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2012.05.22

パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』をどう読むか(2)

パオロ・バチガルピの『ねじまき少女』は,「ねじまき」(人造人間)のエミコと白シャツ隊隊長のカニヤという二人の女性が,他者によって翻弄される運命から自らを解放し,自らの人生を取り戻す物語である,というようにも読むことができる。


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エミコとカニヤとはついに相まみえることがなかったが,それぞれ,歴史を大きく動かす存在となった。

エミコはソムデット・チャオプラヤを殺害することによって,タイの政局を後戻りのできない状況に追い込んだ。カニヤは最後の最後にタイ人としてのアイデンティティに目覚め,カロリー企業の手からタイを守った。


タイの歴史を紐解くと,女性が危機に瀕した国家を救うという場面にしばしば出くわす。そういうことを梅棹忠夫が『東南アジア紀行』に記している。例えば,ビルマ・タウングー王朝のバインナウン王との戦いの中,アユタヤ朝のチャクラパット王を救った王妃シースリヨータイ。また,ヴィエンチャン王チャオ・アヌ(アヌヴォン)の侵攻からコーラートを守ったスラナーリー。

タニヤもまた,これらの女性たちの系譜に連なる者であり,『ねじまき少女』はタイらしい児女英雄伝説であると見ることもできよう。

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2012.05.21

【台湾旅行】淡水に行く

仕事がバタバタしていて長らく台湾旅行のレポートを放置してきたが,今日こそは淡水に行った話でも書こう。

GW前半に台湾に行ったわけだが,台湾3日目の夕方の自由時間にツマとMRT淡水線に乗って,淡水に出かけた。

宿泊先は承徳路三段にある「三徳大飯店(ホテルサントス)」だったので,その近くの民権西路駅からMRT淡水線に乗った。

Tamsui08

民権西路から淡水までは45元(だいたい130円)。30分~40分ぐらいで行ける。

Mrttamsui

MRTは切符ではなく,トークンを自動券売機で購入する。そしてこのトークンを無人改札機に接触させて入場する。

Tamsui09

台湾の街並みを眺めながらMRTで移動。

そうそう。台湾のMRTは飲食・喫煙全面禁止。
台湾の人々は総じてマナーがしっかりしている。大陸とは大違いである。

やがて淡水に到着。

Tamsui10

これが淡水駅の外観。

Tamsui06

月曜日だったが,わりと淡水を訪れる人が多かった。淡水線開通で,台北市民にとって身近な行楽地になったらしい。

Tamsui07

ここ(↓)は川沿いの道。かなりにぎやか。いかにも観光地という感じである。

Tamsui11

そして対岸には「淡水富士」こと観音山が見える。

Tamsuifuji

時間が限られているので,築100年の歴史を誇る「紅楼(Honglou)」を見に行く。

Honglou01

ここはレストランなので早めの夕食をとる。

ジュースを飲んだり,

Honglou02

海老を挙げたものとフルーツを盛り合わせた料理を食べたり,

Honglou03

していたら,いつの間にか日が暮れた。

Honglou04

あとは通りをウロウロしてレトロな風景を楽しんだり,

Tamsui01

Tamsui05

福佑宮というお寺を訪ねたり,

Tamsui03

Tamsui04

夜店が集まる賑やかな通りを歩いたりして過ごした。

Tamsui02

全体的に昭和の匂いが漂う街だった。年配の日本人にはたまらん風景かもしれない。

たこ焼き屋もあった。「章魚」は「タコ」,「小丸子」は「だんご」の意。「章魚小丸子」で「たこ焼き」という訳である。

Takoyaki

食べ歩きも楽しそうだったが,紅楼で沢山食べたのでこの時は断念。いずれまた再訪したい。

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2012.05.06

パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』をどう読むか(1)

4月下旬にマレーシアやインドネシアに出張し,GW前半に台湾に旅行した。これらの旅路で携帯して読んでいたのがパオロ・バチガルピ『ねじまき少女』である。

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ヒューゴー賞やネビュラ賞など主要なSF賞を総なめにした作品なので,読んだ人も多いことだろう。

一応舞台設定を説明すると,石油枯渇後のバンコクが舞台である。石油が無いので,人々はゾウを遺伝子改良したメゴドントという動物を使役して巻いたゼンマイや,足踏み式や手回し式の発電機に頼っている。石炭やメタンガスも使われてはいるが,基本的にメゴドントや人を使って食糧を動力に(カロリーをジュールに)変えることが多いので,現在よりも遥かに食糧生産の重要性が増している。

