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2012.11.29

ロゼッタストーン:約4か月経過

7月の初めにロゼッタストーンTOTALe(トータリー)を始めたわけである(参照)。

時々さぼりながらも約4か月続いている。熱心さに欠けるので,現在,レベル2のユニット3に入ったところである。

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↑このパッケージ,職場で配られたのだが,実際にコツコツとやっているのは小生だけの様子。"girl"や"shirt"の発音は良くなってきたかなー,と勝手に思っている。

つい最近びっくりしたのは"February"の発音。ずっと「フェブラリー」だと思っていたのだが,「フェビュアリー」だということが判明。

今後もいろいろな発見をしながら,しぶとく続けていく所存。

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2012.11.27

笠井潔『8・15と3・11―戦後史の死角』からスガ秀実『反原発の思想史』へ

先の記事では笠井潔『8・15と3・11―戦後史の死角』について長々と書いてしまったが,結局のところ,同書の主張は,

歴史認識を持て!」
「まわりの『空気』に流されるな!」

ということに集約できると思う。

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『8・15と3・11―戦後史の死角』は今年の9月に出版された新書だが,その半年前の2月,同じように原発問題における歴史認識の必要性を訴えた本が出ている。

スガ秀実『反原発の思想史』(筑摩選書)がそれである(スガは糸へんに圭という漢字)。

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現在読み始めたところだが,原発問題とサブカルチャーの系譜との関連が記述されていて非常に面白い。笠井潔や松岡正剛の話も出てくるよ。

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笠井潔『8・15と3・11―戦後史の死角』を読む

本の帯の著者近影を見て「猪瀬直樹,ずいぶん精悍な顔立ちになったな」と思ったら笠井潔だった。

というわけで宮脇書店で新書コーナーをうろついていた時に発見したのがこの本である。

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笠井 潔

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8・15とは例の1945年の敗戦のこと,そして3・11とは言うまでもなく福島原発事故のことである。

本書では,先の大戦における敗北と,今回の原発事故に共通する原因として,戦争指導者たちや原発関係者たちの間に「最悪の事態を考えたくない。考えなくても何とかなる」という判断停止にも近い,無責任な姿勢あるいは「空気」があったことを指摘している。これは他書で他の論者たちが指摘していることでもある。

これに加え本書では,戦争指導者たちや原発関係者たちが,大戦への参戦や原発導入が世界および日本の将来に何をもたらすのかという明確な歴史認識を持って判断・行動したわけではないということも指摘している。どちらかというと,この歴史認識の欠如こそ8・15と3・11に共通して核心的な問題である,と著者笠井潔は見ている。

笠井潔は,このような「『空気』の支配」と「歴史認識の欠如」を二本の柱とする観念体系を「ニッポン・イデオロギー」と名付け,激しく糾弾している。

そして,このニッポン・イデオロギーにとらわれていたのは戦争指導者たちや原発関係者たちだけではなく,一般大衆もまた含まれる,というのが笠井潔の認識である。

8・15と3・11はいずれもニッポン・イデオロギーがもたらした結果だが,単純に並列に置かれるものではない。8・15の「終戦」いや「敗戦」を直視せず,反省もしなかった日本人の大多数は,戦後「平和と繁栄」を謳歌していたが,その繁栄の中で無自覚に核エネルギーの「平和利用」を支持し,やがて3・11:福島原発事故という災厄を引き起こすに至ったのである……というのが笠井戦後史観である。

本書の第五章「原子力ムラの最新層」で展開される「ニッポン・イデオロギーの基層には,古墳時代から続く頽廃したアニミズムが存在する」という主張は面白いとは思うが,にわかには賛成できない。また終章「原発批判の思想的根拠」で述べられているように,親鸞から鈴木大拙に至る思想家がニッポン・イデオロギーと死闘を繰り広げてきたと言えるのかどうか,小生にはよくわからない。

だが,8・15と3・11の背景には,笠井潔が「ニッポン・イデオロギー」と名付けた観念や思考形式が存在することは確かだと思うし,また,「ニッポン・イデオロギー」から脱するためには,過去を直視・反省し,未来を想像することが必要だと思う。

そういう考え方によれば,「電力不足を回避するためには原発が必要である」とか「危険だから原発はいらない」というような主張は,素朴だが,歴史認識を欠いた,そして「空気」に流された主張であると言えるだろう。

