YCAMで坂本龍一を見てきた
昨晩(12月16日(金))はYCAM(山口情報芸術センター)で坂本龍一の「ダイアローグ&コンサート: 2050年から見る環境と芸術の未来」を見てきた。
YCAMは2013年に開館10周年を迎える。来年4月,記念事業を監修するアーティスティック・ディレクターに坂本龍一が就任するということで,今回,このようなイベントが実施されることになった。毎日新聞によるとキョージュは15日に山口市の渡辺純忠市長を表敬訪問したらしい。田舎のビッグニュースである。
生のキョージュを見るのは初めてなのでワクワクしながらロビーで待っていると,会場で準備作業中のキョージュの後姿を見ることができた。
三枚のガラスを通過して見えるので,明確にはわかりにくいが,それでも白髪の人物が確認できる。
さらに拡大したところ。坂本龍一キョージュがグランドピアノをのぞきこんでいる:
「ダイアローグ&コンサート」は二部構成で,前半は京都造形芸術大学教授で文化人類学者の竹村真一氏(ちなみに政治評論家竹村健一氏の長男。以下敬称略)との対談(ダイアローグ),後半はSachiko Mとの協演である。
ダイアローグ:
竹村真一との対談は,対談のタイトルを忘れているぐらいのゆるーい感じで始まったが,「スコラ:音楽の学校」でもおなじみの「音楽150年周期説」の話をした後,「人類幼年期の終わり」とか,「地球と生物の共進化」とか,「interspeciesの対話」とか,「メルカトル図法からの脱却」とか,地球環境論と認識論とコミュニケーション論と進化論とを組み合わせた話題に熱が入り,大幅に予定時間をオーバー。
竹村慎一が「ここままだと12時を過ぎる」と苦笑したのに対し,坂本龍一は「今夜は飲もう!」と冗談を飛ばし,会場は笑いに包まれた。
コンサート:
Sachiko Mがサンプラーのテスト・トーン用サインウェーブとスイッチングノイズを使って演奏をするのに対し,坂本龍一はグランドピアノを使って内部奏法(弦をはじいたりこすったりして演奏する)と通常奏法(鍵盤で演奏)とで演奏していた。
演奏の後半,サンプラーのテスト・トーンが雅楽で使う笙の音のように聞こえてきて面白かった。
◆ ◆ ◆
「ダイアローグ&コンサート」自体は大変良かったと思う。あと,Ustreamを導入していて感心した。
しかしながら,スタッフによる入場時の観客の誘導の仕方は落第点。
「200番から300番の方」とか言って観客を集めた上で,また押し戻して200番から1人ずつ整列し直させたり,何してるんだろうと思った次第。レーンを作っておいて,「番号順に並んでください」とでも言って,客たちに任せておいた方がスムースだったんじゃないかと思う。
イベントと言うのは,内容に関するプロデュース&ディレクト能力だけではだめで,ロジスティック能力も必要なのだというのが改めてわかる。YCAMは芸術系の人材だけでなく,管理系の人材も集めたらどうか?
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