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2012.08.29

【中韓挟撃?】竹島と尖閣諸島は同じスキームで対処するべきか?【尖閣の場合】

8月中旬以来,領土問題が大きくクローズアップされている。

中国と韓国が日本を挟撃しているかのような印象である。呼吸を合わせているんじゃないかと。

日本としてはどちらに対しても領土保持の主張を曲げず対処するべきなのだが,竹島問題と尖閣諸島問題では問題の背景がだいぶ違う。

端的に言うと,尖閣諸島問題はコントロールされた問題,竹島問題はコントロールされていない問題といえる。

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ここでは尖閣の場合を取り上げる。

尖閣諸島問題は中国国内の権力闘争の延長である(と小生は確信している)。

以前「【尖閣諸島問題】「中国人船長釈放」は日本の外交史上稀に見る悪手?!」(2010年9月25日)という記事でも触れたが,中国の指導部の中では党派抗争が常に起こっている。そして,尖閣諸島問題はその党派抗争の一つの道具というわけである。

党派抗争は極めて複雑で,簡単に党派を分けられないが,話を簡単にするために現政権をA派とし,これに対抗する勢力をB派としよう。すると問題の構図はこんな感じになる:

  • A派が対日融和を方針とし,尖閣諸島領有権をとりあえず棚上げしたとする
  • B派はA派を「弱腰」と非難する
  • A派はB派の攻撃をかわすため,いわゆる愛国運動家の尖閣諸島上陸を黙認する
  • A派はその一方でこの問題の鎮静化を図り,自国民や日本政府に対するシグナルを送る

最後に述べた「自国民」向けのシグナルというのは,例えば反日デモみたいなものはみっともないからやめて自制せよ,という新聞記事を出すことである。

日本政府に対するシグナルとしては時事通信が報道しているような「対日3条件」がある。この対日3条件,日本の主権を脅かしているような文面に見えるが,結局,現状維持の方針であって,日本の実効支配を認めるものである。


  ◆   ◆   ◆


つい先日,「丹羽大使襲撃事件」という外交上の大事件が発生したが,これを以て,「中国は日本の主権を脅かそうとしている」と解釈するのは早計である。

この事件,中国政府の統治能力の無さを露呈し,メンツを丸つぶれにしてしまう事件である。中国政府が速やかに謝罪し,また,胡錦濤主席の外交政策の指南役でもある唐家セン・前国務委員が謝罪したことでもわかるように,中国の現政権(上の箇条書きで言うところのA派)は「まずい」と思っている。

A派でないとすれば,まず考えられるのはB派の仕業である。

今回の犯行に使われたベンツやBMW,毎日新聞社説の伝えるところでは「軍・党幹部の子弟」あるいは「黒社会の幹部」が乗るとされる車である。B派がその子弟あるいは黒社会を動かして,現政権(A派)を揺さぶっているのだと考えると構図が見えてくる。


  ◆   ◆   ◆


結局,尖閣諸島問題というのは中国指導部の党派抗争の一環なので,日本としては中国にすり寄る必要もなく,強硬な措置を取る必要もなく,毅然として実効支配を続けていけばいいだけであると考えられる。


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2012.08.24

【中韓国交正常化20周年】旧宗主国のもとへ

日韓衝突,盛り上がってまいりました。

いろいろな論者がいろいろなことを言っているが,BLOGOSのこの記事はよかった:

友好強要した日本は韓国に謝罪を」(宮島理,2012年08月23日)

韓国は日本のコト大嫌いなのに,日本の方から韓国に「友好」を強要してゴメンね! という話。

「本当に韓国のことを思うなら、韓国の気持ちになって考えてみるべきだ。死ぬほど大嫌いな相手(日本)に対して、別に仲良くなる気などなく、不満をひたすらぶつけているだけなのに、なぜか相手からは一方的に仲良くしようと擦り寄ってこられる。 <中略> どう転んでも好きになるはずもない相手から友好を強要されるなんて、さぞ不快だったことだろう。」(同記事より)

