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2010.12.28

レアアースの用途:米国エネルギー省報告書より

レアアース問題(「レアアース問題について考える」2010年9月26日記事)の続きというか補足情報である。

少し前のことになるが,2010年12月15日,米国エネルギー省はクリーンエネルギー技術に不可欠なレアアースの役割や安定的な調達への取り組みをまとめた報告書「重要資源に関する戦略」を公表した:

Critical Materials Strategy,
U.S. Department of Energy, December 2010 http://www.energy.gov/news/documents/criticalmaterialsstrategy.pdf (PDF 4.47 MB, 171pages)

レアアースに関する報告書としては,今,世界で一番まとまったものではないかと思われる。

目次
第1章 はじめに
第2章 クリーンエネルギー技術における重要資源の用途
第3章 重要資源の需要・供給・価格の歴史的動向
第4章 エネルギー省の情報・研究開発・資金計画
第5章 他省庁の計画
第6章 他国の資源戦略
第7章 需給予測
第8章 臨界性評価
第9章 計画および政策


本記事ではレアアースの用途だけ取り上げる。

報告書の第2章ではクリーンエネルギー分野におけるレアメタルおよびレアアースの用途をまとめているが,コバルトやリチウムといった「レアメタル」を除いた,純粋にレアアースだけの用途を示すと次の表のようになる:


風力発電
自動車
照明

磁石
磁石
バッテリー
蛍光体
Y: イットリウム




La: ランタン



Ce: セリウム




Pr: プラセオジム



Nd: ネオジム




Pm: プロメチウム




Sm: サマリウム




Eu: ユウロピウム




Gd: ガドリニウム




Tb: テルビウム




Dy: ディスプロシウム




Ho: ホルミウム




Er: エルビウム




Tm: ツリウム




Yb: イッテルビウム




Lu: ルテチウム





磁石について
電気自動車やハイブリッド車,また,風力発電にはネオジム鉄ホウ素磁石によるモーターが使われている。電気自動車1台当たりではキロ単位でネオジムが使用されているが,風力発電では1基当たり数百キロ単位のネオジムが必要になるとのこと。もちろん永久磁石にはネオジムだけでなく,プラセオジム,ディスプロシウム,テルビウムが添加されるので,今後,クリーンエネルギー技術が広がるにつれて世界的にこれらのレアアースの取り合いになるだろうという。

ちなみに報告書によると,ネオジム鉄ホウ素磁石の基本特許は日立金属とマグネクエンチ社(中国がバックについている)が握っており,2014年まで両社のライセンスを受けていないメーカーはこの磁石を製造できないのである。つまり中国だけでなく,日本企業もまたアメリカのクリーンエネルギー技術の首根っこを握っているということ。

参考:Nd-Fe-B系焼結磁石に関わる特許およびライセンスに関するお知らせ (2007.4)


照明について
蛍光灯にはランタン,セリウム,ユウロピウム,テルビウム,イットリウムが使われている。白色LEDではランタンやテルビウムが不要になったものの,セリウムやユウロピウムが必要とされている。これらに対して,有機EL(OLED)では全てのレアアースが不要になるということである(ただし,有機ELにはレアメタルのインジウムが必要だということ)。当面は蛍光灯と白色LEDの普及が拡大するだろうから,やはりレアアースの需給は逼迫するだろう。

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» 希少金属不要の有機EL 効率化 [時々時事爺]
詳しいことは分からんけど何かスゲー [おー!/]レアメタル使わないんなら中国の顔色うかがう必要もないし何よりコスト削減に大きく貢献するんじゃないかって期待も持てるし [うんうん/]できることなら特許取...... [続きを読む]

受信: 2012.03.16 21:57

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