時代は量子生物学へ
量子力学の応用によって,生物学で起こっている様々な現象が解明される可能性がでてきたというBBCの報道があった。
BBC: Quantum biology: Do weird physics effects abound in nature? (by Jason Palmer and Alex Mansfield, January 28, 2013)
植物や微生物が行っている光合成が驚くほど効率的である理由として,量子力学における基本的な性質である「重ね合わせ」(Superposition)が応用されている可能性があるという。
また,渡り鳥が目的地にたどり着くためには「量子もつれ」(entanglement)が,動物がにおいをかぎ分ける際には,「トンネル効果」(tunneling)が機能しているという話。
また,DNAの突然変異にもトンネル効果が作用している可能性があるという話も。
トンネル効果応用によって,発がんメカニズムの理解や,新たな香料の開発など,様々な進展が期待されるということである。
2010年から米国DARPAでは量子生物学を応用したセンサー技術の開発と軍事利用の取り組みが始まっているし(参照),2012年からはヨーロッパでも"Farquest programme"という枠組みの中で量子生物学を含む量子科学の強化を進めている。
ということで,今後の生物学のキーワードは「量子」
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