食糧生産のための田んぼや畑があれば何とかなるかというと,そう簡単にはいかない。遺伝子操作のやり過ぎで植物には瘤病といった恐ろしい病気が蔓延し,他にも植物を壊滅状態に追い込むニッポン・ジーンハック・ゾウムシのような昆虫もうようよしており,アグリジェン社のような種子供給企業=カロリー企業から耐性のある種子を購入しない限り,誰もが食糧の生産ができない状況である。自前の種子バンクを持ち,環境省による強力な防疫体制を整えているタイ王国以外は事実上,カロリー企業の支配下にある。

この世界では地球温暖化の影響も深刻である。海面上昇によって世界中の多くの都市が水没した。バンコクはかつての国王,ラーマ12世の築いた堤防と強力なポンプによってかろうじて水没を免れている。

タイ王国では女王が幼少のため,ソムデット・チャオプラヤが摂政として君臨している。その下で,カロリー企業と組んで対外開放政策を開始しようとする通産省アラカット大臣と,国外からの様々な汚染を食い止めようとする環境省プラチャ将軍とがにらみ合いを続けている。

800pxflag_of_thailand_svg

こうした不安定な状況のバンコクで,


  • アグリジェン社のエージェントである西洋人(ファラン)アンダースン

  • マレーシアの過激派グリーン・ヘッドバンドによって家族を皆殺しにされた過去を持ち,今はアンダースンの下で働く亡命華人(イエローカード)ホク・セン

  • 環境省の実行部隊・白シャツ隊の隊長でムエタイの達人のジェイディー

  • その副官で,故郷の村を白シャツ隊に破壊された過去を持つカニヤ

  • そして日本で生まれバンコクに捨てられた人造人間(ねじまき)のエミコ


といった濃すぎる設定を持つ5人がそれぞれの思惑に沿って行動し,やがてタイ王国を揺るがす大事件を引き起こすわけである。

小生の場合,東南アジアとの付き合いが深いせいか,主人公格のアンダースンを含め,タイ王国で悪さばかりしているファランどもには何の共感も覚えなかった。王国を守りぬこうという意思と行動が単純明快なジェイディーや,その逆で,複雑な立場に置かれているがゆえに複雑な意思と行動をとるカニヤに感情移入して読んだ。

もちろん「頑張れ,タイ。負けるなファランの陰謀に」というような単純な内容の小説ではないが,一つの読み方としてはそういうのも有りだと思う。

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2012.05.02

台湾に行ってきた件

皆さんは連休前半はどこに行きましたか? 小生は台湾に行ってきました。

Flag_of_the_republic_of_china

宇部からチャーター便で台北に行って帰ってくるという,大変便利なツアーがあって,ツマとともに行ってきたわけである。台湾に行くのは約5年ぶり(過去記事:「台湾で考えた」)。

詳細は明日以降,紹介することにして,ここではダイジェストだけ示す。

まずは4月28日の午前中に「復興航空」のチャーター便で出発:

Departure

台湾到着後,現地のベテランガイド,徐啓祥氏の案内で故宮博物院に行き,

Npm
(故宮博物院正面玄関の孫文像)

忠烈祠の衛兵交代式を見て,

Churestushi01

Churestushi02

晩飯後は士林夜市(Shilin yeshi)に繰り出した。

Shilinyeshi

これが初日。


  ◆   ◆   ◆


29日。復興航空のプロペラ機に乗って台北の松山空港から花蓮(Hualian)に移動:

Fuxinair

太魯閣(タロコ,Taroko)渓谷を巡り,

Taroko

アミ族の踊りを鑑賞した後,

Amizu

特急電車で台北に帰還。

晩は鼎泰豊(ディンタイフォン,Dingtaifeng)で名物の小籠包を満喫。

Dintaifung


  ◆   ◆   ◆


30日。バスで九份(Jiufeng)に移動。あの「非情城市」の舞台になった町である。

Jiufen02

Jiufen01_2
(「千と千尋の神隠し」の湯婆婆の館のモデルだという)

九份散策後はバスで台北に戻り,昼食。

そのあとは中正紀念堂(Zhongzheng Jiniantang)を見物。 とにかくでかい。

Zhongzhengjiniantang

蒋介石(中正)の座像もでかい。

Zhongzhengjiniantang02

中正紀念堂の見物後,免税店に立ち寄って解散。

これで自由時間ができたので,小生とツマでMRT淡水線に乗って淡水(Tamsui, Danshui)まで出かけた。

これがかつて日本人に「淡水富士」と呼ばれた観音山である。手前の川は淡水河。

Tamsui01

淡水の有名レストラン「紅楼(Honglou)」で晩飯を食べ,

Honglou

町を散策したのち,

Tamsui02

再びMRTで台北に戻った。


  ◆   ◆   ◆


5月1日は帰国の日である。

Returntrip
(国際線の行先に「宇部」の名前が・・・)

午後,桃園空港からチャーター機で宇部に戻って旅行終了。

と,いうわけで,いろいろ楽しめた台湾旅行だった。

Qingtianbairi

再見!



今回役立った本:

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