本当に今まで,韓国に悪いこと(日韓友好の強要)をしてきたなぁと小生も反省・落涙(ウソ)した。


日本は今後どうするのか,という話は難しいのでいったん保留して,韓国は今後どこに行くのかということを考えてみたい。答えは簡単で,旧宗主国のもとに行くのである。

朝鮮日報も毎日新聞も同じような記事を書いているのだが,今日(2012年8月24日)は,中韓国交正常化20周年の記念日であり,この20年間で韓国にとっての中国の存在がますます大きくなっていることが述べられている。

実際,韓国にとって中国は最大の貿易相手国である。下の2つの表はJETROからとってきたデータ(元データは韓国貿易協会データベース(KOTIS))を再編集したもので,輸出入の相手国と金額およびシェアを示している。


2010年の韓国の国別輸出額↓


輸出額[百万米ドル]シェア[%]
中国116,83825.1
アメリカ49,81610.7
日本28,1766.0
その他271,55458.2
合計466,384100.0


2010年の韓国の国別輸入額↓


輸入額[百万米ドル]シェア[%]
中国71,57416.8
日本64,29615.1
アメリカ40,4039.5
その他248,93958.6
合計425,212100.0


輸出入ともに中国が1位で圧倒的である。とくに輸出に関しては日米合計額よりも中国の額の方が大きい。

韓国の2010年の名目GDPは1014890百万米ドルだから,対中輸出はGDP比11パーセント強もの大きさがある。韓国にとって大事な国はアメリカでも日本でもなく,旧宗主国,中国である。


2012年8月16日の毎日新聞の記事「尖閣と竹島 政府を挟撃」では,韓国の親中シフトが鮮明になったことが書かれている。韓国では与野党ともに対中関係を重視しており,次の大統領が誰になろうとも中国寄りの姿勢になるという話だ。

これは感情論ではなく,上に示したデータを見れば,もはや決定的な話であることがわかる。


「ハイテク素材など,重要な工業製品を日本に頼っているため,やむを得ず日本と付き合っているが,基本的には日本のことは嫌い」というのが韓国の大方の心情であり,さらに言えば中国のことしか考えたくない,という段階にまで心情がシフトしているのだろうと思う。

そのことを踏まえて,冷徹に(友好のためなどというお題目抜きで)外交・防衛・経済上の付き合いをしていくというのが今後の日韓関係ということになるだろう。

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2012.08.23

「ネタニヤフとオバマはイスラエルを成果の得られない消耗戦に導こうとしている」とイスラエル紙

最近,イスラエルによるイランへの単独攻撃の可能性が取りざたされている。

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イランの核施設への攻撃の話は2年前にもあった:「風雲急を告げる中東情勢」(2010年8月20日)とか「【中東情勢】シュタイニッツ財務大臣(イスラエル)、米国に対イラン最後通告を要請」(2010年8月20日)

結局このときはイランへの攻撃は無かった。

しかし,イスラエルは何もしなかったわけではないようである。2010年9月にはイランの核燃料施設のウラン濃縮用遠心分離機が新型コンピュータウィルス「スタックスネット」によって稼働不能に陥るという事件が発生している。どうも,この時,イスラエルは物理戦からサイバー戦に切り替えて攻撃をしていたようである。

しかし,イランの核開発は進展。2012年2月には,イラン国営放送が国産の核燃料棒の開発に成功したと報じた。

で,この夏,再びイラン攻撃の可能性が高まってきたわけである。


  ◆   ◆   ◆


イスラエルではイラン攻撃を支持するか反対するか,国論を二分する議論が沸き起こっている。

しかし,これは「イスラエル単独で」攻撃するかしないかの議論であって,「アメリカと共同で」攻撃するということになれば,両派とも賛成・議論終了ということになる。つまりアメリカあってのイスラエル。

イスラエルの大手新聞イェディオト・アハロノト(Yedioth Ahronoth)に掲載された,Sever Plockerによるオピニオン記事では,ネタニヤフ首相とオバマ大統領の間で信頼関係が構築されていないことが批判されている:

Third alternative to Iran crisis: Op-ed: Netanyahu, Barak may lead Israel to lengthy war of attrition that will not prevent nuclear Iran (Sever Plocker, 2012年8月22日)

このオピニオン記事は次のように述べている(適当に要約):

「イラン攻撃支持派は,イランが二度とイスラエルに立ち向かうことができないぐらい徹底的に作戦を実施するべきだと考えている(その作戦は4週間程度になるだろう)。だが,それがうまくいかなかったら? そのときはイスラエルはイランの核兵器開発能力を破壊するまで数十年間の戦争を続けなくてはならなくなるだろう。

反対派は,政権崩壊,経済崩壊,サイバー戦による電子機器の故障,アメリカの圧力などがイランの核開発の妨げになると考えている。しかし,結局,イランが核兵器を開発してしまったら? イランとの長期の戦いを避けようと思ったら,核を保有するイランと共存せざるを得ないだろう。

この究極の選択を迫られている中,3つ目の選択肢が現れてきている。それはネタニヤフ首相とオバマ大統領が互いを信頼していないことに由来するもので,

「イランの核開発を止めることができないまま長い消耗戦に陥り,イスラエルのイランに対する防衛力を損ないつつ,イスラエルとアメリカの同盟関係にひびを入れる」

という選択肢である。

イスラエルによる単独攻撃を止めるためには,(前軍情報部長のAmos Yadlinが提案したように)もはやオバマ大統領にイスラエル国会(クネセト)に直接来てもらって,アメリカもイランの核開発を食い止めるために積極的に関与することを表明してもらわないとだめな段階に来ている。

だが,もしオバマ大統領の演説と引き換えに,イラン攻撃をやめることにすれば,イスラエルは,その運命を他国に握られた弱く従順な国とみなされてしまうことだろう。

イスラエルをこんな状況に陥れてくれたネタニヤフ首相とオバマ大統領に感謝を。」

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2012.08.22

日韓関係とフランス・アルジェリア関係はよく似ているという話

先週,カンボジアから日本に帰ってきたのだが,日韓関係がえらいことになっていた。

もちろん,日中関係もえらい騒動に見える。だが,尖閣諸島の場合,日本が実効支配している以上,騒動になっても,特に状況が変化することはないだろう。

この問題,政権交代期の中国内部での権力闘争の一環としての面が強く,中国の新指導体制が固まれば,沈静化するだろうと思う。

これに対し,日韓関係。李明博大統領の言動はかなり常軌を逸したもので,それを支持する人々の動きも含めて,どうかしちゃったのかと思うような状況である。

こちらも政権交代が絡んでいるが,尖閣諸島問題に比べると,思慮の浅さを感じる。

日本は同じ土俵に乗らないように気を付けながら,同時に冷静にあらゆる対抗手段を打つべきだろうと思う。


さて,2012年8月20日付の毎日新聞に興味深い記事が出ていた:

「仏アルジェリア関係と日韓関係の類似性」(アルノー・ナンタ,2012年8月20日,毎日新聞)

Francealjazair

アルノー・ナンタ(Arnaud Nanta)氏はフランス国立科学研究センターの准教授。

この記事では日韓関係とフランス・アルジェリア関係の類似点が指摘されている:

  • 独立前のアルジェリアはフランスの一部とされていた
  • アルジェリアはフランスの過去の罪を忘れていないのに対し,フランスは謝罪していない
  • アルジェリアとフランスの緊張関係は今も継続中

戦前の韓国(朝鮮)は日本の一部とされていた点(「植民地」ではないという扱い。もちろん異論あり)や,日本統治に関する日韓両国の認識の違いなど,フランス・アルジェリア関係によく似ている。

細部を検討すると,アルジェリア人が兵役でフランス兵となっていたのに対し,朝鮮人は志願者のみが日本兵となっていた点(徴兵制は大戦末期の1944年から開始)など違うところもあるが,基本的に似ている。

あと,この記事に書いてないが,フランスにはアルジェリアからの移民が大勢いて(ジダンはアルジェリア移民二世),日本には韓国(朝鮮)からの移民が大勢いる,ということも類似点として指摘できるだろう。