原発問題に関して言えば,困難であるとはいえ,外交・安全保障・経済・地球環境・エネルギー・テクノロジー,様々な要素を含んだ歴史認識の下で論理的にこの問題を検討していかなければならない,ということである。いや,大変です。山本義隆『福島の原発事故をめぐって』とか,もう一度読まないと。


福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと
山本 義隆

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2012.11.26

人間の知性がシリコン上に再現される日

シミュレーション仮説」の前提となる,"Substrate-indepenence(基盤独立性)の仮説"が成立する日が近づいてまいりました:

「ハードウエアとソフトウエアの両方が急激な変化を遂げるなかで、今後数十年の間に人間の脳がシリコン上に再現されることは絶対にないと言い張るのは、ばかげているし、賢明なことではない。」(「人工知能が実現すると思う理由 」,2012年11月25日,ウォール・ストリート・ジャーナル日本版より)

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2012.11.24

タル・ベーラ監督『ニーチェの馬』を見てきた件

YCAMに行ってツマとともに『ニーチェの馬 (The Turin Horse)』を見てきた。

ハンガリーのタル・ベーラ(Tarr Bela)監督による作品。第61回ベルリン国際映画祭銀熊賞・国際批評家連盟賞受賞。

やつれた馬と,老境に差し掛かった農夫と,その娘が荒野に住んでいる。彼らは石造りの家に閉じこもり,いつ終わるとも知れない暴風をしのいでいる。そんな彼らの生活を6日間にわたって克明に描いた映画である……と書くと,ドキュメンタリーのようだが,世界の終わりに至る6日間を描いた作品と言った方がよいかもしれない。

タイトルともなっている「ニーチェの馬」だが,これは1889年,トリノでニーチェが鞭打たれた馬車馬に駆け寄り,涙を流しながらその首をかき抱き,そして発狂したという逸話を指している。

タル・ベーラはその逸話にインスパイアされ,この映画を作成した。本映画の原題のTurinとはピエモンテ語あるいは英語でトリノのことである。

本映画における暴風の描写は圧倒的で美しさすら感じる。そして徹底的に削り落とされたセリフと演出は観客に緊張感を強いる。

Turinhorse

暴風の下,娘は朝早くに井戸に行き,水をくむ。そして右手が不自由な父の着替えを手伝う。この家では朝食は無く,寒さしのぎに焼酎(パーリンカ)を娘は一杯,父は二杯飲むだけである。父娘で馬の世話をした後,家に戻る。唯一の食事は夕方,ゆでたジャガイモを一人一つずつ食べることだけである。

こんな生活が繰り返されるのだが,毎日少しずつ変化が起こる。

一日目の晩,長年聞こえていた木喰い虫の音が聞こえなくなる。

二日目には,焼酎(パーリンカ)を分けてもらいに一人の男が訪れる。男は町の崩壊を告げ,また父に対し哲学的あるいは神学的なことを語り始める。

三日目には,二頭立ての馬車に乗った旅人達が現れ,井戸の水を勝手に汲み上げた後,父娘に追い払われる。

四日目の朝,井戸の水が枯れたことがわかる。父娘は家を捨てて他の地に移ることにするが,家を発ってしばらく後に家に戻ってくる。

そして,五日目,六日目,と事態は変化していく…。


初日の晩,木喰い虫の音が聞こえなくなったことは,滅亡の始まりの暗示だろうと思う。古来より草木虫魚に異常が見つかるのは,天変地異の前触れなのである。それが決定的になるのは四日目に井戸が枯れているのがわかった瞬間である。二日目と三日目に人々が来訪するが,彼らは滅亡を逃れようとして彷徨っているのかもしれない。

"What Culture!"の記事"Edinburgh Film Festival 2011: THE TURIN HORSE"でAdam Whyteがこの映画を評して

"This is a beautiful, meditative film that grows in the mind after you've seen it."

