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2013.06.21

人身売買対策に関して日本は2等国扱い

6月19日,米国務省が「人身売買に関する年次報告書」を発表した。

「中国・ロシアが最低ランクのTier 3に分類された」という報道があったり,NGO「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」の事務局長,鳥井一平氏が人身売買と闘うヒーローの1人に選ばれた,という報道があったりした。

しかし,それらにも増して小生が問題視しているのは,

人身売買対策に関して日本は2等国扱いされている

ということである。


人身売買に関する年次報告書」(Trafficking in Persons Report 2013, U.S. Department of State, June 2013, http://www.state.gov/j/tip/rls/tiprpt/2013/index.htm)では,188か国・地域の状況を分析し,これらを次に示す4段階で格付けしている:


TIER 1
Countries whose governments fully comply with the Trafficking Victims Protection Act's (TVPA) minimum standards.

Tier 1:「人身取引被害者保護法」の最低基準を完全に満たしている国


TIER 2
Countries whose governments do not fully comply with the TVPA’s minimum standards, but are making significant efforts to bring themselves into compliance with those standards.

Tier 2:「人身取引被害者保護法」の最低基準を完全には満たしていないが,改善努力をしている国


TIER 2 WATCH LIST
Countries whose governments do not fully comply with the TVPA’s minimum standards, but are making significant efforts to bring themselves into compliance with those standards AND:

a) The absolute number of victims of severe forms of trafficking is very significant or is significantly increasing;
b) There is a failure to provide evidence of increasing efforts to combat severe forms of trafficking in persons from the previous year; or
c) The determination that a country is making significant efforts to bring itself into compliance with minimum standards was based on commitments by the country to take additional future steps over the next year.

Tier 2 監視対象国:「人身取引被害者保護法」の最低基準を完全には満たしていないが,改善努力をしている国。ただし,(1)人身売買の被害者が著しく多かったり,増加していたり,(2)人身売買対策が進展しているという証拠を示せなかったり,(3)改善努力というのが,「今後,改善する」というような将来の約束であったりするような国。


TIER 3
Countries whose governments do not fully comply with the minimum standards and are not making significant efforts to do so.

Tier 3: 「人身取引被害者保護法」の最低基準を完全には満たしていないし,改善努力も見られない国


いわゆる先進国,すなわち,アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,イタリア,その他西欧諸国は最高レベルのTier 1に分類されている。

これに対し,日本はTier 1に入れてもらえず,Tier 2に分類されている。

「人身売買に関する年次報告書」に基づいてユーラシア各国の分類を行った結果を下に示す:

Asiancountries

この地図を見るとわかるが,韓国や台湾はTier 1,すなわち1等国,日本は2等国扱い,というわけである。これは,シンガポール,フィリピン,ベトナム,ラオス,インドネシア等,東南アジア諸国と同じレベルである。


  ◆   ◆   ◆


日本は2等国扱いされている。この結果は妥当なのかどうなのか?

この問題は実は客観的な問題と主観的な問題に分かれる。

客観的な問題というのは,人身売買に関して日本の実態はどうなのか,という事実関係の問題である。そして,主観的な問題というのは,アメリカの価値観(ものさし)で計った場合に日本はどのように分類されるのか,という問題である。

前者に関しては小生の手に余るので,ここでは詳述しない。他の論者のブログ,例えばネットゲリラの記事を見た方が良いだろう。

後者に関しては,アメリカの意図というものを感じる。最低ランクのTier 3に分類されているのは中国,ロシア,北朝鮮のほか,イラン,シリア,キューバといった国が入っている。寡聞にして小生の頭の中ではイラン,キューバといった国々と人身売買という話が結びつかない。

アメリカと価値観を共有できるかどうか,ということが,この報告書におけるランキング(というか分類)に強く影響を与えているように見える。そういう視点で見れば,韓国,台湾というアメリカの強力な支援を受けてきた国々がTier 1に分類されているのがわかる気がする。

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