こうした類似性が見られるところから,フランスのアルジェリアへの対応の仕方を研究すれば,日本の韓国への対応の仕方のヒントが得られるかもしれない。

ただ,気をつけなくてはいけないのは,それぞれの二か国間の国力差かと思う。

2011年のGDP(世界銀行)で比較すると韓国は1.12兆USドルで,日本は5.87兆USドル,その差5.2倍。

アルジェリアのGDPは1900億USドルであるのに対し,フランスのGDPは2.77兆USドルで,その差14.6倍。

今,韓国が随分と日本に対する攻勢を強めている背景には,国力の差が縮小しているということがあると思う。フランスは現時点ではアルジェリアに対し圧倒的に強い立場にあり,必ずしも有効なヒントを得られるわけではないかもしれない。ほかに参考になる国はないものか?


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2012.08.12

カンダール州まで豚を見に行った件

なんかよくわからないのだが,通訳兼ガイドの人が「豚を見に行く」と言ったので同行することになった。

「豚を見に行く」と言ったのか「豚を買いに行く」と言ったのか,その辺がよくわからない。

どこへ行くのかわからないまま,車に乗せられ,フェリー(はしけ)でメコン川を渡ることに。

Mekong201208121
↑フェリーに乗る前

Mekong201208122
↑いよいよ出航

Mekong201208123
↑渡河中

渡ったあと,カンダール州(たぶん)の農村に行き,養豚農家に到着

Mekong201208124

Mekong201208125

そして豚小屋に案内された。

Mekong201208126

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Mekong201208128

ここにいるのは全部メスで,来月,繁殖のためにオス豚を持ってくるとかなんとか説明を受けたのち,帰路に就いた。

何のためにブーちゃんを見に行ったのか意味不明のまま,プノンペンに戻ってきた次第。

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今年は干ばつ気味のカンボジア

プノンペン二日目。

写真はカンボジアーナの前を流れるメコン川である。
すぐ上流にメコン川とサップ側の合流点がある。

Mekong20120812

この流れを見ていると,大変な水量なのだが,実は今年の夏は去年と違って,カンボジア全土で雨が全然降っていないということである。

シェムリ・アップとかではちょっと降ったという話だが,全国的には干ばつ気味。農作物が枯れてきたとか,ゴムの木を植えられないとか,いろいろ困った問題が発生しているという。

直接の関連はないと思うが,米国も大干ばつのようだし,世界的に農作物が不足しそうな気配である。

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2012.08.11

プノンペンが小奇麗になってきた

現在,プノンペンにおります。

Phnompenh201208111

毎年毎年,プノンペンもきれいになってきて,あと,人々の顔にも殺気がなくなってきた。トゥクトゥクもしつこくなくなってきたし。

Phnompenh201208112

車もピッカピカである。

東南アジアの人たちはわりと見栄を張るので,車に乗るんだったらいいものを,服を着るんだったらいいものを,と外観には金をかける。

全体の生活水準は日本の方が上の筈だが,軽自動車に乗り,激安の外食を求め,安い中国製の服を着るようになっている日本の風潮を見ると,近い将来に逆転が起きそうな気がする。

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2012.08.09

明日からカンボジア

忘れかけていたけれど,明日からカンボジア出張だった。

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某プロジェクトの某専門家としてプノンペンでじーっとしている予定。

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2012.08.06

「山口七夕ちょうちんまつり」に行ってきた

日曜日にYCAMでラース・フォン・トリアーの『メランコリア』を見てきたわけだが,ちょうど山口市の中心街では「山口七夕ちょうちんまつり」を開催していたので,YCAMからてくてく800メートルほど歩いて見物に行ってきた。

Yamaguchichouchin05

この祭りは室町時代にこの辺りを治めていた大内盛見(おおうち・もりはる)が父母の冥福を祈るために竹笹の上に高燈籠を灯したのが始まりである・・・と公式リーフレットに書かれているが,高燈籠って笹につるせるようなモノではなかろう,と疑問に思う。