と書いているのだが,まさしく,観た後に,この映画の存在が大きくなり,いろいろと考えさせられる,という映画である。

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  ◆   ◆   ◆


この映画に触発されていろいろと考える中で,小生が「ニーチェの馬」のエピソードを初めて知った時のことを思い出したので,ここに記しておきたい。

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1991年2月,小生はチェコの作家,ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』(千野栄一訳,集英社ギャラリー[世界の文学]12巻所収)を読んでいた。

『存在の耐えられない軽さ』の第7部「カレーニンの微笑」の第2節で,著者クンデラが人間を「自然の主人で所有者」としたデカルトの傲慢さを批判しているのだが,その一節に「ニーチェの馬」のエピソードが登場する。

クンデラはヒロインのテレザが愛犬カレーニンを愛撫している場面とニーチェの馬のエピソードとを重ね合わせ,このように描いている:

「私には依然として目の前に,切り株に座り,カレーニンの頭をなで,人類の崩壊を考えているテレザが見える。この瞬間に私には他の光景が浮かんでくる。ニーチェがトゥリンにあるホテルから外出する。向かいに馬と,馬を鞭打っている馭者を見る。ニーチェは馬に近寄ると,馭者の見ているところで馬の首を抱き,涙を流す。

それは1889年のことで,ニーチェはもう人から遠ざかっていた。別のことばでいえば,それはちょうど彼の心の病がおこったときだった。しかし,それだからこそ,彼の態度はとても広い意味を持っているように,私には思える。ニーチェはデカルトを許してもらうために馬のところに来た。彼の狂気(すなわち人類との決別)は馬に涙を流す瞬間から始まっている。

そして,これが死の病にかかった犬の頭を膝にのせているテレザを私が好きなように,ニーチェを好きな理由である。私には両者が並んでいるのが見える。二人は人類が歩を進める「自然の所有者」の道から,退きつつある。」(集英社ギャラリー[世界の文学]12巻,797ページ)

タル・ベーラの『ニーチェの馬』を見たのち,20数年ぶりにこの一節を読むと,「ニーチェの馬」のエピソードがなぜ現代人にとって重要なのか,ということがわかってくる(単なる深読みの可能性もあるが)。

そして,「発狂」と「滅亡」というキーワードは,小生の頭の中で,また別の偉大な映画を呼び覚ましつつある。そう,タルコフスキーの『サクリファイス』である。

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2012.11.22

政治にフェアプレイ精神を

内田樹センセが,第三極で発生している離合集散劇を見ながら,政治家たちの幼児退行現象,とくに某政治家の中学生的ないじめ体質に対して見事な批判を加えている:
内田樹の研究室: 幼児化する政治とフェアプレイ精神

幼児化・いじめ体質の対極に挙げられているのが,費用対効果の高い統治技術である「フェアプレイ」である。

内田樹はフェアプレイ精神の例としてジョン・ル・カレの最新作『われらが背きしもの』の一シーンを引用しているが,小生はある本に描かれた一つの章を思い出した。

われらが背きし者われらが背きし者
ジョン・ル・カレ 上岡 伸雄

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その「ある本」とは若き日に英国のパブリックスクールで紳士としての教育を受けた日本人・池田潔による本「自由と規律―イギリスの学校生活」(岩波新書)である。

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)
池田 潔

岩波書店 1963-06
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この本には「スポーツマンシップということ」という章がある。

あるカレッジのクリケット選手が,在学中に20回のセンチュリーを達成するという偉業に挑んでいた。センチュリーとは一人で一試合に100点(ラン)以上を取ることである。サッカーのハットトリックとどっちが難しいかはわからない。それはともかく,その選手(打者)は20回目のセンチュリー達成がかかった試合に臨んでいた。

クリケットの試合は打者のいるチームが有利なまま進行した。守備側は投手を交代させるなど手を尽くしたが,その打者を打ち取ることはできなかった。100点(ラン)目に達しようという時,守備側は投手のみを残し,守備を放棄した。あとは観客も攻撃側も守備側も,この日の主役,某打者がセンチュリーを達成するのを見守るだけである。投手が投げた。

「お姫様のように優しい素直な球が,コースのド真中を穏やかに流れて来た。打者はただバットを差出してそれに触れればよい,手許狂ってフライを打上げても,それを捕る敵方はグラウンドにいないのだから。たとい大地に打下ろす槌が外れようと……。

 途端に,何と思ったか,打者は二,三歩左に踏み出すと,およそ球とは三尺も離れた空間に向って,バットをクルリと振りまわした。球はウィケットをパッと倒す。アウトである。打者は右手に帽子をとって軽く一礼すると,パヴィリオンに向かって歩き出した。」(「自由と規律―イギリスの学校生活」163~164ページ)

