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2013.06.04

一国環境主義をやめよう

昨日,倉敷市で講演をしてきた。

環境・エネルギー問題について。

シェールガスの今後や,大震災以降の電力消費の実態など,いろいろな話題を取り上げたのだが,今回,最も力を入れたのがこれです:

一国環境主義からの転換

Environmentalism

円グラフは1990年と2011年の世界のCO2排出量の状況を示している。データ源は欧州委員会が管轄するデータベース,EDGARである。

1990年の世界の排出量合計は22,060,863キロトンだったが,2011年にはその1.5倍に増加している。

一目でわかるのは中国の伸びである。いまや世界の二酸化炭素の三分の一は中国から発生している。


実際に削減義務を負ったのは日本だけ

京都議定書では主としてEU,ロシア,日本が排出量の削減義務を負った。しかし,EUは加盟国増加により自然に削減量を達成。ロシアはタイガという森林地帯がCO2吸収源となるため,削減量はゼロ。2008年~2012年の第一約束期間中,日本のみが1990年比マイナス6%という削減義務を負った。

日本のみ削減してどの程度の意味があるか?

先ほど述べたように,日本が努力している間にも世界のCO2排出量の総量は増加を続けている。新興国の伸びは大きく,とくに中国の伸びが目立つ。今や,日本は世界の4%を占めているのに過ぎない。日本が例えば25%削減しても,世界の排出量合計から見れば,1%の減少にすぎないわけである。それに,日本が努力して削減している間に世界の排出量合計はもっともっと増加することだろう。

日本国内の省エネ・新エネの努力が無駄であるとは思わない。だが,これを世界に波及しなければ,世界全体でのCO2排出量の削減を実現することはできない。

日本の省エネ・新エネ技術を世界に積極的に輸出する。
技術だけでなく,マネジメントの仕方も輸出する。
場合によっては海外においてエネルギー・インフラの経営にも関与していく。

これによって,世界のCO2排出量の削減を図り,さらに資源の浪費を食い止める。

つまり,日本だけがCO2削減目標を立てて実現しようとする,一国環境主義からの転換。

そういう姿勢でないと,実質的な地球環境の保護,エネルギー資源価格の高騰の抑制を実現できないだろうと思う。

※ちなみに上のグラフでは,1990年と2011年の比較のため,現在のEU加盟27か国でEUの排出量を集計している。1990年頃はEU加盟国は現在の半分ぐらいだった。

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