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2012.07.26

【震災前後で電力需要と気温の関係はどう変わったのか?】:東電データの分析

震災以来,電力需要が関心を呼んでいる。今後のエネルギー政策に関わる問題だからだ。

本ブログでも過去に2度ほど,東京電力の最大電力需要と気温の関係について検討したことがある。

2004年データでは夏場は最高気温1℃上昇で150万kWの需要増,2009年データでは110万kW増という結果だった。

今回は,経済産業省が公開している「各電力会社管内の電力需給状況:各電力会社管内における対前年度日需要について」のPDF資料をもとに,震災前後で東京電力の夏季・冬季の最大需要がどう変わったのかを検討してみる。

同資料には夏季:2011(平成23)年6月20日~9月22日,冬季:2011(平成23年)12月1日~翌3月31日の電力各社の日最大需要データが,前年度の値とともに示されている。

このデータから土日祝日および震災直後である3月11日以降31日までのデータを外し,東京管区気象台の気温とともにプロットしたのが,以下の図である。


   ◆  ◆  ◆


まず,2010年度および2011年度夏季の比較結果:

20102011maxelectricitysummer

縦軸は日最大需要,横軸は東京管区気象台の日最高気温。青い◆が2010年夏,赤い□が2011年夏のデータである。直線はそれぞれのデータセットに対する回帰直線である。

震災後(赤い□)の方が最大電力需要が低いことが明らかである。最高気温が36℃に達した時,震災前の2010年夏は6000万kWの需要があったのに対し,震災後は5000万kW未満である。節電努力が明確に見られる。

傾きに関しても震災前は最高気温1℃上昇で150万kWの需要増だったのが,震災後は110万kW増という結果になっている。


   ◆  ◆  ◆


つぎに2010年度および2011年度冬季の比較結果:

20102011maxelectricitywinter

青い◆が2010~2011年冬,赤い□が2011~2012年冬のデータである。

ここでは横軸に東京管区気象台の日平均気温をとっている。冬季は最大需要が発生するのは夕刻で,最低気温の時間帯でも最高気温の時間帯でもないので,ここでは便宜的に平均気温を使うことにした。回帰結果はそれほど悪くない。

ここでも震災後(赤い□)の方が最大電力需要が低いことが見て取れるが,夏季ほどではない。傾きは震災後の方が大きく,低温域では震災前後の電力需要の差がほとんどなくなっている。統計的検定を行っていないのではっきり言えないが,震災前後で有意な差が無い可能性もある。

冬季の方が節電が難しいという話を聞く。この結果を見ると,まさにその通りという感じを受ける。

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