Yamaguchichouchin04

それはともかく,6時ごろから道門(商店街)のそれぞれの店先で竹笹につるした提灯のろうそくに火を灯し始め,周囲が暗くなってくるに従って,提灯の明かりが一層鮮やかになるのを見ていると,心が躍ってくる。規模も派手さも違うが,長崎のランタンフェスティバルを思い出す。

商店街からパークロードを北上し県庁の方角に進むと,山口市役所の近くに巨大な「すだれちょうちん」が掲げられていた。

Yamaguchichouchin01

写真だと分かりにくいかもしれないが,「山口」の二文字が見られる。

Yamaguchichouchin02

これはろうそくではなく,電子制御の電球で光っているらしく,周期的に赤い提灯が消えて,

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こんな風に「山口」の字が浮かび上がって面白かった。

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2012.08.05

ラース・フォン・トリアー『メランコリア』を見てきた件

なんか,4週連続でツマと一緒にYCAMで映画鑑賞をしている。

今回はラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』(2011年)。主演はキルステン・ダンストとシャルロット・ゲーンズブール。

Melancholia02
(c)2011 Zentropa Entertainments ApS27

あらすじであるが,まず,YCAM発行のガイド誌の短い紹介文を引用してみる:

森の中にある豪華な邸宅で開かれるジャスティンの結婚パーティー。しかし,彼女は幸せの絶頂であるにも関わらず,何故か虚しさにとらわれ,感情をコントロールできないでいた。(YCAMシネマ Vol.75より)

これだけを読むと,結婚を機に起こる,華麗な一族のサスペンス劇かと思うわけだが,全然違う

というわけで小生なりのあらすじを書いてみる:

豪華でありながらどこか不穏な空気の漂う結婚式。主役でありながら奇行に走り,式を台無しにする花嫁ジャスティン(キルステン・ダンスト)。彼女が見上げた空には何やら異変が起こり始めていた。青く輝く巨大惑星「メランコリア」が地球へと迫りつつあった…。

Melancholia01
(c)2011 Zentropa Entertainments ApS27

というわけで,おおざっぱに言えば,天体衝突モノの映画である。だが,ハリウッド映画『ディープ・インパクト』のように知恵と勇気でどうにかなるような話ではない。『24』のキーファー・サザーランドが出演しているが,『アルマゲドン』のブルース・ウィリスの如く,危機から地球を救ったりはしない。


物語は,精神がどうかしちゃったジャスティン(キルステン・ダンスト)とその姉クレア(シャルロット・ゲーンズブール)を中心に展開する。

ジャスティンは結婚式をぶち壊した後,精神を病んでいたのだが,「メランコリア」が地球に近づくに従って,精神の安定を取り戻し始める。一方,ジャスティンの世話をしていたクレアの方が徐々に恐怖にとらわれ始める。

この映画,何よりも素晴らしいのが映像である。とくに冒頭の8分間。甘美なワグナーの『トリスタンとイゾルデ』が流れる中,本編のダイジェストともいうべき映像が展開される。夜空に黄色い月と青い「メランコリア」が浮かび,これら二つの天体に照らされて二つの影ができるシーンには息をのむ。花嫁姿で水に浸かるジャスティンの姿はジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」を想起させる。


キルステン・ダンストとシャルロット・ゲーンズブールが見せる感情の動き,そして映像とワグナーの音楽の絶妙なコンビネーション。とにかく筆舌に尽くしがたい名作なので,読者諸氏にはぜひ,一見していただきたい映画である。

第64回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞(キルステン・ダンスト),第24回ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞・撮影賞・美術賞受賞。


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2012.08.02

名刺交換とかいう新型の不動産投資勧誘

久々に東京に出て,旧友・拾伍谷氏と飲もうという話になった。

待ち合わせのため,新橋駅前SL広場というベタな場所でボーっと立っていたところ,ネームカードをぶら下げたお姉さんがやってきて,「新人研修で名刺交換をお願いしております」とかのたまわった。