観客は一瞬呆然としたのち,打者を拍手で迎えた。老人たちは「馬鹿な奴で」「ああいう馬鹿もののいる中は,まだまだわが帝国も……」「如何にも」と涙を浮かべながら打者をたたえた。


  ◆   ◆   ◆


かつての英国では(今でも残っていると思うが),スポーツマンシップが重視された。これは先の「フェアプレイ精神」と同じものである。

自由と規律―イギリスの学校生活」の一節を再び引用する:

「さてスポーツマンシップとは,彼我の立場を比べて,何らかの事情によって得た,不当に有利な立場を利用して勝負することを拒否する精神,すなわち対等の条件でのみ勝負に臨む心掛をいうのであろう。

<中略>

無論,対象が人間とは限らない。イギリス人の愛好する狐狩では,必ず狐に逃げ切る可能性のあることを前提条件としている。相手にもそのやり方によっては勝つ可能性があり味方と対等の立場にあって初めてスポーツは成立するのである。この逃げ切る可能性をスポーティング・チャンスと呼ぶが,この語が彼等の日常生活のあらゆる面に融け込んでいる事実が,彼等のこの点についての深い関心を示している。」(168~169ページ)


政治はスポーツではない,という考えもある。「政治は数」という論もある。しかし,政治集団同士が互いに他を罵倒し,揚げ足を取り,貶めるような議論を展開する状況は見聞きしていて気持ちの良いものではない。

「われわれ国民は,われわれのレベルに応じた政治家しか持つことができない」という話を聞いたことがある。「政治にフェアプレイ精神を」という表題を掲げたが,われわれ自身が幼児化を脱し,フェアプレイ精神ないしスポーツマンシップで政治に参加しなければ,優れた統治能力を持つ政治家を得ることはできない。

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2012.11.21

コンゴがえらいことになっとる

コンゴ民主共和国(旧ザイール。コンゴ共和国とは別)では今年の4月以降,東部地域で国軍と反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」が戦闘を繰り広げているわけである。

Democratic_republic_of_the_congo

そして11月20日,東部最大都市のゴマがM23側の手に落ちたとの報道があった:

"Congo rebels take Goma with little resistance and to little cheer" (Pete Jones in Goma and David Smith in Johannesburg, guardian.co.uk, Tuesday 20 November 2012 20.03 GMT)

M23のバックには隣国ルワンダがついており,ルワンダが暗視ゴーグルや120mm迫撃砲などの最新兵器をM23に供給していると伝えられている。だが,ルワンダ政府はこれを否定している。

ガーディアン紙によるとルワンダの外相は「今回のゴマ陥落が示しているのは,武力による紛争解決は失敗に終わっていること,そして政治的な対話だけが紛争を解決できるということだ」と語っている……が,この発言の真意は「政府軍は戦闘をやめ,M23の利権を認めよ」ということだろう。

コンゴ東部はレアメタルの宝庫で,M23というのはその利権を持つ軍閥の一つである。M23の指導者はツチ族で,ルワンダの政権を掌握しているのもツチ族。M23によって収奪されたレアメタル等の鉱物資源はルワンダを通して輸出されている。その辺の話は「アフリカの星 Etoile d'Afrique」等で紹介されているので,適宜検索をかけていただきたい。


コンゴ,レアメタルと言われて思い出すのが,「BS世界のドキュメンタリー: 血塗られた携帯電話」という番組。今年の3月と9月に二度見た。

某ノキアの携帯電話のコンデンサにはタンタルが入っており,そのタンタルはコンゴ産の原石コルタンから得られている。そして,コンゴ東部に根を張る軍閥というか武装集団が人々を強制労働に駆り出し,コルタンを採掘させているという話。その辺のあらすじと感想は「おゆみ野四季の道 新:(24.3.10) BS世界のドキュメンタリー 血塗られた携帯電話 タンタルの争奪戦」というブログに出ているから参照されたい。その時の武装集団がM23だったかどうかは覚えていない。

地下資源が豊富なために,豊かになるどころか荒廃していくアフリカ諸国。そういえば,ナイジェリアなんかも石油が出るために治安が悪化している,というのを思い出した。

下の本は,国連難民高等弁務官のスタッフだった著者がコンゴ紛争の現状を語った本。

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2012.11.16

内憂・外患二題「衆議院解散と習近平政権発足」

衆議院解散の話と中国の習近平政権発足の話について短く述べておく。


【衆議院解散】小泉郵政解散の縮小再生産

2012年11月14日,安倍総裁との党首討論の中で,野田総理大臣が16日の衆議院解散を発言した(参照:NHK解説委員室)。

おそらくは次の政権を担うであろう安倍ちゃんに定数削減などの問題解決を委ねた(丸投げとも言う)うえでの首相の解散宣言なので,野田首相の敵は実は自民党ではない。解散を渋る民主党主流が敵である。

