タイ総選挙:インラック旋風,タクシン派の圧勝,下院過半数制覇,クーデターの予感?
さて,昨日記事に書いたタイ総選挙の件だが,出口調査によると,タクシン派・タイ貢献党(プア・タイ)が圧勝の見込みである。
明日には正確な数字が出ると思うが,Suan Dusit大学の予測では,インラック率いるタクシン派・タイ貢献党は500議席中313議席,アピシット率いる反タクシン派・民主党は152議席の見込みである。
なお,アサンプション大学の予測では,タイ貢献党,299議席,民主党132議席ということだが,タクシン派が過半数を制する見込みは間違いないようだ。
なお,選挙前の議席(定数480議席)はこんな感じだった:
民主党が大敗したというよりも,タイ貢献党が他の政党の議席を飲み込んで勢力を急拡大したという感じである。
これで,初の女性首相誕生,安定政権樹立かというと,そんなことはないだろう。
タイ貢献党は国民の圧倒的支持があることを示したので,軍や憲法裁判所などの従来支配層はしばらくは静観を続けるとは思う。
しかし,インラックがタクシンの恩赦・帰国に着手したとき,状況は一変する。憲法裁判所によるタイ貢献党の切り崩しが行われるほか,場合によっては軍の介入が始まる可能性がある。クーデターのような大げさな手を打たなくても,不敬罪など様々な罪状で政治への介入が可能である。
タイ政治安定のためにはインラックが賢くふるまうこと,すなわち,タクシンの問題に触れないようにすることが必要だが,それは期待し難い。
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