"Clockwork Rocket"はイーガン版"Flatland"だと思う
"Clockwork Rocket" is thought to be Greg Egan's version of "Flatland".
グレッグ・イーガンの最新作"Clockwork Rocket"を読んでいるが,これはイーガン版"Flatland"だという気がしてきた。
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『フラットランド』はアボットの小説で,二次元の平面世界に住む人々の話である。これに対し,"Clockwork Rocket"は直交世界に住む知的生物たちの話である。設定の違いはあるが,われわれとは違う異世界の人々にとって,物理現象はどのように見えるのかということを事細かに記述している点では似ていると思う。
◆ ◆ ◆
現在,"Clockwork Rocket"の第2章を読み終えたところ。
Yalda(ヤルダ)という主人公の少女が学校に通い始めている。胸の皮膚の表面に文字を浮かび上がらせる練習をしている。
この世界の住民は双子で生まれるのが普通らしく,双子は互いのことを"co"と呼んでいる。Yaldaのように一人で生まれるのは珍しいらしく,"solo"と呼ばれる。Yaldaが同級生よりも2倍ぐらい大きい体を持っているのは一人で生まれたことと関係あるのかもしれない。
第3章からはこの世界の物理学の勉強が始まる。本作はこれまでグレッグ・イーガンの作品の中で一番図が多い作品ではなかろうか。
◆ ◆ ◆
それにしても昨年は"Zendegi"が出たばかりだし,今年はこの"Clockwork Rocket"が出た。"Clockwork Rocket"は"Orthogonal"3部作の第1作にすぎず,これから"The Eternal Flame", "The Arrows of Time"と続々と刊行される筈である。
イーガン作品の翻訳のほとんどは山岸真氏によるものだが,こんなに刊行されたら翻訳が間に合わないのではなかろうかと勝手に心配している。
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コメント
ご無沙汰しております。
といっても、blogを拝見させていただいているので、当方にはさほどご無沙汰感はないのですが・・・
一度、ご挨拶に伺いたいと思いながらも、先に先にと延ばしております。
この1年半ほど凄まじく忙しく・・・家族サービスはおろか夜遊びも(殆ど)しておりません。
冬か来春には、ご挨拶に伺う必要性も出てきたので・・・と勝手に誓っております。
※この半年の唯一の趣味は子供と参加するガンバライドです。在住地区では、強豪の下っ端くらいになっています。子供は小学生の中では名前が売れてきました。
子供がクラスで腕相撲(右腕1位、左腕2位)最強と知ってしまい・・・子供には(堀北真希を諦め)高田里穂のようになって欲しいと言うことでH.N.を変えました。
※クラスでのオーズごっこでも、超怪力キャラの泉比奈(演 高田里穂)をやっているようです。
fukunan様が読まれているものは面白そうですね。
本題?ですが、タイムトラベルを使っての技術革新は連載中の「真マジンガーZERO」(余湖裕輝)と類似していますね。
別次元干渉モノ?としては、「勇者特急マイトガイン」の最終クールが悪ふざけでありますが。
あとは、山田正紀「神狩り」(入れていいかな)や筒井康隆先生モノもありますね。
fukunan様ご推薦のダン・シモンズ著作のSFは半数ほど入手しましたが・・・全く読めておりません。
雑誌、コミックスを読むのがやっとで、(推理・SF&「おいしいコーヒーのいれ方 Second Season 」)小説は数百冊も積読状態(といっても、段ボールに入れて、押し入れ)です。
最近雑誌以外でかろうじて読めているコミックスを列挙しておきます。
王道「超人ロック」「新仮面ライダーSPIRITS」「ウルトラマンSTORY 0」http://kodomo.kodansha.co.jp/telemaga/4910065750917.html
邪道「真・異種格闘大戦」http://webaction.jp/webcomic/ 「バビル2世 ザ・リターナー」野口賢 「XENON-199X・R-」神崎将臣
などです。
特に、神崎将臣の作品は後味が悪い終わり方が多いので好んで読んでいます。
「聖者は夜やってくる」「悔い改めよと叫ぶ声在り」など。
※そのせいか、打ち切りだらけですが。
投稿: 娘が高田里穂になればなぁ | 2011.08.09 03:55