north shows Ed Miliband's aspiration for One Nation Britain is far off from reality.

同記事によれば英国内での南北経済格差は相当なものであるという。

例えば,家族全員が無職の家庭(無職世帯とでも呼ぼうか)の割合は英国全体では平均18%である。これに対し,グラスゴーとかリバプールでは無職世帯の割合は27~30%に上るという。ところがイングランド南部諸州,例えばハンプシャーでは10.6%,ノース・ノーサンプトンシャーでは11.2%という低さを示している。

アメリカみたいに労働市場の流動性を高めれば失業率は下がるよ~というのが,市場原理主義者の意見だが,それは怪しいという説をPaul Ormerodが"Applied Economics Letters"誌で発表しているらしい。そもそもアメリカでも失業率は依然として高いままであるし。

ラリー・エリオットは南北格差解消の奇策を提案している。繁栄するロンドンを独立させてしまえと。

これはいい策かもしれない。ロンドンのポンドは対外的に高くなり,残りの連合王国のポンドは対外的に安くなる。残りの連合王国の方が通貨安で国際競争力が強まるという訳である。


ラリー・エリオットの意見は一種の思考実験だが,日本でこれをやってみたらいいかも。東京とその他の地域の経済格差は明確である。東京を独立させれば,残りの日本の円はもっと安くなって国際競争力が増すかも。

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コメント

これは冷や汗ものの提言ですね・・・
都市と地方の南北問題も深刻なら都市の内部での南北問題も抜き差しならぬほどに深刻化してきている印象があります。そこへ大ナタを振り下ろすというわけですが、案外すんなり都市から地方への人口流出が起こるような気もします。

思考実験としての提案ですが、やはりその前提にあるのは富は搾取によって生まれるという思考ではないでしょうか。しかし今やその思考が空想ではなく妙な現実感を持って差し迫っているようにも思えます。これは大変不幸な事態と言わざるを得ません。

投稿: 拾伍谷 | 2013.09.25 01:39

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