シリーズ中,異色の構成―『ヤマトよ永遠(とわ)に』
先日深夜,ケーブルチャンネル「ファミリー劇場」で「ヤマトよ永遠(とわ)に」を放映していた。宇宙戦艦ヤマトシリーズの中では未見だったので,今回,最初から終わりまで真面目に見通すことにした(あらすじはWikipediaを参照)。
宇宙戦艦ヤマトシリーズの多くは,見方を変えれば「デスラー・サーガ」であり,古代進の好敵手であるガミラス総統デスラーが登場するのが普通である。だが,この作品はデスラーが登場しない異例の作品となっている。また,常に一緒だった古代進と森雪とが別れ別れになっているというのも珍しいことである。
戦闘シーンは特段面白くなかったし,物語後半から採用された「ワープ・ディメンション方式」とかいう画面・音声方式もテレビの画面を通して見る限り大したことは無かった。
小生がこの映画を見て,面白いと思ったことは,恋愛関係が今までよりも一段複雑になっているということである。従来シリーズでは,まず古代進と森雪というカップルがあり,その他のカップルとして,古代守とスターシャ(「宇宙戦艦ヤマト」,「新たなる旅立ち」),島大介とテレサ(「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」,「宇宙戦艦ヤマト2」),相原義一と藤堂晶子(「宇宙戦艦ヤマトIII」)というカップルがある,という状況なのだが,それぞれのカップルが干渉し合うようなことはなく,恋愛関係は単純である。
ところが「ヤマトよ永遠に」では古代進と森雪が別行動であり,さらにそれぞれに対して思いを寄せる人々がいるという他のシリーズにない,複雑な状況になっている。具体的には:
サーシャ → 古代進 ← → 森雪 ← アルフォン少尉
という状況である。地球人とイスカンダル人のハーフであるサーシャは叔父にあたる古代進に,暗黒星団帝国の技術将校であるアルフォン少尉は森雪に思いを寄せている。森雪はヤマト艦上で古代進がそんな状況になっているとは知らないし,古代進も森雪が地球でそんな状況になっているとは知らない。
サーシャもアルフォン少尉も死んでしまうので,戦いが終わって後,ヤマト艦上でのことを知るのは古代進だけ,地球でのことを知るのは森雪だけである。再会を果たした古代進と森雪はそれぞれの所で起きたことを打ち明け合うのだろうか?というのが,小生にとっては気にかかる話である。
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コメント
こんにちは。
>物語後半から採用された「ワープ・ディメンション方式」とかいう画面・音声方式もテレビの画面を通して見る限り大したことは無かった。
ブログ主様は、映画館でこの作品観ましたか?
観た事あるなら、この作品がいかに無謀な事をやったかご存知かと思います。
映写技師泣かせの作品でしたね。
投稿: 9の部屋 | 2011.01.24 20:16
コメントありがとうございます。「9の部屋」拝見いたしました。「ヤマト」制作の背景が詳しく記載されており,大変興味深く読みました。
上映中に画面比・音響を切り替えるというのは,良くも悪くも大変なことだったと思います。最近の映画はテレビ放映・DVD化などの二次利用を想定して作っていると思うのですが,当時はそのようなことは考えていなかったのでしょうね。
投稿: fukunan | 2011.01.24 21:42