【白鳥は悲しからずや】宇部のシンボル,常盤湖のハクチョウ一掃
昨日の記事「【鳥の歌いまは絶え】宇部市の常盤公園でハクチョウなど400羽殺処分」でも取り上げたが,鳥インフルエンザの感染拡大を防ぐため,全国随一の数を誇っていた5種358羽のハクチョウ類とカモ類41羽が殺処分された。
「苦渋、ハクチョウ殺処分 宇部のシンボル消える」(宇部日報,2011年2月10日)
ハクチョウは家畜伝染病予防法の対象外だから,これは法の問題ではなく,意思決定の問題(倫理の問題と言ってもよい)である。だから正解は無く,責任者(この場合は市長)がその価値観に基づいて判断することである。宇部市の場合は,ハクチョウが市の重要な財産であることと感染拡大の防止とを天秤にかけた結果,殺処分という苦渋の決断がなされた。
今回の事態に関連して小生が疑問に思うことを挙げる。
(1)絶滅危惧種だからと言ってナベヅルが殺処分対象とならないのはいかがなものか?
(2)野鳥は放置されていて,飼育されている鳥は殺処分となるのはいかがなものか?
小生は別に殺処分を推進したいわけではない。
(3)殺処分以外の方法はないのか?
ということも考えている。例えば,ワクチンや薬はどうだろうかと。しかし,おそらくコスト面・技術面からそれらの選択肢はないということになっているのだろう。
現時点で問題だと思うのは上述の(1),(2)の点である。ある場合には鳥類の殺処分が進められ,ある場合には放置される,という判断のばらつきは問題だと思うのである。
鳥インフルエンザへの対応がケースバイケースで異なることは,防疫という面でも問題がある。ある自治体で家畜以外の飼育されている鳥類や野鳥を徹底的に殺処分し,感染拡大を進めていても,別の自治体でそれらを放置していた場合は,結局,感染は拡大し続けるだろう。
鳥インフルエンザ問題はもう何年も前からの問題であるのに,国全体として一貫した考え方が見られないのが大いに不満である。
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