セリフなしのギャロが逃げる逃げる
YCAMで映画を見てきた。
イエジー・スコリモフスキ監督,ヴィンセント・ギャロ主演『エッセンシャル・キリング』(Essential Killing):
あらすじ
アフガニスタンの兵士(※1)に扮したヴィンセント・ギャロが米軍の捕虜になる。移送途中の雪山で輸送車が横転事故を起こし,ギャロは逃走。そのあとは雪深い森林をひたすら逃げ続ける,という話。
ギャロ演ずる捕虜は決していい人というわけではなく,必要とあれば一般人もバンバン殺していく。
途中,何度か叫ぶシーンはあるが,ギャロのセリフは一切なし。
イスラエル,ポーランド,ノルウェーでロケを行ったという話だが,雄大な極地の風景には息をのむ。特に森林や雪原の中を逃亡するシーンを見ていると,こちらの手足が凍りつくかのような気持ちがしてくる。
イエジー・スコリモフスキが「ランボー」とタルコフスキーを足して割ったような作品と言っているそうだが,むべなるかな。
※1: チラシにはアラブ人兵士と書かれているが,女性のブルカがアフガニスタンのパシュトゥン族風なので,たぶんアフガニスタンの兵士をイメージしているのだと思う。
不思議なところが2点ある。
(1) いったいどこなんだ?
ギャロ演ずる捕虜は米軍による輸送中に逃走したわけだが,森林地帯で現れる登場人物たちはポーランド語ないしロシア語を話している。
まあ,ドキュメンタリーではないから地域を特定する必要はないが。
(2) 予知夢?
ギャロ演ずる捕虜は雪の中で何回か居眠りする。そのときに見る夢は主として過去の記憶で構成されているのだが,一部だけ,夢を見た後で起こる出来事が混じっている。
例えば,木こりのおじさんを殺害するシーンとか,血を流しながら馬に乗って移動するシーンとか。
これらは予知夢だろうか?
第67回ヴェネチア国際映画祭,審査員特別賞,最優秀男優賞受賞作。
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