アオヤマなんとかという会社の人らしい。「新潟から出てきたばかりのペーペーなんで,よろしくお願いします」と,新人にしちゃ立て板に水の能弁っぷり。

「弁が立つ人には要注意」ということわざ(そんなの無い)に従って,丁重にお断りし,その場を去ったわけである。


で,気になるのでgoogle先生で検索したところ,これ,不動産投資勧誘活動の一環として有名なテクニックだったんですね:

新橋駅前で名刺交換してくれと頼まれました・・・」(かなめ行政書士事務所,2012年6月19日)

新人研修中と言うので路上で名刺交換に応じたら、その後しつこくマンションの勧誘を受けた」(国民生活センター)


これまでは,名簿屋から買った名簿に頼って電話攻勢をかけてきた不動産投資業界(参考)も,個人情報保護法の浸透に対応し,自ら個人情報を収集するという積極性を見せるようになってきたわけである。企業は進化を続けるわけですね。

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2012.08.01

Rのデータ操作入門(1):モード,リスト

Rを使いこなすためには,Rによるデータ操作法を学ぶことが最も重要である。

1. モード

データには数値(numeric),文字(character),論理値(logical),リスト(list, 後述)のようなモードがある。

あるオブジェクトxに,あるデータ(データ自体,オブジェクトなのであるが…)の集合を保存する場合,もっとも頻繁に使われるのがc関数である。c関数はベクトルの形でデータをオブジェクトに保存する。

たとえば,1, 2, 3, 4という数値データをxというオブジェクトに保存する場合,Rでは


> x = c(1, 2, 3, 4)

と命令する。

このとき,xに保存されたデータのモードを確かめるためにはmode関数を使用する。


> mode(x)
[1] "numeric"

このようにxの要素のモードは数値であることがわかる。

様々なモードのデータをc関数によって一つのオブジェクトに保存した場合,保存された要素のモードが統一される。例えば,


> y = c(1, 2, "cat", 4)

と命令した場合,yには数値データと文字データが混在したまま入力されるわけだが,mode関数でyに保存されたデータのモードを確かめると,


> mode(y)
[1] "character"

となり,すべての要素が文字に変換されたことが示される。実際,


> y
[1] "1" "2" "cat" "4"

となって,数値データが文字データになっていることがわかる。

c関数によって文字データと数値データをあるオブジェクトに保存した場合,そのオブジェクトの要素のモードは文字"character"となる。

c関数によって数値データと論理値データをあるオブジェクトに保存した場合,そのオブジェクトの要素のモードは数値"numeric"となる。

では,文字データと論理値データをあるオブジェクトに保存した場合はどうなるか?


> z = c("dog", "cat", TRUE)
> z
[1] "dog"  "cat"  "TRUE"
> mode(z)
[1] "character"

すなわち,オブジェクトの要素のモードは文字"character"となる。


2. ベクトル要素への名前付け

1.で例示したオブジェクトx, y, zはいずれもベクトルである。ベクトルの各要素にはnames関数によって名前を付けることができる。


> x =  c(1, 2, 3, 4)
> names(x) = c("alpha", "beta", "gamma", "delta")

または


> names(x) = c('alpha', 'beta', 'gamma', 'delta')

とすれば,ベクトルxの第1要素にはalpha,第2要素にはbeta,第3要素にはgamma,第4要素にはdeltaという名前が

つく。すなわち,


> x
alpha  beta gamma delta 
    1     2     3     4


3. リスト

リスト(list)はモードの異なる複数のデータを,それぞれのモードを変更せずに一つのオブジェクトに保存する場合に使う関数である。


> x = list(1, "dog", TRUE)
> x
[[1]]
[1] 1
[[2]]
[1] "dog"
[[3]]
[1] TRUE

リストはそれ自体,ひとつのモードである。


> mode(x)
[1] "list"

すなわち,list関数は,「モードの異なる複数のデータを,それぞれのモードを変更せずに結合する,リストというやり方」でオブジェクトをつくる関数である。


参考文献
P.スペクター著,石田基広・石田和枝訳『Rデータ自由自在(Data Manipulation with R)』(シュプリンガー・ジャパン)

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