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2011.01.13

【ルノー機密漏洩事件】中国の産業スパイネットワークとフランス自動車産業【2005年ヴァレオ事件】

最近はこの話ばかり書いているが,もう少し続ける。

ル・モンドなどフランスの新聞の電子版を見ていると,今回の事件はフランス人の間に2005年に起きたヴァレオ(Valeo)事件のことを思い出させているようである。

ということで,ヴァレオ事件について短く述べる:

Chinese Valeo worker arrested in France on industrial espionage charge (Forbes, 2005年5月3日)

2005年5月,22歳の中国人女子留学生Li Li Whuang(黄麗麗?よくある名前)が自動車部品メーカー・ヴァレオに対する産業スパイの容疑で逮捕された。警察が押収した3台のパソコンと2台のハードディスクの中には極秘扱いの設計図を含め,莫大な量のヴァレオの製品データが収められていたという。Li Li Whuangは当時,コンペーニュの大学に留学中で,2005年2月からインターンシップとしてパリにあるヴァレオの研究開発部門に勤めていた。彼女は数学・応用物理・流体力学の学士号をもっており,また英独仏西語に通じていたというから,物凄く優秀な学生だったようである。

この事件が発生した時はちょうど薄熙来(Bo Xilai)商務相の訪仏時で,フランスとの結びつきを強めようと考えていた中国側の出鼻をくじくことになった(まあ,薄商務相は「本当だとしたら大変遺憾なことだ」という無難なコメントをしていたが)。

この報道の3日後にはAFP通信が中国留学生による産業スパイネットワークの存在についてブリュッセルからレポートしている:
Chinese Students Running Industrial 'Spy Network' Across Europe: Report (AFP, 2005年5月11日)

この記事はEuropean Strategic Intelligence and Security Centreのレポートに基づいて書かれたものである。記事によればベルギーには中国からの留学生によって組織された産業スパイネットワークがあり,イギリス・オランダ・ドイツ・フランスの研究機関や大学でのスパイ活動を展開中であったという。

さて,ヴァレオ事件から5年以上経過し,同事件のことを忘れたころに今度は本丸が狙われたわけである。

なぜフランスが再度狙われたのか? 答えはル・モンド紙のインタビュー記事にある:
Espionnage industriel : "La France n'a pas d'outils adaptés pour réagir" (Le Monde, 2011年1月11日)

これは国際戦略の専門家,Laidi Ali氏へのインタビュー記事であるが,要するに日米に比べてフランスは産業スパイへの対策が甘い,ということである。だから中国にとっては格好の獲物だということである。

この間書いた話「ルノーEV機密漏洩事件・中国企業に?」(2011年1月7日)に戻るが,資本関係上やむを得ないと言えど,フランス・ルノー側で情報ダダ漏れなのに電気自動車の共同開発なんてしていてよいのだろうか,日産よ?

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