こうの史代『ぼおるぺん古事記』を読む
今年は古事記誕生1300年の年である。そのため,古事記に関する書籍が多数出版されている。
数多くの古事記関連書籍の中で,最高傑作ともいえるのは,こうの史代『ぼおるぺん古事記』(平凡社)ではないかと思う。
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ボールペンで丁寧に書き込まれた漫画。
漫画だが,古事記本文を忠実に正確に描き出している作品である。
古代にこんなキャラいるかよ,という服装の神々も登場する(オオゲツヒメが割烹着を着ていたり,オオコトオシヲがモーニングを着ていたりする)が,それぞれちゃんと役割に応じた服装なので,理屈は通っている。
アマテラスの顔が真ん丸だったり,ツクヨミの顔が三日月形だったりするのも極端な表現かもしれないが,日月を司るという役割をすぐに思い出させてくれ,便利なインデックスの役割をしている。
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古事記をやさしく書き直した本や解説本では,古事記の文章を一部カットしていることが多いが,本書はほぼ完璧に原文通りに再現している。古事記に造詣が深い人でも忘れてしまうような細かいことも描かれているので,座右に置いても良い。というか置くべきである。
11月には3巻目が出るので,待ち遠しい。
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