【2009年東電データ】最高気温1℃上昇で最大電力需要110万kW増加
昨日の記事では2004年の東京電力の資料を使って2004年夏期の各日の最高気温(東京管区気象台)と最大電力需要の関係を検討した。
今回はより新しいデータ,「今夏の最大電力ならびに日別の最大電力」((東京電力,平成21年9月14日現在,http://www.tepco.co.jp/forecast/html/maxsummer.pdf)をもとに,改めて夏期の各日の最高気温と最大電力上の関係を検討する。
2009年7月6日~9月11日の平日の最高気温(東京管区気象台)と東京電力の最大電力需要をプロットしたのが次の図である:
2004年版との大きな違いは傾きが小さいということである。回帰式によれば,最高気温1℃上昇で最大電力需要が約110万kW増加という結果となっている。
2004年版では最高気温1℃上昇に対して最大電力需要約146万kWの増加だったのと比べるとだいぶ気温感応度が小さくなった。ひょっとしたら企業や家庭における省エネが2004年以降進展したのかもしれない。クールビズとか普通になってきたし。
東京電力の最大供給量は夏までには5000万kW程度に回復すると予想されている。上図の回帰式に基づけば,最高気温が32℃を超えると大停電が避けられないことになる。
しかし,実際には電力需要にはばらつきがあるため,上図が示すように最高気温30℃程度でも最大需要が5000万kWを超える日がある。
やはり首都圏においては現在検討されているような「総量規制」ないし「使用制限」は避けられないと思う。
電力を大量に必要とするタイプの産業,または停電が致命的であるタイプの産業に関しては,拠点の西日本移転を真面目に考える段階に入っていると思われる。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 唐沢俊一氏逝去の報(2024.09.30)
- 「エルガイム」TV放送から40年(2024.08.29)
- 宮内橋の話(2024.02.24)
- 嘘歴史(その2)(2023.06.07)
- 嘘歴史(その1)(2023.06.04)
「アカデミック」カテゴリの記事
- 『<学知史>から近現代を問い直す』所収の「オカルト史研究」を読む(2024.05.23)
- データ主導時代に抗して(2023.11.08)
- モンゴル語の"Л (L)"の発音(2022.11.18)
- 『学術出版の来た道』を読む(2021.12.10)
- Proton sea | 陽子の海(2021.06.03)
コメント