田中慎弥先生の受賞後第1作は「竹やぶ」
なんか産経新聞が批判しているらしいけど,本人の嬉しさがにじみ出ていた,非常に良い記者会見だったじゃないですか,田中慎弥先生。
同じく下関の直木賞受賞作家・古川薫は田中慎弥の文体を「下関の言葉を文学に昇華させた」と激賞したいたらしい。
昨年の西村賢太といい,新型無頼作家の時代が始まったのではないかと思う。
で,田中慎弥の受賞後第一作であるが,毎日新聞の「田中慎弥の掌劇場」という欄に掲載された「竹やぶ」という短編小説がそれである。
短いからあらすじは書かない。雰囲気だけ書いておく。
下関弁は出ない。とくにオチがあるわけではない。疑問を抱えたまま終わる。
読み終わって,後藤明生とか黒井千次を思い出して再読したくなった。
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そういえば,黒井千次は田中慎弥のことを「これだけの力量のある新人はめったにいない」と激賞していたっけ。
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コメント
映像抜きで言葉だけ拾っていけば、矢継ぎ早の質問に率直誠実に答えているのがわかりますね。
田中さんは川端賞三島賞を受賞しており、すでに作家としての地位を確立していると考えれば、新人に与えられる芥川賞が散々落とされたあげく今になって回ってきたことに「もらえて当然」との感想がもれるのは「当然」と思った次第。
ところで後藤明生全集っていつになったら刊行されるんでしょうか? 私はずっと待ってるんだが・・・
投稿: 拾伍谷 | 2012.01.24 21:34
田中慎弥先生は新人ではないですよねぇ。文章が達者なので直木賞でもいいような気がします,と思ったけど大衆受けするかどうかというと・・・。
後藤明生って,絶版ばかりで困りますね。
投稿: fukunan | 2012.01.25 18:54