【オバマ,キャメロン大打撃?】加熱する米英諜報スキャンダル報道
日本ではあまり話題になっていないが,米英では,諜報機関によるネットおよび携帯電話の情報収集活動が発覚し,オバマやキャメロンの政権に大打撃を与えかねない状況になっている。
英紙The Guardianでは連日,新たな問題が明るみになり,小生としては同紙から目を離せない有様だ。
これまでに報じられている問題(一件はワシントンポスト報道)を並べてみるとこういうような感じになる:
- アメリカ国家安全保障局(NSA)がベライゾン社ユーザ数百万人分の携帯通話記録を入手(参考)
- NSAとFBIがインターネット大手企業から情報を入手する「プリズム」プログラムを実施(参考)
- 英国政府通信機関(GCHQ)がNSAを通じて「プリズム」で収集した情報を入手(参考)
これらについては弊ブログでも紹介してきた:
- 6月6日「アメリカ国家安全保障局,ベライゾン社を通じて米国住民の通話記録を収集中」
- 6月7日「【オバマ政権の危機?】米国民の携帯通話を国家安全保障局が監視している件」
- 6月8日「【プリズム・プログラム】英国情報部が米プリズムプロジェクトを通してインターネットの情報を監視中【ベライゾン通話記録入手】」
これらに加えて,小生が土曜日(6/8)にThe Guardianで目にしたのは次の2つである。
「オバマ大統領が海外へのサイバー攻撃の目標のリスト作成を指示」
"Obama orders US to draw up overseas target list for cyber-attacks" (Glenn Greenwald and Ewen MacAskill, guardian.co.uk, Friday 7 June 2013 20.06 BST)
Top-secret directive steps up offensive cyber capabilities to 'advance US objectives around the world'
「『プリズム』で収集された情報をGCHQが入手している件で,政府が窮地に」
"Prism: ministers challenged over GCHQ's access to covert US operation"
Government rounded on after disclosure that highly-classified system supplied eavesdropping headquarters with information
前者は米国から海外へのサイバー攻撃,後者はネット上での諜報活動という違いはあるが,基本的にはネット上(サイバー空間)での軍事・諜報活動ということにまとめることができる。
自由と平和を謳歌し,プライバシーが保護されているものと考えられてきたネット空間が戦場と化してきたことを意味する。
英国では議会の情報・公安委員会(Intelligence and Security Committee、ISC)が動き出し,まもなく「プリズム」の件に関してGCHQに説明を求めるようである。
◆ ◆ ◆
さて,一連の米英諜報スキャンダルについて,一歩引いたところから少し考えてみよう。
「誰がこの事件で得をするのか? (Cui bono?)」
- 人権活動家
- 政敵
- テロリスト
- 中国
この問題(Cui bono?)を考えることは,問題の背景は何か? リークしたのは誰か? 煽っているのはだれか?等ということにもつながってくるだろう。
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コメント
中国が米国や日本へのサイバー攻撃によって手に入れた技術を金額にすると数兆円になる。
投稿: うなぎ | 2013.06.09 10:22