首相の反乱ってどっかで見たな,と思ったら,小泉郵政解散がそれだった。

もちろん,細かいところは違う。コイズミはこれで古い自民党をぶっ潰し,選挙で圧勝した。野田首相はこれまでの民主党をぶっ潰すことになるのだろうが,選挙で勝利を収める可能性は低いだろう。民主党は現在の水ぶくれの状態から随分とスリムな体になり,おそらくは岡田副総理が代表だったころの民主党の姿に戻るのではなかろうか?

いわゆる第三局の混乱ぶりを見ると,準備の整った自民党が有利に選挙戦を進めていくことだろう。あとは小沢先生や,民主党の希望の星:細野豪志がどう動くかというのが興味深いところである。

あとひと月あるので,何が起きるかわかりませんがね。予想もはずれるでしょうし。


【習近平政権発足】上海幇の勝ち?

毎日新聞社説がうまくまとめている:
社説:習近平政権 長老支配に戻った中国

うちは,この間まで毎日新聞をとっていて,先月から朝日新聞に切り替えたのだが,やっぱり海外の報道と日曜日の読書欄は毎日の方がレベルが高い。残念。

産経新聞の報道では「太子党・団派(共産党青年団派)・上海幇(上海閥)のトロイカ体制」と言っているが,上の毎日新聞社説を読めば,江沢民・前国家主席が率いる上海幇が党政治局常務委員7名の大半を占め,事実上,江沢民らが主導する態勢となったことがわかる。また,胡錦濤が党中央軍事委員会主席から退き,影響力を失うことで,トウ小平から続く「日中互恵」路線が弱まるということになった。

次の日本の政権は安倍ちゃんが担うことになると思うが(本人はもう総理気分である),早速,習近平政権と対決するという難題に直面することだろう。選挙期間中に尖閣上陸作戦なんか発生しないことを祈る。

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2012.11.15

内田康夫『萩殺人事件』読了

約二週間前に,内田康夫『汚れちまった道』(祥伝社)を読み終わったが,今度はその姉妹編である『萩殺人事件』(光文社)を読み終わった。

『汚れちまった道』ではご存じ名探偵の浅見光彦が主人公であるのに対し,『萩殺人事件』ではその友人,好燦社(こうさんしゃ)の編集者,松田将明(まつだ・まさあき)が主人公である。

松田(33歳)は編集長の紹介で,宇部に住む八木康子(やぎ・やすこ,32歳)という女性と見合いをすることになる。見合いついでに観光旅行を,ということで,松田は島根県の萩・石見空港から萩を経由して宇部に向かうことにする。萩の反射炉の付近でネックレスを拾い,持ち主に郵送したことから,松田は事件に巻き込まれる。

羽田からまっすぐ山口宇部空港に向かえばよいものを,遠回りするからこんなことになるわけである。

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松田が巻き込まれる事件というのは元美祢市議の生島一憲(いくしま・かずのり)が殺害されたという事件である。松田が親切心でネックレスを送り届けた相手が生島だったため,松田は重要参考人となってしまう。

松田が元美祢市議殺人事件に巻き込まれている頃,浅見は失踪した山口毎朝新聞記者・奥田伸二の行方を追っていた。そのことが描かれているのが姉妹篇の『汚れちまった道』である。

両事件は表面上関係がないが,根底では交錯している。成松利香(なりまつ・りか)や山口毎朝新聞主筆の岡山という人物が両者の接点になるのだが,ネタバレになるので,これ以上は書かない。


  ◆   ◆   ◆


『汚れちまった道』と『萩殺人事件』とを比べてみて思うのは,前者は,頭脳明晰で生真面目な浅見が主人公となっているため,社会派の,割と硬い語り口のミステリーとなっているのに対し,後者は,見合い相手の魅力に魅かれ,そのことばかり考えている松田が主人公となっているため,とぼけた語り口のミステリーとなっているという違いである。

