【県民所得の格差は最大2.2倍】2010年公表「平成19年度版・県民経済計算」
2009年2月に「『県別の所得格差は二倍以上!』2009年2月発表バージョン」という記事を書いて2年以上経過した。そろそろ内容を更新しようと思っているのだが,内閣府がなかなか新しい結果を発表してくれない。この4月に公表されるはずだが,震災等の影響で作業が遅れているのかもしれない。
やむを得ず,2010年に公表された「平成19年度版」=2007年版の結果をもとにして記事を書くことにする。
◆ ◆ ◆
2007年度の1人当たり県民所得のランキングは以下の通りである。今回は参考までに1人当たり雇用者報酬も加えている。
格差に関して言えば,1位の東京と最下位の沖縄とでは2.2倍の開きがある。
県民所得には個人所得の他に法人所得も含まれているので,県民一人ひとりの豊かさを表しているというよりも都道府県の豊かさを表す指標である。
これに対して1人当たり雇用者報酬は個人事業主や無給の家族従業者を除く全雇用者の平均的な所得を示すものである。ちなみに企業役員・公務員・議員も雇用者に含まれる。こちらの方が県民一人ひとりの豊かさに近いかもしれない。
1人当たり県民所得[千円] | 1人当たり雇用者報酬[千円] | |
---|---|---|
東京都 | 4540 | 6383 |
愛知県 | 3588 | 4973 |
静岡県 | 3384 | 4433 |
神奈川県 | 3284 | 5437 |
三重県 | 3229 | 4700 |
滋賀県 | 3138 | 4479 |
大阪府 | 3107 | 5696 |
栃木県 | 3105 | 4644 |
富山県 | 3088 | 4752 |
広島県 | 3059 | 4850 |
千葉県 | 3010 | 4760 |
茨城県 | 3007 | 4516 |
京都府 | 2993 | 4716 |
山口県 | 2982 | 4270 |
埼玉県 | 2973 | 5026 |
石川県 | 2945 | 4248 |
群馬県 | 2880 | 4709 |
福島県 | 2847 | 4213 |
兵庫県 | 2823 | 4941 |
福井県 | 2821 | 4203 |
岡山県 | 2812 | 4519 |
長野県 | 2808 | 4665 |
徳島県 | 2807 | 4437 |
岐阜県 | 2770 | 4237 |
山梨県 | 2767 | 4616 |
福岡県 | 2746 | 4509 |
新潟県 | 2724 | 4397 |
奈良県 | 2681 | 5304 |
香川県 | 2652 | 4647 |
和歌山県 | 2637 | 4524 |
大分県 | 2636 | 4183 |
宮城県 | 2580 | 4457 |
佐賀県 | 2575 | 4405 |
山形県 | 2541 | 3933 |
愛媛県 | 2485 | 3959 |
秋田県 | 2483 | 3517 |
島根県 | 2436 | 3903 |
青森県 | 2433 | 3908 |
北海道 | 2408 | 4566 |
岩手県 | 2383 | 3851 |
熊本県 | 2381 | 4078 |
鳥取県 | 2364 | 3976 |
鹿児島県 | 2353 | 3933 |
長崎県 | 2191 | 3818 |
宮崎県 | 2152 | 3797 |
高知県 | 2114 | 4558 |
沖縄県 | 2049 | 3744 |
グラフ化したもの以下に示す:
県民所得と雇用者報酬の間にどのような関係があるのかについてグラフ化したものを下に示す。
ばらつきが大きいものの県民所得と雇用者報酬は比例していると言えるのではないだろうか?ちなみに大阪は県民所得(府民所得)の割に雇用者報酬が大きいと言えるだろう。
◆ ◆ ◆
以前,「『県別の所得格差は二倍以上!』2009年2月発表バージョン」という記事に掲載した2006年度版と比べると,東京・愛知・静岡という上位3都県は変わっていない。
上位5都県を2006年度と2007年度とで比較すると次のようになる。2007年には上位5都県の中に新たに三重県が入ってきている。
順位 | 2007年度 | 2006年度 |
---|---|---|
1 | 東京都(4540) | 東京都(4820) |
2 | 愛知県(3588) | 愛知県(3509) |
3 | 静岡県(3384) | 静岡県(3389) |
4 | 神奈川県(3284) | 滋賀県(3352) |
5 | 三重県(3229) | 神奈川県(3257) |
下位5県を2006年度と2007年度とで比較すると次のようになる。順位の入れ替わりがあるものの,顔ぶれは同じである。
順位 | 2007年度 | 2006年度 |
---|---|---|
1 | 沖縄県(2049) | 沖縄県(2089) |
2 | 高知県(2114) | 宮崎県(2150) |
3 | 宮崎県(2152) | 長崎県(2159) |
4 | 長崎県(2191) | 高知県(2170) |
5 | 鹿児島県(2353) | 鹿児島県(2283) |
◆ ◆ ◆
さらに大きなタイムスパンで比較を行ってみよう。
1人当たり県民所得の上位5位を1996年度と2007年度とで比較すると次のようになる。かつては大阪府が5位以内に入っていた。金額を見ると,東京以外は11年間で1人当たり県民所得が十数万~三十数万円下がっている。
順位 | 2007年度 | 1996年度 |
---|---|---|
1 | 東京都(4540) | 東京都(4328) |
2 | 愛知県(3588) | 愛知県(3731) |
3 | 静岡県(3384) | 神奈川県(3616) |
4 | 神奈川県(3284) | 大阪府(3558) |
5 | 三重県(3229) | 滋賀県(3482) |
下位5位を比較すると次のようになる。九州・沖縄勢の顔触れはほとんど変わっていない。金額面では,沖縄と鹿児島は11年間でほとんど変化が見られないが,他の県は1人当たり県民所得が十数万円下がっている。
順位 | 2007年度 | 1996年度 |
---|---|---|
1 | 沖縄県(2049) | 沖縄県(2072) |
2 | 高知県(2114) | 宮崎県(2309) |
3 | 宮崎県(2152) | 鹿児島県(2317) |
4 | 長崎県(2191) | 長崎県(2357) |
5 | 鹿児島県(2353) | 熊本県(2436) |
1人当たり県民所得で日本地図の塗り分けをやってみると次のようになる。まず,2007年度:
つぎに1996年度:
正確にはデフレの効果などを考慮するべきだろうが,大雑把には東京のみが成長を続け,沖縄・鹿児島は停滞,残りの道府県が衰退傾向ということになるのではなかろうか? とくに北海道・北東北・山陰・四国西南・南九州で県民所得が顕著に低下している。
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コメント
公務員が上位だろ。
税収よりも巨大な公務員報酬。
バカな国だ!
投稿: つくつくほうし | 2011.09.12 21:24