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2011.04.08

こんな時代だから読むべき本:五木寛之『他力』(講談社文庫)

「BSアーカイブス ハイビジョン特集 五木寛之21世紀・仏教への旅」というドキュメンタリーが連日放送されている。

今日放送されたのはシリーズ5回目である。9.11テロ事件の経験を引きずっているアメリカを旅しながら,「他力」「悪人正機」といった親鸞の思想の現代における可能性を探るという話である。

このドキュメンタリーで取り上げられたのが,五木寛之の著書『他力』である。法然・親鸞・蓮如らの思想のコアである「他力」の概念をベースに,現代を生きるためのヒントをつづった本である。

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アメリカでは9.11のテロの後,『他力』に加え,『生きるヒント』『大河の一滴』『人生の目的』のエッセンスが凝縮された"TARIKI"が出版された。同著は多くのアメリカ人に受け入れられ,2002年度ブック・オブ・ザ・イヤー(スピリチュアル部門)を受賞した。

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日本語版の同書の一説にはこのような言葉が書かれている:

私たちがいま目の前にしている世界は,国家と社会の危機だけではありません。私たちは,誰もが「精神的,または心理的に重大な危機」に直面しているという実感を抱いて生きているはずですから。(『他力』,22ページ)
つまり私たちはいま,外側からも,内側からもまさに二重の<非常時>に直面していると言うべきかもしれません。(『他力』,23ページ)

この本が書かれたのはもちろん震災よりも前なのだが,戦後最大という非常時を迎えた今こそ読むべき本だろうと思う。

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