あと,松田の見合い相手である八木康子が宇部市岬町在住ということもあって,事件現場ではないのにもかかわらず,宇部が舞台となる場面が非常に多いというのも面白いところである。

松田は八木康子とやたらに宇部新川近辺の割烹「明徳(みょうとく)」に行くのだが,その他にも宇部新川駅の近くの「龍丸(たつまる)」というイタリアンレストランに行っている(298ページ)。

実際には「龍丸」というレストランは無いので,おそらく宇部新川駅付近の居酒屋「虎丸(とらまる)」から名前を採り,他のイタリアンレストランをモデルとした,架空のレストランなのだと思う。

この他にも松田と八木康子は,西岡由姫(にしおか・ゆき)も交えて某イタリアン・レストランで食事をとったりしている(121ページ)。このレストランは名前が出ていないが,ANAホテルからタクシーで5,6分のところだというので,小生などは真面目川沿いにあるフレンチの「ノエル」がモデルではなかろうかと勝手に想像している。


  ◆   ◆   ◆


松田は見合い相手が宇部の人だということもあって,わりと宇部に好印象を持っている。初めに訪れた時の印象はこんな感じである:

宇部市は宇部興産の「企業城下町」だと聞いた。そのイメージから煤けた工場地帯を想像していたのだが,街は明るく,清潔そうな雰囲気であった。街路のところどころにユーモラスな像が立ち,人々の目を楽しませる。

よほど,街のあちこちに置かれたブロンズ像が印象的だったらしい。帰り際にもこんな風に情景が描かれている:

これでお別れかと思い,あらためて眺めると,宇部の街はなかなか風情がある。とりわけ街角のそこかしこに置かれたブロンズのオブジェには感心する。真っ青な秋空にそびえ立つ宇部興産の大煙突から,白い蒸気がモクモクと昇るのも美しい。

まあ,お見合いがうまくいって,バラ色の心境だからこんな風に見えるのだろう。その頃,浅見は深刻な面持ちで推理を続けているのだが。

本書で一番大事なのは元美祢市議殺人事件の解決だが,本書は山口県の観光案内としての側面も強い。水曜劇場だの,土曜ワイドだの,金曜プレステージだの,テレビでドラマ化されたら面白そうやね。

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2012.11.05

味の素九州事業所を見学してきた件

勤め先の親睦会のバスツアーで,味の素の九州事業所(佐賀市)と鳥栖プレミアム・アウトレット(鳥栖市)に行ってきた。

味の素の九州事業所は味の素グループ最大級,というか世界最大級のアミノ酸工場だという話。

ここで作っているアミノ酸はアスパラギン酸フェニルアラニンアルギニンヒスチジンシスチンリジンの6種類。

アミノ酸の原料は,タピオカやトウモロコシのデンプンである。これを発酵法というやり方でアミノ酸に変換するわけである。

ここの工場は化学プラントのようなものなので,製造ラインは見せてもらえなかったが,味の素(うま味成分)の効果についての体験はさせてもらえた。

たとえば,味噌をお湯に溶いただけだとぼんやりした味だが,味の素を入れるとおいしく変わる…とか,アスパラギン酸は酸っぱく,フェニルアラニンは苦いだけなのだが,この両者を化合させるとパルスイートという砂糖の200倍の甘さの甘味料ができる…とか。

ショールームで味の素の製品を見せてもらったが,調味料から医薬品から冷凍食品までありとあらゆるものがある。大したもんです。

Dsc_1430

味の素とハイミーの違いについてもガイドさんに教えてもらった。味の素は昆布出汁に含まれる味だが,ハイミーは鰹節などほかの出汁に含まれる味が加わっているとの話。つまり,味の素よりも複雑な高いレベル(ハイ)の味(ミー)なので,ハイミーというのだそうだ。

工場見学の帰りには味の素の製品をお土産にもらったわけである。下の写真はその一部,アジパンダの瓶(6g)に入った味の素やラクチュア・ブランドの化粧水・乳液など。

Dsc_1432

この他にもパルスイートのガムシロップやピュアセレクトももらったので大満足。


ちなみに,アジパンダの瓶はストラップになって売られているということを家に帰ってから知った。

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2012.11.03

内田康夫『汚れちまった道』読了。次は『萩殺人事件』

「すべてが私の汚れちまった道から始まったんじゃ」(本書373ページ)

