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2011.07.23

オスロ・ウトヤで同時テロ

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各種メディアの報道によると,22日,ノルウェーの首都オスロで大規模なテロが発生。また,首都から80km離れたウトヤ島では,労働党の集会で,警察官の服装をした男が銃を乱射し,多数の負傷者が出た模様。

"Giant blast hits government buildings in Oslo, Norway" (CNN, July 22, 2011)

ノルウェー首相府に爆弾テロ、17人死傷」 (ヨミウリ・オンライン,2011年7月23日)

オスロで使われたのは自動車爆弾で,首相府はじめ,複数の官公庁のビルが破壊された模様である。

自動車爆弾は「貧者の空軍力」(マイク・デイヴィス)とも呼ばれ,イスラム過激派の犯行を連想させるテロ手法となっている(実際にはイスラム過激派だけが使っているわけではなく,IRAなども使ったのだが)。


小生は北欧と言えばスウェーデンとフィンランドしか行ったことがなく,ノルウェーには詳しくないが,テロとは縁遠い国というイメージだった。それが突如テロに襲われるとは。


上述のCNNの記事では同社のアナリスト,ポール・クルックシャンク(Paul Cruickshank)が,結論を出すのはまだ早いとことわりつつも,アルカイダ系の過激派集団の犯行の可能性を示唆している。

かつてデンマークで預言者ムハンマドを中傷する風刺画が新聞に掲載され,イスラム教徒の怒りを呼んだ事件がある。その風刺画はノルウェーの新聞にも掲載された。

また,ノルウェーほか,スカンジナビア各国はアフガニスタンやリビアといったイスラム教国におけるNATO軍の活動に参加している。こうしたことによって,ノルウェーに対してもアルカイダの怒りの矛先が向いているのだと,CNNの記事は述べている。

CNNの記事でも紹介されているが,実は昨年の12月には隣国スウェーデンのストックホルムでテロ事件が発生していた:

「ストックホルムの爆発事件、警察が「テロ」認定」 (ロイター,2010年12月13日)

その事件もスウェーデン軍のアフガニスタン駐留や預言者を中傷する風刺画がスウェーデンの地元紙に掲載されたこと等が原因だったという。


多様な価値観の尊重を国是としてきた北欧諸国。こういった事件をきっかけに,北欧の人々の気持ちがイスラム教への不寛容さへと傾かなければよいのだが。


Osloutoya
オスロとウトヤ島の位置関係(Google Mapより)


【2011年7月23日正午加筆】

ウトヤ島で開かれた与党労働党の集会での乱射事件は死者が80人を超えるとの報道があった:
ノルウェーで爆発と銃撃、ノルウェー人容疑者を逮捕」(AFP,2011/7/23)

銃乱射事件の容疑者はノルウェーの極右団体に所属していたということで,今回の一連のテロはイスラム過激派ではなく,極右団体の犯行という可能性が出てきた。

北欧を含めヨーロッパが示してきた「多様な価値観の尊重」という姿勢は,現在,曲がり角に来ているのかもしれない。

昨年10月,ドイツのメルケル首相は「多文化主義は完全に失敗」と述べた。ドイツの人口の1/7を占めるといわれるトルコ移民の問題について述べたものだが,ヨーロッパ全体でも人々はそのような気持ちになりつつあるのかもしれない。

経済状況が悪くなると人心が荒廃する。人々は様々な問題の原因を「誰か他の連中」に押し付けようとする。一部の民族主義者の中には他の宗教・民族を排斥しようとする者もあらわれる。排斥される側もまた先鋭化する。

排斥する者にとっては「多様な価値観の尊重」を掲げる政府は敵となるし,排斥される側にとっても「多様な価値観の尊重」を掲げながら,自分たちを守らない政府は敵となる。

今回のノルウェーの連続テロ事件,犯人がイスラム過激派なのか極右なのか,まだ定かでないが,「多様な価値観の尊重」という考え方への挑戦という面が強いのではないだろうか。


Utoya
ウトヤ島。事件はこの小さな島で起こった。(Google Mapより)

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