内田康夫『汚れちまった道』(祥伝社)のタイトルはある人物のセリフに由来する。だが,ネタバレになるのでここでは誰のセリフなのかは明かさない。

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内田康夫

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内田康夫『汚れちまった道』(祥伝社)は面白かった。宇部の住人としては知っている場所の描写が楽しめる。

例えば:

「ホテルから十分足らず,飲食店の多い街まで歩いた。東京の赤坂や六本木などと較べると,まるで灯の消えたような寂しい街だが,これでも宇部では賑やかなほうらしい」(191ページ)

これは宇部新川近辺の割烹「明徳(みょうとく)」に浅見光彦が向かう途中の様子。まあ,たしかにさびしい感じの飲食店街ではある。だが,明徳に関しては褒めている。

また,こんなのもある:

「宇部ICで下りて,琴崎八幡宮を過ぎて間もなく沼という交差点を左折。その後も左折右折を繰り返すわかりにくい場所だったが…」(318ページ)

これは浅見光彦と松田が,生島の息子に会うためにときわ公園の西側にあるS住宅団地に向かう途中の様子。沼交差点を左折する,ということは常盤台を上っているということになる。ときわ公園の西側にあるS住宅団地と言えば,猿田住宅かな?と思うが,割と新しい団地の情景なので,「あすとぴあ」をモデルにした団地かもしれない。

というわけで地元民ならではの楽しみ方がある。宮脇書店でも本書を積んだ棚に「まるで身近で起きているような事件」と書かれていたが,まさにその通り。


  ◆   ◆   ◆


ネタバレにならない程度に,そして自分用に登場人物一覧を挙げておく。他にも登場人物がいるが,事件の核心に触れてしまうので,そのあたりは省略している。

主人公たち


  • 浅見光彦(あさみ・みつひこ):ご存知名探偵。ルポライター。雑誌「旅と歴史」中原中也特集取材と奥田伸二捜索のため山口県を訪問

  • 松田将明(まつだ・まさあき):浅見光彦の大学時代の親友。好燦社の編集者。見合いのため山口県を訪問

山口の人々


  • 奥田伸二(おくだ・しんじ):山口毎朝新聞記者。萩支局勤務。「ポロリ,ポロリと死んでゆく」という言葉を残して失踪

  • 奥田こずえ:奥田伸二の妻。防府市在住

  • 北林一夫(きたばやし・かずお):山口毎朝新聞・防府支局長

  • 原麻利香(はら・まりか):山口毎朝新聞・防府支局勤務。中原中也同好会メンバー

  • 生島一憲(いくしま・かずのり):元美祢市議。事務用品販売「生光商会」社長

  • 成松利香(なりまつ・りか):中原中也同好会幹事。山口市在住。愛車は赤いアルファロメオ

  • 岡山:山口毎朝新聞主筆。奥田を山口毎朝新聞にスカウトした。病気のため山口市の自宅で休養中

  • 津幡(つばた):仙崎港の水先案内人。元客船の船長。下関市豊北町島戸在住

  • 山田:「萩往還ピクソン」主催者。元は福岡のタクシー運転手。現在,宇部興産のダブルストレーラーの運転手

  • 西岡由姫(にしおか・ゆき):萩焼のジュエリー作家。萩市在住

  • 八木康子(やぎ・やすこ):松田の見合い相手。宇部市在住

  • 國田堅吉(くにだ・けんきち):好燦社『未来21』の元編集長。坂本と名乗る

<故人>


  • 竹澤郁(たけざわ・いく):防府市職員。原麻利香の高校の同級生。中原中也同好会メンバー。四年前に佐波川(さばがわ)の土手で事故死

  • 子安一也(こやす・かずや):防府市職員。中原中也同好会メンバー。四年前に来目皇子(くめのみこ)の古墳にて自殺

<名前だけ登場>


  • 高須俊朗(たかす・としろう):故人。高陽化成工業会長

  • 笹川信之(ささがわ・のぶゆき):県会議員。竹澤の就職を世話


  ◆   ◆   ◆


そして今は『汚れちまった道』読破の勢いに乗って,『萩殺人事件』を読んでいるところである。『汚れちまった道』は奥田伸二失踪の謎が中心だが,『萩殺人事件』は元美祢市議殺害の謎が中心である。両者が絡まって複雑な様相を呈している。それが面白い。

萩殺人事件萩殺人事件
内田康夫

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